沖縄よ! 群星むりぶし日記

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政治的に無能な男を大統領に選んだウクライナの悲劇

 

ウクライナのゼレンスキー大統領は、一国のリーダーとしては政治的能力に著しく欠ける人間である。2019年に大統領に就任してから2月24日のロシア軍によるウクライナ侵攻までの就役期間を振り返ると彼の政治家としての無能ぶりがわかる。

ゼレンスキー氏は、大統領になる前は一介のコメディ俳優にしか過ぎなかった。それまで政治経験は一切なし。そんな男が2015年に主役を演じた『国民の僕』という風刺ドラマがテレビ放映されて、たまたま大ヒットした。

ゼレンスキー氏演じる高校教師がふとしたことで大統領になり、様々な国内問題を解決するという風刺ドラマだが、人気を博した背景には、国民の根強い政治不信(汚職の横行、経済的貧困、親ロシア派との長引く地域紛争)があったと思われる。

問題はそれからである。ゼレンスキー氏を見出し、国民的人気者に押し上げることに一役買ったイーホル・コロモイスキーという人物が、ゼレンスキーを大統領選に出馬するよう誘導するのである。

ところが、この人物は曰く付きで有名だ。ウクライナで3番目の大富豪(オリガルヒ)の一人で、ウクライナイスラエルキプロスの3重国籍を持つ。2014年のウクライナ紛争の時は、ドニプロ大隊を組織してロシアが支援する武装勢力と敵対した。

アジフ大隊、アイダール大隊と並んでドニプロ大隊は、ネオナチの性格を帯びた残忍な武装グループで、ウクライナ軍隊に属している。

こんないかがわしい大富豪の後押しもあって、ゼレンスキー氏は国民の圧倒的支持を得て大統領職を射止めた。

しかし、政治経験のない凡庸な人間に大統領という一国の運命を背負う重職をこなせるはずがなく、日を待たずに国民から愛想を尽かされたのは当然の報いだった。支持率は半年で急降下し、2021年にはわずか19%という惨憺たる有様。このまま行けば再戦は絶望的。

ではなぜゼレンスキー氏はかくも国民の支持を失ったのか? 理由は明白だろう。ウクライナが抱える諸問題、経済の貧困、横行する汚職、ドンバス地域の紛争悪化を何一つ改善できなかったからだ。ゼレンスキー氏はコメディ俳優としては一流かもしれないが、政治家としては無能であることを自ら証明したのである。

国内に紛争を抱える国のリーダーが、政治的に無能なら、さらに状況を悪化させるのは避けられない。NATO加盟申請、ミンスク合意の不履行に伴うドンバス地域への更なる攻撃でプーチン大統領を最大限侮辱し、とうとうロシア軍侵攻を促す原因をつくってしまった。

そして運命の2月24日!

最初に武力攻撃したロシア側が完全に悪い!プーチン大統領は悪人だ、狂人だ!世界のマスメディアが一斉にロシアを非難した。ロシア側の言い分を一顧だに報道せず、侵攻されたウクライナ側を全面擁護するマスメディア。

確かに最初に手を下した側が悪いのは世界共通の常識だ。このことに異議を唱えるつもりは毛頭ない。そしてなんの理由もなくぶん殴ったのなら、ぶん殴った側が100%悪いし、被害者に対して全責任を負うべきなのも当然すぎるほど当然だろう。

しかし、プーチン大統領はなんの理由もなく勝手に軍隊を動かしたのではない。プーチン氏はそんな愚かな人間ではない。2014年に起きたウクライナ紛争以来、ウクライナ政府によるロシア系住民に対する迫害を止めるよう忍耐強く交渉を積み重ねたきたし、その甲斐あって、なんとかミンスク合意まで漕ぎ着けることができた。

しかし、ゼレンスキー大統領はミンスク合意を履行しないばかりか、ドンバス地域を無人ドローンで攻撃したり、NATO加盟を要請したり、プーチン大統領の臓腑を抉るようなことばかりしてきた。

ゼレンスキー大統領のこのような前後をわきまえない行動が、プーチン大統領の軍事侵攻の最終決断を促したのは、はっきりしているではないか。最初に手をくだしたプーチン大統領の責任は重大だが、それを誘発したゼレンスキー大統領の政治判断ミスの方が、より責任は大きいのではないか。

ミンスク合意を守り、軽々しくNATO加盟など言及しなければ、ロシア軍の介入はなかったのだ。ウクライナ人の死者も難民も生じなかったはずだ。

ゼレンスキー大統領の政治能力のなさの責任はあまりにも大きすぎる。しかし、人間の運命というものは実に不思議なものだ。

彼は俳優だけあってパフォーマンスが上手い。よくできた自撮り動画を発信することで、19%しかなかった支持率が90%以上に急上昇したのである。矢継ぎ早の自撮り動画で国民を鼓舞し、巧みに戦時の指導者を演出してみせる。

それが国民に大いに受けて世界のマスメディアから絶賛される。そしてG7各国の国会に向けたオンライン演説を巧みに演出することも忘れなかった。演説が終わると決まったかのようなスタンディングオペレーション!

これでロシア=悪・ウクライナ=善という図式が出来上がった。危険である。仕組まれたポピュリズムに真実が覆い隠されたこの図式は非常に危険である。

ゼレンスキー大統領は、各国に武器の供与と資金の提供を依頼している。国民総動員令を発令し、18歳から60歳までの男性の出国を禁止した。そして国民に徹底抗戦を呼びかける。家族と一緒に出国したい、戦闘には加わりたくない、と願う男性もいるはずなのに、そんな人間は臆病者として罵倒される。そんな危険で息苦しい空気が充満している。

これでは犠牲者は増えるだけだ。難民も増えるだけだ。ゼレンスキー大統領の発言と行動を観察していると、国民受けするパフォーマンスは巧みだが、現実的に問題を解決する政治能力は乏しいように思われて仕方がない。

その判断が難しい立場に置かれたウクライナ国民こそ本当に気の毒だ。