沖縄よ! 群星むりぶし日記

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バイデンに利用され捨てられたウクライナの悲痛

昨日、メインプレイス2階にある本屋で遠藤誉著『ウクライナ戦争における中国の対ロシア戦略』(PHP新書)を購入した。奥付には4月28日第一版第一刷とあるから、出版されたばかりの本だ。

「 第五章 バイデンに利用され捨てられたウクライナの悲痛」の中に、年表「ウクライナの中立は如何にして潰されたのか」が図表として掲載されている。2008年以降のウクライナを巡る状況の流れを時系列に概観できるので、大変参考になると思い、転載することにした。ただ、パソコンのソフトの関係で、図表をそのまま掲載することはできないので、箇条書きの形でまとめてみた。

2008年

1月:(ウクライナ世論調査では、50%のウクライナ人が NATO加盟に反対、24.3% が支持

4月:ブッシュ大統領ウクライナ訪問、NATO加盟を支持。千人程度のウクライナ人がキエフでブッシュに抗議活動。プーチンウクライナNATO加盟に反対。

2009年

7月:バイデン副大統領がウクライナ訪問、ウクライナNATO加盟を強く支持すると発言。

2010年

2月:ヤヌコーヴィッチが大統領に当選

4月:ロシア黒海艦隊の契約を延長。(ロシア)黒海艦隊の駐留期限を延長する見返りにガス代金を割引くハリコフ合意が成立

6月:中立を保ち、NATOに加盟しない法律を措定

10月:EUとの間のビザ免除ロードマップを締結

2012年

3月:EUとの連合協定を仮調印

7月:ロシア語の地位を守る法律を採択

2013年

11月:21日、EUとの連合協定調印を中止。それを受けて、野党党首の呼びかけによりマイダン革命勃発。

12月:15日、ジョン・マケイン共和党上院議員とクリス・マーフィー民主党上院議員ウクライナを訪問し、野党党首と会談して、マイダン革命を支持した大衆を応援し激励する。

17日、ロシアはウクライナに対し150億ドルの経済援助と33%のガス価格割引を提供する契約を締結。

2014年

1月:バイデンがオバマウクライナ問題を担当したいと申し出て、ウクライナに軍事援助(対戦車ミサイル)の提供をしたいと主張したが、オバマにより却下される。

2月:ウクライナ騒乱、言語法廃止。ヤヌコーヴィチ大統領ロシアへ亡命。(米国)ヌーランド国務次官補とパイアット在ウクライナ米国大使、ウクライナの政変を望み、野党指導者に期待する役割について話し合っている録音がリークされた。

3月:ロシアによるクリミア併合、ドンバス地方武装蜂起、ハリコフ合意打ち切り、以降、関係悪化。

4月:バイデンがウクライナ訪問。ハンター・バイデンがウクライナ最大の天然ガス会社の取締役に就任。

6月:ポロシェンコ政権発足。ドンバス戦争を調停するためにフランス、ドイツ、ロシア、ウクライナによる四者会談「ノルマンディー・フォーマット」が始まる。バイデンがウクライナ訪問、ポロシェンコ大統領就任式に参加。

9月:ミンスク議定書を調印。

12月:(ウクライナ)中立放棄を宣言。ポロシェンコが NATO加盟の国民投票を約束。

11月:バイデンがウクライナ訪問。

2015年

1月:31日、オバマ大統領がヤヌコーヴィッチ大統領の追放クーデターに米国が関与していたことを認める。

2月:第三回「ノルマンディー・フォーマット」でミンスク2を調印。

4月:アメリカがウクライナ軍を訓練。

9月:NATOウクライナ軍訓練に540万ユーロを提供。

12月:バイデンがウクライナ訪問、ウクライナ最高議会で講演。

ウクライナNATOと共同軍事演習を5回以上行う。

2016年

1月:EUウクライナ自由貿易区発効。

3月:ハンター・バイデンが取締役を務める会社を調査する検事総長が解任される(バイデン副大統領がポロシェンコを脅迫)

2017年

1月:バイデン、副大統領離任前にウクライナを訪問。大統領選挙中から NATO不要論を掲げたトランプが大統領に就任。

6月:(ウクライナ)最高議会が NATO加盟を外交優先政策と決定。

7月:ポロシェンコが NATOとMAPについて交渉開始。

2018年

1月:(ウクライナ)ドンバス再統合法可決。

9月:(ウクライナ憲法修正案を可決、NATOEU加盟を外交政策目標に掲げる。

11月:ケルチ海峡事件。ロシア、ウクライナ艦船3隻を拿捕。

2019年

2月:(ウクライナ憲法改正NATOEU加盟を努力義務とする。

5月:ゼレンスキー政権発足。

11月:マクロン大統領が NATO脳死状態と批判。

2020年

1月:(ウクライナ)ロシア語を禁じる法律が施行。

9月:(ウクライナNATO加盟の新しい国家戦略を許可。

2021年

1月:バイデン政権誕生。ゼレンスキーがバイデンの就任に祝辞を送り、ウクライナ訪問を要請し、これまでのミンスク合意枠組み(ロシア、ウクライナ、フランス、ドイツ)を破棄して、その中にアメリカが入ることを要望。(ロシア)ゼレンスキーによる既存のミンスク2枠組みの破棄と、アメリカの介入要望を受けて、プーチンが複数回にわたり不満を表明。

