沖縄よ! 群星むりぶし日記

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自ら申し入れて右翼と対話する山本太郎

今月20日、福島駅前で山本太郎せと弘幸・桑原一真との対話があった。

その様子を、はとらずチャンネルが動画配信した。ワクワクするような非常に貴重な映像である。

その動画を見ると、後部に大きな日の丸と日章旗を掲げた黒塗りの小型車が「山本太郎を見かけたら110番」とスピーカーで叫びながら走り抜けて来る映像が目に飛び込んでくる。

桑原氏によると(対話の翌日、同氏は「山本太郎氏との対話を総括」とのタイトルで動画を配信している。その動画より)山本太郎は自ら車に駆け寄り、ドアを叩いて対話を申し込んできたという。車内にいたせと氏が同意したため、動画に見られるような対話が実現した。

せと弘幸

帽子を被りマスクをしているため顔を確認することはできないが、ぼくは18年3月8日の当ブログで同氏の行動を批判したことがある。高江米軍(占領軍)ヘリパッド建設に反対する闘争が展開されていた頃、せと氏は仲間数人と反対派のテントを訪れたことがあった。

その時彼らに応対したのが誠実な人柄の奥間政則(土木技師)だ。奥間氏をおちょくって失言の言質を引き出そうとするせと氏。しかし、奥間氏の対応ぶりが実に見事だった。少しも臆することなく終始丁寧な姿勢で応対したのである。肩透かしを食らったせと氏はあえなく退散。

と言ったような内容のブログだが、せと氏側が配信したであろうその時の動画を見てぼくは自分の感想を書いたのだった。削除されたためかどうなのかよくわからないが、その動画は今となっては見ることができない。

さて山本太郎対右翼せと弘幸・桑原一真。「れいわ新選組」対「日本第一党」の対話編。

www.youtube.com

残念ながらせと氏の発言は拍子抜けするほどに精彩を欠く。期待外れである。「山本太郎を見かけたら110番」とスピーカーで叫ぶ中身はこんなものか。山本太郎を論破するだけの理論武装微塵も感じられない。これでは日本第一党最高顧問の肩書が泣くぞ。

桑原一真

ぼくの朧げな記憶では、せと氏が高江に来た時に随伴していた人物によく似ている。風貌といい荒っぽい言葉遣いといい実によく似ているのだ。多分彼に間違い無いだろうと思われる。

せと氏と桑原氏がこだわるところはただ一点。山本太郎が政治家になる前、福島原発事故による放射能汚染に対する当時の菅(カン)政権と東京電力のあまりにも酷い対応ぶりを激しく批判する中で、福島の農産物の危険性に言及したこと。

これが福島県の住人であるせと氏と桑原氏が激怒する原因になった。あれから10年が経過した今なお、その件を追及する両人に対して山本太郎は「当時は声が荒すぎ未熟だった点については反省しています。」と答えている。

それならここに集まっているお前の支持者の前で、福島の農産物は安全ですと言えよ、と追求の手を緩めない桑原氏。それに対する山本太郎の応対は具体的で説得力がある。

政治家が「福島の農産物は安全です」とだけ言えば、今の政府と東電の逃げ切りに手を貸すことになるだけだ。確かに100シーベルト以下の現在の数値だと、政府が言っているように確かに安全ではあるが、政府にはあくまでも汚染前の状態にまで数値を近づける努力を続けさせるべきであり、その結果として消費者の信頼を得ることができるのだ。

政治家が単に「福島の農産物は安全です」と宣言するだけでは政府の責任があやふやになるだけで喜ぶのは政府。だから、ちゃんと踏むべき手続きが必要で、それが政治家の役割であり使命でもあるのだ。そして農業従事者に対して徹底した補償を東電と政府に認めさせること。

山本太郎は政治家になってからその実現のためにずっと活動してきた。小さな言い間違いはあっても彼の姿勢は一貫してブレるところがない。山本太郎の事実に基づく具体的な説明に対して桑原氏の反論は説得力に欠ける。感情的になるだけで原発事故の全体像を検証した形跡が見られない。だからまともに具体的に反論することができないのだ。

桑原氏も多くの右翼活動家の例に漏れず、山本太郎を左翼と決めつけている。はっきり言ってウンザリである。特定の人間を左翼という枠に閉じ込めてしまえば、右翼としてはあとは何も考える必要がない。反日左翼と定義してしまえばもはや議論の余地さへない。彼らにとって左翼は全て悪なのだ。あとは有無を言わさず鉄槌を下すのみ。

こんなワンパターンだから黒塗りの車で街宣活動をする右翼は良識ある一般市民から忌み嫌われるのだ。ぼくも反吐が出るくらい大嫌いである。

山本太郎は自分の立場を左でも右でもなくフリースタイルだと、機会あるごとに繰り返し述べてきた。彼の言う通りである。彼の行動を追い続けている人間なら彼の言うフリースタイルの意味が理解できるだろう。彼は左翼というひとつの枠に収まるような小物ではないからだ。だから議論をはっきりさせるために、ゲリラ豪雨で街宣が流れそうになった事態をいい機会だと捉え、偶然そこに乗り込んで来た右翼に対話を申し入れたのだ。

おかげで非常に貴重な映像を我々は見ることができる。はとらずチャンネルに感謝したい。

そして注目したいのは、議論が進むにつれて桑原氏と山本太郎の間に僅かではあるが、お互いに共鳴できる部分があることが分かった事である。愛国心という言葉こそ出なかったものの、両者には日本の将来を憂える気持ちが強いということだ。

桑原氏が対話を総括する動画を見たが、反省すべき点は反省する姿勢には好感が持てる。願わくば、興奮しないであくまでも事実のデータに基づいた理詰めの建設的な議論を、街宣の場で良いからもう一度、山本太郎とやってもらいたい。白熱した議論をもっと見たいと思う人は多いはず。

いずれにしても山本太郎の凄さに改めて感服した。頭脳明晰、半端ない勉強量、田中角栄並みの記憶力、行動力、そして右翼との紳士的対話を試みる度量の深さ。こんな人間にこそ日本の総理大臣になってもらいたい。不毛な保守と左翼の分断を踏み越えて、緩やかでもいいから、山本太郎が率いるれいわ新選組と連携しよう。

そして若い人々に訴えたい。是非投票に行ってもらいたい。日本の腐った政治を変える唯一の道は、投票率をあげること。今年の衆議院選挙、来年の参議院選挙で投票率が7割8割を超えれば確実に政治をひっくり返すことができる。

腐りに腐りきった今の自公連立政権をこのまま続けさせるのか、それともれいわ新選組が唱える積極財政で日本の経済を立て直す野党連合(野党第一党立憲民主党代表の枝野の覚悟次第)政権を誕生させるのか、全ては投票率にかかっている。

生活の隅々まで政治が入り込んでいるという現実を、若い人々には是非認識してもらって是非投票所に足を運んでもらいたい。まだまだ諦めるのは早いのだから。

追記(8月24日)

せと弘幸氏が自身のブログで山本太郎との対話について書いていることが今日(24日)わかった。公平を記す上で、また真実に近づく上でも、当ブログの読者にはせと氏のブログに目を通して頂きたいと思う。