ダラスで行われた講演で、ブッシュ米元大統領が思わず口を滑らせて、ウクライナ侵略をイラク侵略と言い間違える場面があった。それをSPUTNIKが記事にした。
ブッシュ氏の発言 : ” Russian elections are rigged. Political opponents are imprisoned or otherwise eliminated from participating in the political process ” , Bush told the crowd. However, he then made a Freudian blunder, saying: ” The result is the absence of checks and balances in Russia and the decision of one man to launch a wholly unjustified and brutal invasion of Iraq. ” Bush said.
Realising his gaffe, he then paused, adding, ” I mean of Ukuraine. ” After that, Bush tried to gloss over his blunder by saying, ” Anyways...I'm...75 ”. ここで聴衆席からドット笑いが起きた。
記事は、ブッシュ政権が引き起こしたイラク戦争は嘘の情報に基づく間違った戦争だった、と続くが、今では多くの人がこの事実を知っているので、ここでは割愛する。
問題は、上のブッシュ氏の発言である。「一人の男の決断で全く不当で残虐なイラク侵略が為された」と言った後、言い間違いに気付き、「ウクライナです」と訂正。さらに取り繕って「ううん...そう...７５歳だからね」
記事にある Freudian blunder とはフロイト的失言のことで、「思わず意図と反対のことを述べ、それで真意がバレる」という意味。人間の深層心理をうまく表現した英語だ。
嘘の情報に基づくイラク戦争は大義のない戦争だった。独立した主権国家に土足で踏み込み、何十万人ものイラク市民を殺戮し、街を破壊し尽くし、フセイン大統領を死刑にした。その結果、ISISというテロリスト集団が生まれて、中東は大混乱に陥った。その責任は当時のブッシュ政権にある。
ブッシュ氏はまた、２００８年４月にキエフを訪問して、ウクライナのNATO加盟を支持する発言もしている。彼の発言に対して千人近いウクライナ人が抗議活動をした。当時のウクライナは、中立を支持する人が過半数を占めていたのである。この史実を振り返ると、今日のウクライナ危機の火付け役の一人がブッシュ氏であることは明白。
７５歳になったブッシュ氏が、過去を振り返って自分が犯した政治判断の過ちを、どの程度自覚しているかを推し量ることは困難である。しかし、ウクライナ侵略をイラク侵略と言い間違えた彼の発言を見ると、ひょっとすると、イラク戦争が彼の心の奥深いところでトグロを巻いた状態でトラウマとなって、彼をずっと悩まし続けているのだ、と想像しても決して見当外れとは言えないだろう。いずれにしてもブッシュ氏は罪深い男である。
