日本の政治をダメにする大きな原因の一つは投票率の低さにある
熱い参議院選挙が終わった。
期待のれいわ新選組は、特定枠で天畠大輔、比例で水道橋博士、そして東京選挙区で山本太郎の3名が当選を果たした。
大変嬉しいことだが、欲を言えば最低あと2議席は欲しかった。そうすれば、全部で10議席になり、山本代表が言うように法律案を提出できるようになるからだ。
しかし、野党が議席を減らす中で、ゼロから3議席増やしたのだから大健闘したと関係スタッフ全員を褒め称えるべきかも知れない。と同時に全員に労いの言葉を贈りたい。みなさん、本当にご苦労様でした!そしてぼくの地元沖縄選挙区では辺野古新基地に反対する伊波洋一が僅差ではあるが当選したのも朗報である。本当に良かった。
それにしても、上のグラフを見ると流石に脱力感に苛まれてしまう。30年に渡って日本を衰退させてきた自民党が議席を大幅に増やし、公明党も改選前の議席を維持している。そして自民党以上に新自由主義を掲げる危険な政党・維新は倍増しているのだ。
有権者は日本が衰退していくのを良しとしたのだろうか? 不景気の時に財政出動せず、逆に増税を目論む自公政権を、本当に信任したのだろうか? グラフの数字を文字通り受け止めれば、明らかにそうだと言える。しかし、真実は顔の後ろに隠れている。
その秘密を解く鍵は投票率だ。今回の投票率は52.05%、3年前に比べると若干上がりはしたが、歴代4番目に低い投票率である。投票率自体、年々下がる傾向にあり、5割前後で推移している。
これは世界各国と比較しても非常に低い数字で日本は130位以下である。西欧の先進国は70%以上、北欧諸国は80%を超える。日本の投票率はなぜかくも低いのだろうか?
その答えを示すグラフがあるのだが、実はこのグラフにはコピーを防止する仕掛けが施されているらしくて、何度試みても転載することができなかった。そこで言葉だけで説明しなければならないのでご了承願いたい。
このグラフは年代別投票率の推移を表した折線グラフである。投票率が上がる順に年代を並べると20代、30代、40代、70代、50代、60代となっている。つまり20代が一番低く、60代が一番高い。70代は4番目だが、50代と拮抗していてその間にあまり差はない。
つまり単純化して考えると、若い世代ほど投票率は低く、高齢世代は高い、となる。全体の投票率を上げるには、20代、30代、40代の若い世代の投票率を上げる必要のあることが、このグラフからはっきり読み取れるのだ。
一番上の60代の投票率は70%台あるから、若い世代をそこへ近づければ、全体でやっと西欧の先進国並みになる計算が成り立つ。
高齢者の票は左翼系に流れ、若者の票は保守系に流れるという風評があるが、木を見て森を見ずの議論で問題にならない。投票は本人の自由意思で行われる以上、どの政党の誰に投票しようが、その行為は尊重されるべきだ。
70%台ある60代の投票率こそが健全であるとすれば、若い世代がいかにそこまで辿り着けるかが、今後の大きな課題になる。
国会はこの問題をもっと真剣に取り上げて大いに議論すべきだろう。半分近い有権者が投票に行かない状況がこの先も続けば、政治の新陳代謝は進まず、日本はますます世界から取り残されるだけだろう。失われた40年、50年が目の前に迫っているのだ。