沖縄よ! 群星むりぶし日記

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辺野古移設工事がいかに不条理で正当性に欠けるものであるかを発信し続けること

昨日の琉球新報は一面トップで次のように報じた。「米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設に関して、大浦湾側の軟弱地盤改良工事の設計変更申請を承認するよう斉藤鉄夫国土交通相が県に求めた指示について、玉城デニー知事は指示期限の4日、国交相に「期限までに承認を行うことは困難」と回答し、事実上の不承認とした。国は県の対応を受け、5日にも代執行訴訟の手続きに入る見込み。」

そして斉藤鉄夫国交相は5日付で、福岡高等裁判所那覇支部に、代執行訴訟を提起した。

ここに至るまでの経緯は、すべて予想通りであり何も驚くことではない。安倍政権が辺野古埋め立て工事に着手して以来、政府は沖縄県民の意向を完全に無視して工事を強行してきた。翁長知事は何度も政府を提訴したが、全て敗訴に終わった。裁判官が政権の意向を汲んでいるのは明らかだった。まともな審議を行わず、門前払いに終始したからだ。

この時点で裁判闘争が無意味なのははっきりしていた。米軍(占領軍)基地問題が絡むと、この国の三権分立は麻痺状態となり、行政と司法は一体化する。宗主国には頭が上がらずペコペコするくせに、弱い立場の沖縄県民に対しては平気な顔で強権を行使する。この構図を考慮しないと辺野古移設問題の真実は見えてこない。

宗主国(米国)ー安倍・菅・岸田政権(行政)ー翁長・玉城県政(沖縄県

このトライアングルの上に位置するのは勿論、宗主国・米国だ。しかし力関係ははっきりしているとは言え、この中から出てくる政治的発言は少々複雑だ。国務省は、辺野古移設問題に関しては静観しているが、米軍関係者からは不満の声が上がっている。辺野古新基地は欠陥施設で使い物にならない、と。

滑走路が短すぎる、沿岸部のために台風や津波に耐えられない、軟弱地盤工事が果たしてうまくいくのか、等々。GAO(米国議会政府監査院)は1998年、2009年、2017年の3度にわたって「辺野古案は作戦所要(作戦や訓練に必要な条件)を満たしていない」と指摘する報告書を公表。

米政府は辺野古移設に内心否定的なのだ。しかし表立って反対しないのは、建設費用全額を日本政府が負担するからである。一円も我が国が負担しないのであれば、好きなようにやらせておけ、が宗主国の本音だろう。

以上、大きな構図を記憶にとどめて今後の裁判の流れを考えてみたい。

斉藤国交相代執行訴訟提起(5日)→ 結審・県に承認命令の判決 → 玉城知事不承認 →  斉藤国交相代執行行使

以上のように推移して年内に工事が進むのはほぼ確定的だろう。問題は県がまた訴訟に踏み切るかどうかだが、これだけは絶対にやってはいけない。これまで通り100%負けるに決まっているからだ。ならばどうするか? 2つのことを提案したい。

1)条件をつけて承認すること。

2)たとえ工事が進んでも反対の姿勢をつら抜き通すこと。そして機会あるごとに、工事がいかに不条理で無謀なものであるかを発信し続ける。

1)について言うと、普天間飛行場を5年以内に閉鎖すれば設計変更を承認する、ということ。5年以内の閉鎖というのは、仲井真弘多元知事が、辺野古埋め立て承認と引き換えに提示した条件だった。安倍政権はこれを受けいれた。しかし、翁長知事になって完全に手のひらを返した。翁長知事は埋め立てに反対しているから、という理由付だった。しかし、これは約束破棄の理由にはならない。なぜなら、いくら反対されようと工事を強行することは政権内で決定済みだったからだ。安倍晋三菅義偉という狡猾な政治家に仲井真知事はまんまと嵌められたのだ。これが普天間飛行場5年以内閉鎖の経緯だった。

安倍政権は約束を反故にしたわけだが、岸田政権に再度提案するのも悪くない。岸田政権がどう出るか試してみるのだ。設計変更を認める条件として、普天間飛行場を5年以内に閉鎖してもらいたい、と。その実現のためには米政府と交渉しなければならなくなるが、岸田政権には無理だろう。なぜなら米政府は、先も言ったように辺野古新基地に否定的で普天間飛行場をこのまま使いたいと思っているからだ。それでもダメで元々、あえて岸田政権に難題を突きつけてやるのだ。辺野古移設をめぐる米政府と日本政府、そして沖縄県との間に内在する不条理が炙り出されることだろう。

そうしたうえで突破口が開かないのであれば、玉城知事が取るべき道はただ一つ。辺野古移設工事がいかに出鱈目で不条理で正当性に欠けるものであるかを、機会あるごとに発信し続けることだ。