沖縄よ! 群星むりぶし日記

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産経新聞という親米保守派マスコミの限界

産経新聞は保守を代表する新聞だと世間では認知されているが、正確に言うと親米保守派新聞である。最近の記事からその事実を確認することができる。「昆虫救助隊」アキノ隊員のツイッターから引用する。

4月12日付の産経新聞のコラム「沖縄考」。タイトルは「アキノ隊員はなぜ過激なのか」。書き手は那覇支局長・川瀬弘至。

その中で川瀬氏は次のように述べている。「残念ながら産経新聞の取材に「ノーコメント」の基地反対派もいる。だが、アキノ隊員は「私の言い分をきちんと書くこと」を条件に応じてくれた。瞳をキラキラさせて、「それなら批判しても構わない」とー。堂々たるものである。」

続いてアキノ隊員が出した条件をベースにして、なぜアキノ隊員が昆虫に興味をもちはじめてその世界にのめり込むようになったのか、そしてなぜ、米軍と沖縄の行政に対して過激な行動をとるようになったのか、その経緯について端的にまとめている。

短い内容ではあるが、簡潔で味わい深い文章に思わず感心してしまった。さすがプロの書き手である。その内容にはアキノ隊員も納得がいったのではないだろうか。

しかし、残念なことに、問題は川瀬氏のアキノ隊員の行動に対する見解である。川瀬氏は最後に次のように書いている。「以上がアキノ隊員の「言い分」だが、せっかくなので筆者の言い分も書いておこう。いかなる理由があるにせよ法に触れる行為は許されない。それを前提としつつ、アキノ隊員が過激でいられるのは、ここ沖縄が日本だからだ。中国ならとうてい許されまい。その中国は、沖縄を含む南西諸島周辺を勢力下に置こうと軍事力を増大させている。もしも中国が攻めてきたらどうするかー。アキノ隊員にも聞きたかったが、専門分野以外は公の場で話さないそうで、回答はなかった。アキノ隊員に限らず、基地反対派から納得のいく答えを聞いたことは一度もない。玉城デニー知事も「そうならないよう外交努力を尽くすべき」と繰り返すだけである。沖縄を守るには、自衛隊と在沖米軍の抑止力が必要だ。それが筆者の言い分である。むろん廃棄物の問題を無視していいとは思わない。ただ、けんか腰に「米軍でていけ」と言われると引いてしまう。保革が対立するのではなく、基地の必要性を認めた上で解決策を探るべきだろう。国も汚染除去を徹底してほしい。余談だが、筆者が沖縄に赴任して来月で丸3年になる。この間、保革対立の現場を何度も取材したが、互いの考えの違いを知ることも必要だと痛感している。」

以上の文章で川瀬氏が親米保守であるのは明らかだろう。川瀬氏のジャーナリストとしての限界がここにある。では親米保守とは何を意味するのだろうか?

日本に米軍基地がない状況下において、私は親米保守ですというなら何の問題もない。外交辞令として立派に通用する。しかし、現実は日本の敗戦以来、全国各地に米軍基地が駐留し続けている。敗戦以来だから在日米軍基地は占領軍基地としての性格を持ったままだ。日米地位協定と日米合同委員会の存在がそれを証明している。

その最大の目的は、日本の再軍備禁止、国防能力の弱体化である。GHQが押し付けた日本国憲法第九条がその証である。そしてもう一つの目的は、米国の世界戦略だ。世界各地に数多く存在する米軍基地の中で、在日米軍ほど重要な役割を持つ基地はない。在日米軍基地がなくなれば、米国の世界戦略が成立しなくなるほど、その重要性は際立っている。

だから歴代の米国政府は、日本政府を押さえ付けてでも独自外交を許さず、核兵器保有を絶対に認めないのだ。日本が独立すれば、米国の一国覇権主義は崩壊する。だから属国のままにしておく。これが日米同盟の真の姿である。

このような状況における親米保守というのは、対米従属を自ら進んで認めることに他ならない。言葉を変えて言えば「売国」である。ゆえに川瀬氏は、言葉はきついが「売国派」の一人だと言わせてもらう。

「沖縄を守るには、自衛隊と在沖米軍の抑止力が必要だ。」

と川瀬氏は言う。しかし、その前に言うべき言葉があるのではないか。日本は名実共に米国から独立して自前の軍隊を持ち、米軍(占領軍)には撤退してもらう、と。

アキノ隊員の過激な行動は、日本よ独立せよ!と叫んでいるようにぼくには聞こえて仕方がない。付け加えるなら、アキノ隊員の行動は過激でも何でもない。不条理に対する当然の自然な行為である。