沖縄よ! 群星むりぶし日記

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プーチン大統領の立場に立って考えてみる

巨大資本の配下にある欧米の主要メディアは、連日プーチン大統領悪玉説を垂れ流している。それに連動して世界中がロシアを非難罵倒している。欧米主要メディアの影響力の強い我が国のマスコミも例外ではない。プーチンは狂人だ、ロシアを制裁しろ!

しかし一時的な熱狂は真実を覆い隠す。本当はそこにこそ危機が潜んでいるのではないか。それでもいつの日か、嵐がすぎ去れば人々は平静さを取り戻し冷静な判断ができるようになる。そして何年かのち、或いは何十年かのちに真実が明らかになることもある。歴史は常にその繰り返しだ。

マスコミの報道に煽られて無意味な激情に飲み込まれないようにしよう。ひたすら真実だけを探究する。そのためには、できるだけ多くの情報に接することだ。その中から参考となる見解・論考・解説などを収集分類する。そしてそれらを様々な角度から照らし、突き合わせることで真実に迫ることが可能になる。面倒な作業だが、真実に肉薄する手段はそれ以外にはありえない。初めから結論ありきの態度は禁物だ。

その過程の中で、大いに参考になりそうな動画を目にすることができた。これはロシア軍がウクライナに侵攻する20日ほど前の動画だが、ウクライナとロシアとの歴史的絆、NATOの東方拡大の経緯とそれがプーチン大統領にどのように影響したか、などについて言及している。

以下に解説者の言葉を文章化した全文を掲載したが、動画は消去される恐れもあるため最後に配置した。

< 今世界が注目しているのは、疫病のほかに北京冬季オリンピックだが、最も緊迫しているのはウクライナ危機である。

今日はウクライナ危機について話したいと思っている。ウクライナ危機の話をする前に、関連のない話をしたい。人間は合理的な論理で物事を判断するのか、それとも感情で判断するのかということである。

ほとんどの人は「もちろん論理的だ」と言うだろう。しかし、ほとんどの人は感情で物事を判断している。現代の心理学ではいろいろな研究が行われているが、ここでは割愛する。

しかし理論的な結論は、人間が物事を判断する要因の七割は「感情」である。もちろん、ここでいう感情とは、愛情、憎しみ、欲望、恐怖などさまざまな意味を含んでいる。本当に感情を抜きにして世界を見ることができる人はほとんどいない。

仏教の「捨身飼虎」という話は、覚者が自分の感情を超越した話であり、はっきり言えば、恐怖を超えて万物を慈しむ話だと思う。本当に感情を超越することができでれば、それが高い次元であることを意味する。ウクライナと危機と関係があるだろうか?

ウクライナとは関係なく、物事の捉え方の問題である。感情に流されるとは、中国共産党中共)がいつも言っている「お尻が頭を決める」、位置が考え方を決めるということになる。

人はなかなか「お尻」の制約から脱することはできない。自分も含めて「お尻」を捨てられる人はとても少なく、捨てられる人は聖人に違いない。欧米に住む人々は、身近な大メディアからほとんどの情報を得ており、それぞれが「私たち」と「彼ら」の違いを持ち、無意識に「位置」を選んでいる。

今日話す内容は、おそらく欧米の多くのメディアが言っていることとは全く違うことで、プーチンの立場に立って考えてみたいと思う。もし私がくだらないことを言っていると思う人がいたら、真に受けないで笑ってくれればいい。

先日、ロシア外相と米国国務長官が、ウクライナ危機に関する会談を行った。ロシア側は、第一にNATOの東方拡大を止めること、第二にウクライナは永遠にNATO加盟しないこと、第三にルーマニアブルガリアバルト三国からNATO軍が撤退することを条件として提案した。これは米国やNATOにとって受け入れがたい条件だという人も多い。

すべての話題は、実はNATOというもう一つの問題、あるいは一つの組織を中心に展開されている。NATOの正式名称は、北大西洋条約機構North Atlantic Treaty Organizationで、現在加盟国の総人口が9億人を超え、ロシアの7倍、総面積2000万平方キロメートル以上と世界最大の国ロシアを遥かに凌ぐ広さである。

NATOの東方拡大は、ロシアに国境を延長して接するという地理的な概念だけでなく、相互不信という地政学的な概念もある。NATOは欧州と北米が参加する世界最大の軍事ブロックである。多くの核兵器と通常兵力を保有するNATOは、西側諸国において最も重要な軍事同盟勢力である。

