新型コロナ対策特別措置法の問題点を指摘して採決に反対したのは、共産党とれいわ新選組だけで、自民党、公明党、立憲民主党、国民党、維新の会、社民党が賛成に回った。
この構図は現在の政治状況をある意味象徴的に表していると思うが、立憲民主党に所属しながら、ただ一人屹然と反対表明した山尾志桜里議員の勇気ある行動は、山尾議員の緻密な法解釈が国民の側に立つものであることを改めて証明するものだったと言える。
新型コロナ対策特別措置法は、新型インフルエンザ等対策特別措置法を改正したものだが、そもそもなぜ改正する必要があったのか理解に苦しむものだった。
官僚が好む「等」の文字が入っているのだから、今回の新型コロナウイルスに対してもそのまま適用できるはずだと思うのだが、その辺の理由がはっきりしないのだ。
そこはさて置き、この法律の最大の問題点は内閣総理大臣が発動できる「緊急事態宣言」にある。
「国民の生活及び経済に甚大な影響を及ぼし、またはそのおそれがあるものとして政令で定める要件に該当する事態となった場合、内閣総理大臣は新型インフルエンザ等緊急事態宣言を行う(第32条)」
2012年、民主党政権下において制定されたこの法律をめぐって、この「緊急事態宣言」が問題となり、当時、医師会や弁護士会から批判の声が上がったのである。
国民の私権を制限するおそれがあるにも関わらず、期間の上限が2年の長期に及ぶことと、国会の事前承認を必要とせず、報告だけで良いとされる等の問題点が指摘されたのだ。
そして今回の改正は、この欠陥とも呼べる点を修正することなく、衆参両議院で可決されたのである。国民の不安が残るこんな法案に、なぜ立憲民主党、国民党、社民党は賛成したのか?
山尾志桜里議員の説明によると、結局のところ、民主党政権の時に制定された法律だから、修正すべき箇所があることを認めたくない、との理由らしい。国民より党の体裁が大事と言うわけだ。
多分、山尾議員の説明は真実だろう。とすれば、立憲民主党、国民党、社民党は民主党政権時の政治的未熟さをいまだに引きずっていることになる。
国民はそのことを重々承知しているから、いっこうに支持率が上がらないのだ。その中で山尾議員がただひとり、立憲民主党の執行部と対峙して明確に反対表明したのは称賛に値する。
山尾議員は、ツイッターで次のように述べている。
ベースとなったインフル特措法、私も1期生のとき与党議員として賛成しました。緊急事態発動に国会承認不要という、立憲主義の観点から致命傷を持つ法案の対応として思慮不足、行動不足の責任を痛感しています。
だからこそ、今回は責任ある行動をする必要があると思っています。
「過ちては改むるに憚ること勿れ」の見本のような発言ではないか。そしてその通り有言実行したのだから、今後の活躍も大いに期待できる。
さて、我が国には、山尾議員と全く反対の態度を取り続ける安倍晋三という、いっこうに過ちを改めることのない世紀の大バカ者もいる。
言うこととやる事のすべてがあべこべの連続。マイナス7.1%も経済が落ち込んでいるのに、「景気は緩やかな回復傾向にある」とぬかすいい加減さ。7年余りにわたる数々の失策にまともに向き合い、正しい方向に軌道修正しようとしない傲慢かつ鈍感な態度。
かつて、立法府の長は自分であると発言した事があった。荒唐無稽な信念があるから国会を軽く見て、法律を勝手に解釈変更するのだ。
百歩譲って、「緊急事態宣言」を認めざるを得ない状況に立ち至ったと仮定しても、安倍晋三のような空虚なバカ殿による発動だけは認めてはならない。
悪夢がやってくる前に、この空虚なバカ殿を1日も早く権力の座から引き摺り下ろすのが先だ。
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