2月24日にロシア軍がウクライナに侵攻して以来、欧米諸国は次々にロシアに対して経済制裁を課した。それだけではなく、ウクライナに対して武器の供与も行なっている。
これは、最もやってはならない天下の大愚策である。なぜそう言えるのか。理由は単純で明快だ。ロシアへの経済制裁とウクライナへの武器供与は、戦争を長引かせる要因にしかならないということ。
欧米諸国のこの愚策が続けば、ウクライナ戦争が泥沼化するのは必然である。プーチン大統領は、欧米諸国の経済制裁に抗して、目的を獲得するまで戦う決意でいる。政治的に未熟なゼレンスキー大統領は、執務室から避難するつもりはなく最後まで戦うと動画で発信し続けている。
しかし、欧米諸国は武器は供与しても、自軍を投入することはしない。ウクライナはまだNATO加盟国ではないため、欧米諸国が集団的自衛権の行使に踏み切ることはないのだ。
仮にNATO加盟国が戦闘に参加するとすれば、ロシアとの間で核戦争が起きる可能性が高まる。欧米諸国はこの力学をよく承知しているから、軍の投入を控えているのだ。
とすれば、この構図から見えてくるのは、戦争が長引けば長引くほど、ロシア側とウクライナ側に甚大な犠牲者が生まれるということである。
つまり、経済制裁と武器供与は、戦争を長引かせるだけでロシアとウクライナにとって有害でしかないのだ。しかもロシアに対する経済制裁は、ロシアと貿易関係がある国にも多大の影響を与える恐れがある。欧米諸国のガス、世界の小麦、木材等の価格高騰による各国に及ぼす経済的ダメージは計り知れないだろう。昨日のニュースでは、ロシアの木材が入らないために、新たに建設する住宅の値段が高騰すると報道していた。
そしてロシアは、経済制裁を課した日本に対しての報復措置として、北方領土を経済特区にして諸外国から投資を呼び込むと宣言した。
ロシアに対する経済制裁がいかに短絡的思考に基づいた愚策か、ウクライナへの武器供与がいかにウクライナ人の犠牲者を増やすだけの犯罪的行為であるか、我々は深く認識する必要があるのではないか。
ではどうすればよいだろうか?
一刻も早く、停戦に向けた合意を取り付けるために、世界の首脳が動くことだ。ロシアとウクライナの首脳を同じテーブルにつけて、各国首脳が調停役の役割を担う。会談の間は停戦を合意する。そしてロシア、ウクライナ両国が戦争終結の最終合意に達するまで忍耐強く会談を積み上げること。
ウクライナ戦争を早期に終結させるためには、それ以外の解決策はない。経済制裁と武器供与は、戦争を長引かせる、まさに犯罪的大愚策でしかないのだ。