沖縄よ! 群星むりぶし日記

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イヴの国・日本が溶けて消える

世界基督教統一神霊協会統一教会の正式名称である。名称から判断すると、統一教会キリスト教の一派であるらしいことがわかる。しかし、その教義は本来のキリスト教とは似て非なるもので、その内容は旧約聖書新約聖書から大きくかけ離れている。

その一例としてアダムとイヴに関する解釈がある。日本はイヴの国で韓国はアダムの国だと統一教会は定義する。禁断の果実を最初に食べたのはイヴであり、アダムはイヴに誘惑されただけで人間が原罪を背負わされた責任はイヴにある、ゆえに日本は韓国に奉仕しなければならない、と原罪の意味を統一教会は手前勝手に、そして短絡的にそう解釈している。

荒唐無稽でとんでもない嘘にすぎないが、霊感商法で信者から巻き上げた莫大な寄付金(4000億円以上)をアダムの国に送金したという事実は、統一教会が嘘の原理を現実に運用できるカルト教団であることを証明している。

社会問題になった霊感商法はイヴの国だけで実行された。米国の信者獲得に使われた資金はイヴの国から流れている。

合同結婚式で6500人以上の日本人女性(イヴ)が韓国人男性(アダム)と結婚式を挙げた。統一教会に収めた結婚費用の内訳は、アダムはイヴの十分の一だと言う。明らかな男尊女卑である。健全な家庭を築くことが何より大事であると宣言するカルト教団の実態は、伝統的な家父長制度を超えて、教義に忠実な変態的家族制度の普及、定着を目論んでいるにすぎない。

日本はイヴの国であり、韓国はアダムの国であるとの統一教会の主張を容認した大物政治家がいた。岸信介福田赳夫岸信介文鮮明と昵懇の仲で、福田赳夫文鮮明を最大級の賛辞で褒め称えた。

文鮮明は心の中で思わずニンマリしただろう。岸も福田もイヴにすぎない。取り込んで大いに利用すべし。お陰でカルト教団自民党に浸透し、熱心に選挙を手伝い、その見返りにイヴェントにメッセージを寄せてもらうという、持ちつ持たれつの関係が出来上がっていった。

その間も、従順で哀れなイヴ達は毎年およそ600億円の寄付金を貢ぎ続けた。

カルト教団がここまで勢力を拡大できた理由は、イヴの国から巻き上げた莫大な寄付金と国際勝共連合という関連団体の存在がある。反共思想を主張することで、自民党を味方につけ、米国共和党員の支持を取り付ける。そのための活動資金はイヴの国からの寄付金で賄う。

常識的に考えると、夢物語りのようなあり得ない話だが、これは60年以上前にカルトの産声を聞いてから現在に至るまで進行している実話である。

前代未聞とも呼ぶべき実話はなぜ成立したのだろうか? この奇妙奇天烈な実話を成立させた土壌は、いったい何だろうか? 戦前の日本では考えられなかった日本はイヴの国というフィクションを、なぜ岸信介をはじめとする自民党の政治家達は受け入れてきたのだろうか?

反共思想に脳髄が侵されて、日本はイヴの国と言われて黙るようでは納得がいかない。

山上徹也が放った銃弾は、我々の予想をはるかに超えて、単に戦後政治だけではなく、戦後の日本人の精神構造までも問う深刻な問題を投げかけているように思われて仕方がない。

この巨大な問題と真剣に対峙しないと、何を語ろうとすべては虚しい露と消えてしまう。