沖縄よ! 群星むりぶし日記

沖縄を、日本を、そして掛け替えのない惑星・地球を愛する者として発信していきます。

長周新聞のウクライナ戦争をめぐるメディア報道批判が素晴らしい!

5月19日付の長周新聞が、ウクライナ戦争をめぐるメディア報道のあり方を痛烈に批判している。ズバリ本質をついたもので、教えられるところが多い。真実に飢える読者の参考になればと思い、転載させていただくことにした。記事は日中戦争にも言及しているが、長くなるのでそこは割愛した。

全文はこちら=https://www.chosyu-journal.jp/shakai/23552

ウクライナとロシアの戦争をめぐるメディア報道が画一化し、その情報源が戦争の一方の当事者であるウクライナ当局または米国当局発表に偏り、客観性や中立性、冷静さを失った扇情的プロパガンダに染まっている。日本でもNHKから民放、各新聞社に至るまでロシア(プーチン)悪玉論に染まり、ウクライナ擁護、さらには「ウクライナ支援」と称して武器供与を継続する米国側に与した論調で埋め尽くされ、紛争の原因を解き明かし、双方の主張から妥協点を探り出して早期停戦を促そうとする意見は「侵略を肯定するもの」と見なして排斥される。その熱狂に染まった世論操作は、第三者としての冷静な視点を奪い、日本政府による対ロ経済制裁ウクライナへの装備品供与、隣国との緊張を煽って改憲、軍備拡張へと舵を切ることをバックアップしている。それはかつての戦争で国民を破滅の道へと導いた大本営発表(戦時報道)を彷彿とさせており、不偏不党や中立報道を装いながら、ふたたび日本を戦争へと誘導する商業メディアの姿を浮き彫りにしている。

まったく同じ見出しが並ぶ大手紙のウクライナ報道(5月10日付)

停戦促す世論形成を阻害

現代の戦争は、戦闘現場での実戦だけでなく、情報(認知)戦による世論操作が重要な位置を占める「ハイブリッド戦争」といわれ、国家機関に加え、国家や政府をクライアントとする広告代理店(PR会社)が介在し、メディア網、SNSYouTubeなどのインターネットを駆使した世論形成が第二の戦場となっている。手法こそ進化しているものの、これら情報操作による世論のコントロールが、休戦や停戦に向かわせるか、戦争を長期化させるかという政策判断を大きく左右することは今も昔も変わらない。

とくに今回の戦争は、直接的な交戦国はロシアとウクライナだが、ウクライナ側には正規軍こそ出さないものの、アメリカや欧州諸国が最新兵器を含む膨大な武器や弾薬を供給し、民間軍事会社や傭兵部隊がウクライナ軍の一員として戦闘に加わっている。なかでも停戦仲介をせずに戦争長期化を示唆しているバイデン米政府は、大統領自身が「プーチンは悪魔」とし、権力の座から引きずり降ろすことにまで言及しており、ウクライナ戦争は欧州の権益をめぐる米露の代理戦争の様相を帯びている。

ウクライナの軍事顧問はアメリカであり、一般にウクライナ軍といっても正規軍、地域防衛、私兵、傭兵部隊が混交し、中央集権的な参謀組織が存在しないことが指摘されている。停戦合意の如何は、ウクライナ当局というよりも、その背後にいるアメリカ政府の意向が強く反映する関係にある。ゼレンスキー政府の後見役のような立場で国際的な対ロ非難や経済制裁の音頭をとっている米英政府は、「自由と民主主義vs.悪魔化した専制主義」「主権のために戦う独立国vs.それを脅かす侵略者」といった図式でキャンペーンを張りめぐらし、踏み絵のように「どちらに味方するのか?」を他国に迫る一方で、停戦交渉には否定的な姿勢をとりつづけている。

それは、ウクライナを矢面に立たせながら、ロシア(プーチン政権)の弱体化を図る意図を背景にしており、「ウクライナ支援」としておこなわれる施策の多くはウクライナの人々の生命や主権の保護のためにおこなわれているとはいえない。戦争による直接被害が及ばない米英側は、武器供与によって高額な兵器が飛ぶように売れる米レイセオンロッキード、英BAEシステムズなどの軍需産業の株価は軒並み上昇し、ロシア産原油天然ガスを禁輸することでアメリカのシェールガスの相場が上がるなど戦争特需の恩恵を受けており、それはエネルギーや食料価格の上昇をもたらし、途上国をはじめ米欧側の人々にも大きな打撃を与えている。

ウクライナ危機は、2月24日のロシアによる軍事侵攻から突如として始まったものではなく、アメリカの資金・武器支援によっておこなわれた2014年のマイダン革命(クーデター)、それ以降8年にわたって続いてきた東部ドンバスでの内戦(親ロシア地域へのウクライナ政府による民間居住区への爆撃)や、ロシア系住民への迫害、さらには対ロ軍事包囲網であるNATOの東方拡大、ウクライナの軍事拠点化など、隣国ロシアにとって無視できない欧米による一方的な対ロ政策がくり広げられてきたことの延長線上にある。

それはソ連崩壊から30年の間にくり広げられてきた米ロ矛盾と無関係に考えるわけにはいかず、ロシアによる軍事侵攻とともに、戦争を回避する措置をとらず、背後から軍事挑発をし続け、あげくはウクライナの人々を犠牲にしながら代理戦争をおこなわせ、その戦争特需に沸いている側にも非難の矛先が向けられなければ、戦争終結には向かいようがない。

ところが「第三者」であるはずの日本のメディアは、片側のプロパガンダに与し、ウクライナ軍の砲撃か、ロシア軍によるものかも定かではないものについても、すべて「ロシア軍の攻撃」「ジェノサイド(大量虐殺)」として扇情的な報道をくり広げている。真偽が定かでないものをセンセーショナルに報道することで人々の敵愾心を煽り立て、片方のより悲惨な攻撃を正当化する。それは「暴支膺懲(横暴な中国を懲らしめよ)」といって、日中戦争から太平洋戦争にまで国民を動員した大本営発表を彷彿とさせるとともに、現代ではすっかりペンタゴンの下請けと化したメディアの本質を浮き彫りにしている。