3月:17日、バイデンがプーチンを「人殺し」と批判。ドンバス地方で紛争再開。24日(ウクライナ)クリミア脱占領と再統合に向けた新国家戦略を採択。29日(ウクライナ)大統領府長官と米大統領補佐官が通話。NATOが計28000人の大規模演習「ディフェンダー・ヨーロッパ21」を実施

3-4月:(ロシア)NATO軍事演習に対抗して軍事演習&ウクライナ辺境で約40000人配備。

4月:2日、ゼレンスキーとバイデンが通話。6日、ゼレンスキーが NATO事務総長に電話し、「ウクライナNATO加盟が最優先課題」と告げる。26日、ゼレンスキーが取材で米英加を入れたミンスク2の改訂を呼びかける。29日、(ロシア)ゼレンスキーのミンスク2改訂の呼びかけは、合意を履行する意思がないことの現れと主張。

6月:16日、米露首脳会談。

8月:アフガニスタン米軍撤退の惨状。

9月:1日、ゼレンスキーがバイデンを訪問。20日、NATOを中心とした15ヵ国6000人の多国籍軍によるウクライナとの軍事演習を展開。

10月:23日、バイデンはウクライナに180基の対戦車ミサイルシステム(ジャベリン)を配備。26日、ウクライナ政府軍が親ロシア派へ初のドローン攻撃。

11月:ウクライナ軍によるドネツク州へのドローン攻撃をきっかけにロシアが停戦協定違反と非難し、軍隊をさらに集結。13日に既に10万人が集結したとウクライナ側が発表。

12月:7日、プーチンと会談後、ロシアがウクライナに軍事侵攻した場合、米軍をウクライナ国内に派遣してロシアの軍事侵攻を阻むことについて、バイデンは「検討していない」と否定的な考えを示した。17日、ロシアはウクライナNATOに加盟しない事や、東方への部隊配備が進んでいる NATOに対し1997年時点の水準にまで後退・縮小させる事などを要求する条約草案を発表。

2022年

1月:2日、ゼレンスキーとバイデンが電話会談。12日、NATOとロシアはブリュッセルNATOロシア理事会で会談したが、ロシア側の要求は受け入れられなかった。22日、米国の2億ドル軍事援助がウクライナに到着し始める(23日、25日に追加)26日、ロシア、ウクライナ、フランス、ドイツのノルマンディー・フォーマット参加国外相はフランスの首都パリで会談。ウクライナNATO加盟を許さないなどのロシアの要求を NATOが正式に却下。27日、ゼレンスキーとバイデンが電話会談。

2月:7日、フランス大統領マクロンプーチンと対談、翌日ゼレンスキーと対談。10日、ロシア、ウクライナ、フランス、ドイツのノルマンディー・フォーマット参加国はドイツの首都ベルリンで高官級協議。10日〜20日、ロシアとベラルーシの合同軍事演習「同盟の決意2022」。13日、ゼレンスキーとバイデンが電話会談。14日、ゼレンスキーとシュルツが会談。会談後、ゼレンスキーが「 NATO加盟は、ただの夢かもしれない」と発言。シュルツは翌日プーチンと会談。18日、ミュンヘン安全保障会議で、ゼレンスキーが「ロシアが侵攻してくると、これ以上、煽らないでくれ」と発言。ロシアは1999年以来、ミュンヘン安全保障会議を、初めて欠席。21日、ゼレンスキーとバイデンが電話会談。(ロシア)ドネツクとルガンスク両人民共和国の「国家承認」と両人民共和国からの要請による軍派遣。24日、ゼレンスキーとバイデンが電話会談。ロシアによるウクライナ侵攻開始。28日、ゼレンスキーがEUへの加盟申請書に署名。

3月:15日、ゼレンスキーが「 NATOへの加盟はできないと認識した」と発言。

図表はここで終わっているが、この本はタイトルにもあるように、中国の対ロシア戦略が中心テーマである。大変勉強になるので、一読をお勧めしたい。

「中露蜜月にヒビが入り始めた。中国ではウクライナの惨状とゼレンスキー大統領の悲鳴を繰り返し伝えている。なぜなら、ウクライナと中国は「大の仲良し」だからだ。加えて、欧州を巻き込んだ一帯一路と中欧投資協定を国家戦略とする習近平にとって、NATOとの対立は避けたいのである。」(24頁)