自民党新総裁に岸田文雄が選出された。議院内閣制のシステムにより、そのまま総理大臣に就任することが確定している。岸田文雄総理大臣の誕生だ。
NHKの生中継を見ながら感じたことがある。総裁を選ぶ方法が余りにも幼稚過ぎないか、ということ。つまり、国会議員票と党員算定票の振り分け方が余りにも不平等なのだ。
第1回目の投票では国会議員票と党員算定票はそれぞれ382票の同数。この時点ですでにおかしいと言わなければならない。国会議員一人と何万人もの党員が等価値と見做されている。
決選投票になると、この不平等はさらに歪な形を取る。国会議員票382票はそのままであるのに対し、党員算定票は都道府県連票という名称に収斂されて47票に減らされて国会議員と党員の不平等はさらに拡張されるのだ。
この独特なシステムから見えてくるものは何かと言うと、全国各地の自民党員が総裁選に投票するという民主主義的手続きは、あくまでも形だけのものであり、実際は国会議員同志の駆け引きが中心となって総裁が選ばれる仕組みになっているというカラクリだ。
自民党員による投票は、総裁選は立派な民主主義的手続きに則っていると見せかけるための巧妙な仕掛けに過ぎず、本音は党員の声はできるだけ抑えて、まず自分たちの利益だけを優先するという、なんとも傲慢な計算尽くのボス選び、これが自民党総裁選の本当の姿である。
党員の声は現場からの声だ。政治を志す人間にとって直接向き合わなければならない切実な心の叫び。その生きた声を政治に反映させることが政治家の使命であるはずであり、現場の声を軽視するのは反民主主義だろう。
党員票より国会議員票を重視する総裁選のあり方は、自民党が長年に渡って政治を腐敗させてきた姿をよく表している。
国会議員票 : 86 146 114 34
党員算定票 : 169 110 74 29
合計 : 255 256 188 63
国会議員票 : 131 249
都道府県連票 : 39 8
合計 : 170 257
この結果から分かることは、党員票をどれだけ集めようと結局最後は国会議員票で決まるということだ。つまりは議員同士の駆け引き、貸し借りの優劣、忖度、等が渦を巻いて票の流れが決められて行く。
目の前の利益と保身。党員票をもっと大事にする総裁選に変えない限り、自民党の腐敗体質は永遠に変わることはないだろう。自民党の党員はもっと怒るべきだ。