NATOの軍事費は現在、世界の国防費総額の70%以上を支出している。2006年11月、NATOは緊急対応部隊の創設が完了したことを発表した。この部隊は陸上・海上・航空の3部隊の精鋭で構成され、5日以内に世界のどこにでも展開でき、一度の補給で最大30日間戦力を維持、各種の任務を遂行できる。

プーチン氏の認識では、NATOの東方拡大は軍事的な概念である。近年NATOの軍事機能はロシアに向けられており、これがプーチン氏を追い詰めている。記者からの質問に答える際、プーチン氏はNATOの東方拡大とは、ロシアに対するNATOの軍拡だと述べた。

またこの軍事拡大は、これまで1回ではなく、5回行われていることを強調した。第1回目は、東ドイツチェコポーランドハンガリー、第2回目はルーマニアブルガリアラトビアエストニアリトアニア、第3回目は旧ユーゴスラビアスロベニアクロアチア、第4回目はモンテネグロ、そして第5回目はマケドニアであった。

ウクライナNATOに加盟すれば、NATOの東方拡大が6回目となる。ウクライナNATOに加盟すれば、NATOの軍事力の最前線は、モスクワからわずか550キロメートルとなる。このような状況に直面して、ウクライナや他の主権国家を侵略しないことを無条件に約束することができるかという英国記者の質問に対してプーチン氏は「NATOが東方拡大を続けるなら無関心でいることは約束できない」と明言した。NATOの東方へのさらなる移動は、容認できないことを明確にした。

「これのどこが不明確なのだろうか?米国との国境付近にミサイルを配備しているのか?いいや、そんなことはない。ミサイルを持ってやってきてすでに玄関先に立っているのは米国だ。家の近くに配備されていない迎撃システムを要求するのはひどすぎる要求か?」

プーチン氏はロシアとウクライナの関係が歴史的に一体であったため、緊密な同盟国であるアメリカとカナダの関係に近いものであると考えている。

かつて強大なキエフルスはロシア、ウクライナベラルーシの共通の前身であった。ウクライナの現代の首都キエフを「ロシアの都市の母」と呼び、ロシア文明発祥の地としている。今、米国の支援を受けるウクライナ政府の弾圧にもかかわらず、ロシア語はウクライナ人の生活において無視できない重要な位置を占めている。

地元住民によると、ウクライナ人の70%以上が日常生活でロシア語を使用しているとのこと。この歴史的なつながりと文化的な親和性から、プーチン政権はウクライナとの同盟関係の構築を前向きにとらえている。

ウクライナとロシアは同じ民族の出自であり、キエフはロシアの母である。かつてキエフ公国はモンゴルと関係を持っていた。モンゴルが西方を征服し、東スラブ人が支配していた古代キエフ・ルーシが滅亡すると、両国の共通の歴史は乖離し始める。その後、キエフ・ルーシは3つに分裂した。モンゴルに征服されていない北西部はガリシア・ヴォリニア王国であり、ベラルーシや西ウクライナの一部となり、南東部のウクライナとロシアはモンゴルに征服されたタイミングによって、南東ウクライナとロシアとなりその後のポーランド・リトアニア共和国の軍事介入によりキエフ・ルーシは最終的にロシア、ウクライナベラルーシの3つの国に分割された。

公平に言えば、ロシアとプーチン氏は過去にウクライナを脅威と見做したり「昔からロシアの領土」であることを理由にウクライナの安全を脅かしたりしたことはない。2014年、ウクライナで「広場革命」が起こり、親欧米政権が誕生した。ウクライナ政府がロシアの思惑に乗らなかったにもかかわらず、プーチン氏はウクライナとの友好関係を望み、ウクライナとロシアは一つの単一の経済体系として「何十年、何世紀と発展してきた。30年前の我々の協力関係の深さはEUが尊敬する例である。私たちは当然、経済的に補完しあえるパートナーであり、この緊密な関係は、両国の競争の優位を強化し、潜在能力を高めるものである」と述べた。

さらにウクライナは「独立国であることを自覚しているが、この状況にどう対処すべきか?答えはただひとつ。尊重である。我々はウクライナの言語と伝統を尊重し、ウクライナの人々が自国の自由、安全、繁栄を願う気持ちを尊重する。私が言いたいのは、ロシアはこれまでもこれからも「反ウクライナ」ではないし、ウクライナがどのような国になるかは当該国民次第ということだ」と表明した。

