沖縄よ! 群星むりぶし日記

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護憲左翼と拝米保守が日本をダメにした

30年前にバブルが弾けて以来、日本経済は完全に機能不全に陥った。その結果、多くの国民が生活苦に喘いでいる。何故そうなったか、原因ははっきりしている。長期に渡って政権を担ってきた自公政権の経済政策が失敗したからだ。それ以外に答えを見つけることはできない。

にもかかわらず、日本経済を衰退させた張本人である自公政権はいまだに政権の座に居座り続けている。選挙のたびに国民が自公政権を信任しているからだ。実に摩訶不思議な珍現象ではないか。国民を貧しくさせる政権を自ら進んで信任するなんて、日本人はいつからこうも薄気味悪いマゾヒストになったのだ?

その淵源を辿ると、7年間に及ぶGHQ連合国軍最高司令官総司令部:General Headqurter, the Supreme Commander for the Allied Powers)の占領政策に突き当たる。

GHQは、占領期間の間、日本が再び軍事大国にならないように徹底した日本弱体化政策を次々と打ち出し実行に移した。日本人の誇りを徹底的に打ち砕き、日本人の精神を完膚なきまでに骨抜きにするための政策の数々。その中で、とりわけ最大の効果を発揮したのは、明治憲法に取って代わったマッカーサー憲法(現憲法)だろう。憲法は国家理念を規定する国の最高法規である。国民の魂そのものである。その憲法を日本人ではない米軍人が創作して日本に押し付けた。それが今の日本国憲法(正式名称をマッカーサー憲法GHQ憲法とすべき)である。そのマッカーサー憲法がいかにして日本国憲法として成立したか、西鋭夫教授が『占領神話の崩壊』で一次資料を挙げて実証している。

この本の52ページに次のような記述がある。

「一九四六年二月一三日(水曜日)午前一〇時、六本木の原田積善会で戦後日本の運命を決めた瞬間の実録を、我々は丁寧に読む。マッカーサーの第一子分ホイットニーが吉田茂と松本烝治へ、天皇の命を奪う可能性をチラつかせながら、GHQ草案を受け入れるように迫った。左記は、その会議実録。ホイットニー准将の部下三名が記録した。」

そして、「ホイットニー准将が最高司令官の名代として吉田茂外相にマッカーサー草案を手交」というタイトル名で、その時の様子を記述した文章が続く(53頁〜62頁)。

フーバー研究所に眠る膨大な一次資料の中から西教授が発見した貴重な会議実録なので、関心のある方は是非、ご購入の上、目を通していただきたい。

全文を書写すべきか迷ったが、結構長すぎるので、ホイットニー准将が吉田茂、松本烝治に対してマッカーサー草案を説明する箇所から重要と思われる所だけを選んで抜粋する。

天皇を戦犯として軍事裁判にかけよ、と他国からの圧力は高まってきております。あなた方がご存じかどうか知りませんが、マッカーサー元帥はこの圧力から天皇を守る決意をされておられます。元帥はこれまで天皇を擁護してきました。なぜなら、元帥は天皇を守ることが正義だと考えておられ、今後も力の及ぶ限りそうされるでしょう。みなさん、元帥といえども神のように万能ではありません。しかし、元帥は日本がこの新憲法を受け入れるのなら、天皇に誰も手が出せないようにするため全力で尽力されるでしょう。新憲法を容認すれば、日本が連合軍の占領から独立する日もずっと早くなります。それは、連合軍が要求している基本的自由が日本国民に与えられたと見られるからです。元帥は、私がこの草案を日本政府と政党に提示するように命じられました。その採用についてみなさんが審議をした後、望むなら、この憲法草案は元帥の完全な支持を受けた憲法として国民に提示してもよいとまで断言されているのです。もちろん、元帥はこれをあなた方に押し付けてはおりません。ですが、元帥は、この憲法に明記されている民主主義の原則を国民に提示すべきだと決意されておられます。あなた方の自主的な行動によってこの新憲法を国民に示すことを願っておられます。もし、自主的にできないのなら、元帥自らが公示することになるでしょう。そうなると、みなさんのメンツは丸つぶれです。元帥はこの新憲法によって敗戦国日本が世界の諸国に対して、恒久平和を目指す道徳的指導者になりうる機会を与えておられるのです。あなた方が、この憲法草案を受け入れて、政治的に進歩的・革新的となること、すなわち急速に左翼化することで、あなた方の地位と権威は元帥により保証されます。いままでのように極右のままだと、あなた方の政治生命は終わります。この憲法草案を受け入れることが、反動的な国体護持派と見なされているあなた方が生き残る唯一の望みであるという現実を忘れないでください。はっきり断言しますが、草案を受け入れれば、あなた方の権力が延命します。受け入れなければ、あなたたちの政治生命は速やかに終焉を迎えます。元帥は、日本国民がこの憲法草案、もしくは、私たちが望む諸原則が反映されていない他の憲法を選ぶ自由もあるべきだと考えておられます。」

ホイットニー准将の説明は、明らかに恐喝である。天皇マッカーサー憲法を天秤にかけて、どっちを取るか日本側に突きつけた。これはヤクザ顔負けの恐喝以外のなにものでもない。

吉田茂と松本烝治は色を失って反論できない。戦後日本の運命が決まった瞬間だった。会議の後、吉田外相はマッカーサーに対して、この憲法草案はGHQから出されたことを秘密にしてもらいたいと懇願してマッカーサーの了解を得ている。

かくして日本国民は日本国憲法の出生の秘密を知らされないまま、1947年5月3日、日本国憲法が施行された。総理大臣となった吉田茂は終生、憲法擁護論者だった。今の護憲左翼の先頭ランナーである。一方で吉田茂は拝米保守の顔も併せ持つ。なぜなら自民党の反対勢力は社会党であり、当時の社会党日米安保反対の立場だったからである。その社会党は左翼勢力と認知され自民党は保守勢力と呼ばれた。

しかし、戦後の歴史の網目を解きほぐすと、そんな単純な物語ではないことがよくわかる。戦後日本には、真の左翼も真の保守も存在しない。GHQ憲法がそう呟いている。

日本共産党が真の左翼なら、日米安保の破棄を主張しながら、なぜGHQ憲法を擁護するのだ?

自民党が真の保守なら、憲法改正を主張しながら、なぜ原爆を2発も落としたかつての敵国・米国に従属するのだ?

日本共産党自民党の相反する矛盾の原点は、戦後日本の誤った出発点に内在する。日本人の魂であるべき日本国憲法が、実は占領軍に押しつけられたメイド・イン・アメリカ製である事実を政治の俎上に上げるべきなのに、そんな度胸のある政治家は一人も存在しない。護憲左翼と対米追従の拝米保守だけだ。

マッカーサーの意図は、徹底した日本弱体化だった。その象徴が九条第二項である。

九条 ② 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

この条文は、全世界に向けて日本人を「殺すなら殺せ」と宣言しているようなものだ。安保廃棄を主張しながらこの条文(マッカーサーの意図)を変えてはならないとする日本共産党に代表される護憲左翼の欺瞞。

この条文はそのままに、新たな条文を設けてそこに自衛隊の文字を書き込むと提案した自民党安倍晋三元総理を代表とする拝米保守の欺瞞。

憲法をめぐるこのカオス状態は、戦後今に至るまでずっと続いて終息の出口が見えない。