沖縄よ! 群星むりぶし日記

沖縄を、日本を、そして掛け替えのない惑星・地球を愛する者として発信していきます。

三島由紀夫を超えられない現代日本人

8月15日に連合国軍のポツダム宣言を受け入れて、日本の敗戦が決まった。政府はこの日を「戦没者を追悼し平和を祈念する日」として毎年、全国戦没者追悼式を主催している。

この日がやってくるとぼくの心は鉛のように重くなる。その理由は、大東亜・太平洋戦争に対する評価が、真っ二つに割れるからだ。

日本共産党をはじめとする左翼リベラル政党と、彼らを支持する政治団体・組織体は、先の大戦(彼らは大東亜の名称は使わない、太平洋戦争と呼ぶ)をアジアに対する侵略戦争で誤った戦争であったと言い、その反省に立って9条に代表される現平和憲法を守るべきである、というのが彼らの主張の要旨である。

一方の自民党に代表される保守政党とその支持者の主張には、左翼リベラル派の明快さはない。組織体によって主張の濃淡が違うのだ。現憲法は占領軍(米軍)が押し付けたものであるから、いったん廃止して明治憲法に戻してから、必要に応じて改正すれば良い、とする極論派から、とりあえず現憲法の9条を改正して、自衛隊を軍隊として規定する、という穏健派まで様々である。

様々ではあるが、左翼リベラル派の主張とは明らかに一線を画する。しかし、その主張はあまりにも辿々しすぎて、彼らの本音がいったい何処にあり、何を目指すのか、いっこうに見えてこないのである。

今年は4人の閣僚が靖国神社を参拝した。しかし、安倍首相は例年どおり、玉串料代理人に納めさせただけで、本人は参拝を見送ったのである。全国戦没者追悼式における安倍首相の式辞挨拶も例年どおり、気の抜けた玉虫色の言葉で綴られていたに過ぎない。

左翼リベラル派の現憲法9条維持と保守派の9条改正に対するオブスキュランティズム(曖昧主義)。

8月15日に毎年全国を縦断して催される大いなる茶番劇!

ここで思いだされる至言がある。鬼才・佐藤健志の言葉「右の売国、左の亡国」は、まさしく現代日本の精神状況を見事に捉えている。

今の安倍内閣の政治は占領軍(米軍)に従属する売国政治である。そして左翼リベラルは軍隊を保持することに反対を唱える亡国集団である。

毎年8月15日に繰り広げられる右の売国と左の亡国の茶番劇はもうウンザリするほど見飽きた。戦後日本はなぜこうもだらしない国家になってしまったのか?

先日も書いたように、大東亜・太平洋戦争の総括を責任ある当事者の政府が怠ったからである。正当化できる部分と猛省しなければならない部分を切り分けて可視化する。科学的合理的分析で全体像を提示する。このように総括しなければ、8月15日の茶番劇は今後も永遠に続くだろう。

そこで、ぼくは個人的に次のように総括する。

正当化できる点:アジアの植民地から米軍(フィリピン)英軍(インド)仏軍(ベトナム)蘭軍(インドネシア)を追い出し、アジア各国の独立に大いに貢献したこと。帝国主義国家欧米列強と戦ったのはアジアで帝国日本だけである。そしてアジアの植民地を欧米列強から解放した。この勇気ある行動は、どんなに称賛しても足りない。

左翼リベラル派がこの点について指摘することはない。逆に保守派はこの点のみを強調して、反省すべき日本軍のあり方について言及しない。

猛省すべき点大本営発表に見られる軍隊上層部の非科学的理性。日本を神国と呼び精神論で戦をした前近代的軍隊組織。ガダルカナル戦、インパール作戦。食料は現地調達せよ。

ガダルカナルインパールも、戦死者の多くは餓死と疫病が原因である。戦闘で死んだのは3分の1程度である。こんな非情な軍隊組織は欧米列強には存在しない。しかしそれでも現場の兵隊は米軍が恐怖するほど勇敢に戦ったのである。だから米軍の将軍は次のように言ったのだ。「日本の兵隊は勇猛果敢だったが、軍の上層部は無能だった」

この2点、正当化できる点と猛省すべき点を中心に、政府は大東亜・太平洋戦争の全資料を解析して、その全体像を国民に明らかにすべきだろう。政府にはその責任と義務があるはずだ。

これを果たさない限り、日本の政治の漂流が止むことはないだろう。三島由紀夫の警鐘を乗り越えるための必須条件だ。

このまま行ったら日本は無くなって、その代わりに、無機的な、空っぽな、ニュートラルな、中間色の、富裕な、抜け目がない、或る経済大国が極東の一角に残るのであろう

このまま行ったら経済大国さへ怪いものだ。衰退国家へ一直線。大東亜・太平洋戦争の総括さへできない政府なんか糞食らえ!