台湾海峡の場合、中共の指導者がこのような発言をしたら、台湾ではどれだけの人が涙したことだろう。世界ではプーチン氏が唯一の真の政治的強者だろう。ロシアの経済パフォーマンスは満足のいくものではなく、プーチン氏は野党に対して強硬策を取るなど、かなり権威主義的なアプローチを取っている。これは彼の政治的弱点である。この政治的強者は中共と比較すると、実はあらゆる点で極めて穏健である。こんなことを言うと、嫌がる人もいるかもしれない。しかし、プーチン氏は在位中に主に2つのことを行なっている。

第一にロシアの脱共産主義化、第二に正教会を中心としたロシアの伝統文化の復刻。そして欧米の極端な自由主義や大独占資本による国家主権の侵食に反対することである。

欧米の極左派は、プーチン氏を将来の世界主義の主敵と見なしている。このことは近年欧米諸国、特に米国で主流となっているエリートのさまざまな姿に確かに反映されている。トランプ氏を例にとって説明しよう。米国の左派がトランプ氏に反対する最大の理由と手段は、「ロシアゲート」である。ロシアゲートは結局捏造と証明されたのは言うまでもないが、左翼の非難の前提は、「ロシアが一番悪い、プーチンが一番の敵だ」ということだ。トランプ氏とプーチン氏が金をやり取りしたのは、当然敵であるということだ。

プーチン氏は一連の公の演説でNATOが東方拡大しないことを繰り返し約束しながらも、その約束を何度も破ってきたことを強調している。

NATOのイェンス・ストルテンブルグ事務総長は1月23日、ロシアの安全保障提案に対し「NATOは拡大しないことを誰にも約束したことはない」と述べた。しかし、私の記憶では1990年代にNATOが東方拡大しないことを約束したとの報道があった。しかし、これらの約束について書面による合意がなかったことは事実である。これは中国の習近平総書記がオバマ氏に「南シナ海を軍事化しない」と約束したことと同様である。

なぜロシアはNATOの東方拡大を恐れるのか。2つの原因があると思う。まず、ロシアの国民意識としてヨーロッパは近代最大の脅威であり、ヨーロッパ人が権力を持つ限りロシア人を抑圧するということがある。中世初期、ヨーロッパ人はユーラシア大陸の草原から人々を連れ出し、中近東やアフリカに売り渡していた。スラブという名前はラテン語で「奴隷」を意味する言葉に由来するという説がある。ヴァイキングが台頭する頃には、スラブ人が最初の犠牲者となり、次いでポーランド人、フランス人そして最後にロシアに侵攻したドイツ人が犠牲になった。これはロシア人のヨーロッパに対する歴史的記憶を形成した。

第二にNATO諸国の意図的な敵意と関係がある。例えば、イギリスはウクライナに「グレーゾーン戦争」部隊を派遣したことと、米国は近年ウクライナに軍事援助を行っていたことなどがすべてロシア側の恐怖心を高めている。ここではウクライナ危機の出発点であるクリミアについて少し話をする。

もともとロシアの一つの州であったクリミアの歴史は語らない。第二次世界大戦後、1954年2月19日、当時のソ連共産党中央委員会第一書記フルシチョフの指導のもと、ソ連最高会議常任理事会は、ウクライナ・ロシア間の「ペラヤースラウ条約」締結300周年を記念する名目でクリミアをロシアソビエト社会主義共和国から排除し、ウクライナソビエト社会主義共和国の管轄下におく決議を採択した。つまり、クリミアは1954年統一を記念してフルシチョフからウクライナに譲渡された。結婚記念日に夫が妻に高価なプレゼントを贈るのと同じような感じである。

離婚後、主人から「プレンゼントを返してほしい」と言われた。私が言いたいのはフルシチョフ自身が実はウクライナ人であったということだ。ウクライナ国境から10キロのロシアの村に生まれ、幼い頃両親とウクライナに移り住み、そこで学校と仕事を経験し、やがてソビエト連邦の最高指導層の仲間入りをした。そこでウクライナで親欧州派政権が誕生すると、ロシアはクリミアを取り戻した。

クリミアの住民の9割近くはロシア人である。プーチン氏の位置に座れば、米国やヨーロッパがロシアに敵対しているのは、ロシアが近年、欧米の極左思想をあまり受け入れていないからであり、それはNATOの東方拡大が続いていることにも反映されていると結論づけることができるだろう。

問題は欧米の圧力が強まるほど、ロシアは中共に接近し、ある種の同盟関係さえ形成してしまうことだ。この点、ロシアを味方につけて中共を攻めるトランプ氏の戦略の方が有効なのは明らかである。

もちろん、ヤギは目の前の草だけを見ているが、虎はジャングル全体を見つめている。みんな違う高さに立って、違う視野を持っている。とにかくどんな理由があろうとも、戦争ではなく平和を願うのは皆同じである。>


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