沖縄よ! 群星むりぶし日記

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ウクライナを破滅へ導くポピュリズム政治家・ゼレンスキー大統領のパフォーマンス

一国の運命を背負うトップが政治的に無能なら、その国は衰退するしかない。有事になれば亡国の危機に晒される。ウクライナのぜレンスキー大統領が、今まさにその道を突き進んでいるように思われて仕方がない。

ゼレンスキー氏が変哲のない一国会議員なら、何ら問題はないだろう。国会議員の中には無能な政治家が多数いるからだ。しかし、国の最高権力者となると、話は全く別次元になる。最高権力者の発する言葉が国の将来を方向づけるからである。

では、ウクライナの現最高権力者・ゼレンスキー氏とは、果たしてどのような人物だろうか?

氏の詳しい経歴を述べる必要はないだろう。重要と思われる点だけを指摘するにとどめたい。2015年、ウクライナの国営放送で放映された『国民の僕』という政治風刺ドラマが大ブレイクするという出来事があった。

ある歴史教師(主演・ゼレンスキー氏)が、ふとしたことで大統領になり、政治腐敗と対決する姿をユーモラスに描いた他愛のないものだが、これが国民に大いに受けた。このドラマのおかげで、ゼレンスキー氏は一躍有名人になる。

ドラマの人気の背景には、ウクライナ経済の貧困(ヨーロッパで二番目に貧しい国)と汚職の横行などがあり、それをうまく風刺して国民の不満を代弁したことが考えられる。

ドラマ『国民の僕』はシリーズ化されて大統領選が行われた2019年には、第3シーズンが放送された。そしてついに、フィクションのドラマが現実のドラマとなる日がやって来る。

なんと、現実の大統領選挙にゼレンスキー氏の出馬を期待する動きが出てきたのである。その期待を受けて、ゼレンスキー氏は2018年、翌年の大統領選挙に出馬することを表明する。

今まで政治経験の全くなかった一コメディアンが、たまたま主演を演じた風刺ドラマで大変な人気を博したという理由だけで、国会議員ではなく、いきなり大統領を目指すというのだから、国民の無責任な物好きとゼレンスキー氏の行動力には絶句する他ない。

さらに驚くべきは、ペトロ・ポロシェンコ現大統領とユーリヤ・ティモシェンコ元首相を抑えて、ゼレンスキー氏は現実のウクライナ大統領になったのである。

ポロシェンコ氏との決選投票では、70%以上を得票して圧倒的大差をつけている。歴代政権の政治があまりにも酷すぎたという背景もあるだろうが、ゼレンスキー氏の当選は、その動機も経緯も明らかにポピュリズ(大衆迎合)と呼ばれて然るべき性格を持っている。

さて、国民の圧倒的支持を得て大統領に就任したゼレンスキー氏は、経済・汚職・ドンバス地域(ドネツク・ルガンスク)紛争という自国が抱える難課題にうまく対処することができたのだろうか?

答えはノンだ。国民の圧倒的期待は、見事に裏切られたのである。支持率は半年で急降下している。就任して約3年経っても、経済は一向に良くならず、汚職は横行し、地域紛争の解決は見通しが立たないままだ。

ロシア軍が侵攻する前年の支持率は、わずか19%に過ぎない。ゼレンスキー氏は、紛れのないポピュリズム大衆迎合)政治家である。自分にスポットライトがあたるパフォーマンスが実に巧みで、最大の関心事はそこにしかない。その点、小池百合子東京都知事によく似ている。

ウクライナ戦争が始まって彼がしたことは、大統領府を背景に「私はここにいる」と言って自分の姿を写した動画を配信したことである。この動画は多くのウクライナ国民の反響を呼んだ。戦う大統領、勇気ある大統領との声が寄せられて圧倒的支持を得た。

その後も機会あるごとに、国民を鼓舞する自身を写した動画を発信し続けている。しかし、ちょっと待った。何かがおかしい。

大統領は軍の最高司令官であるはずだ。動画を見る限り、ゼレンスキー大統領が軍を動かしているようには見えない。とすると、ウクライナ軍は一体誰の指揮のもとに動いているのだ?

疑問は尽きないが、米軍の影がちらほらする。軍隊を派遣してはいないが、米軍は衛星写真なり電波を駆使してウクライナ軍に情報を提供しているという報道がある。対戦車用ミサイルをはじめ武器供与も行なっている。実際このミサイルの効果は絶大で、多くのロシア軍の戦車が破壊された。

これらの事実から米軍の関与は大きいと見るべきだろう。さらに戦争が長引き戦線が拡大すれば、この米軍の関与は、さらなる危機的状況をもたらす要因のひとつになりかねないほどのものだ。

そして、それ以上に危険なのは、ゼレンスキー大統領の大衆受けを狙ったパフォーマンスである。19%しかなかった支持率が、巧みな動画配信で国民の心を揺さぶり支持率は急上昇している。

内政問題を何ひとつ解決できなかった男が、有事になった途端、得意のパフォーマンスで大衆の支持を受けている。そして世界中が軍事侵攻を決断したプーチン大統領を悪だと単純に決めつけてゼレンスキー大統領を支持している。この状況はある意味、非常に危険である。なぜなら大衆の熱狂的支持が真実を覆い隠すのは歴史の常だからである。我々はその多くの実例を知っている。

経済(ヨーロッパ第2の貧困国)・汚職・ドンバス地域紛争という深刻な問題を抱えるウクライナの舵取りは、誰が大統領になっても困難を伴うことだろう。当然ながら、大統領にはそれなりの政治的力量が要求される。しかし、ゼレンスキー氏は、その力量をほとんど持ち合わせなかったことを、約3年にわたる就役期間で、自ら実証してみせた。

彼が才能を発揮できるのは実務を伴う政治の場ではない。主役を演じた風刺ドラマ『国民の僕』のようなフィクションでの大衆迎合的パフォーマンスにおいてである。

国民の人気に気を良くして、フィクションの大統領と現実の大統領を混同した点に、ゼレンスキー氏の悲劇がある。氏一人だけの悲劇なら勝手にしろで済まされるが、国民を巻き添えにするには、あまりにも無責任すぎて、言葉にならない。

ウクライナの置かれた地政学的意味合いを正確に読んで、NATO、ロシアどちらの陣営にも属さない中立的立場というプーチン大統領の最低限の要求を、ゼレンスキー氏はなぜ受け入れなかったのだろうか?

ゼレンスキー氏に、真っ当な政治家に求められる現実を見通す能力が少しでもありさえすれば、少なくともロシア軍のウクライナ侵攻は避けられたはずである。この先ウクライナ戦争がどうなるか、複雑な力関係が複雑に絡み合っているために全く予想することは困難だが、ただ一つだけ言いたいことは、今からでも遅くはない、ゼレンスキー大統領はプーチン大統領の要求を飲むべきだ。

それでウクライナ国民が救われるなら非常に安いものではないか。プーチン大統領は何もウクライナを植民地にするとは言っていないし、その気もさらさらない筈である。コストがかかり過ぎて割りに合わないからだ。ただ愛する祖国ロシアをNATOの牙から守るために、最低限の要求をしているだけである。