沖縄よ! 群星むりぶし日記

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辺野古新基地はたとえ完成しても価値のない無意味で呪われた基地になる

25日(木)、玉城デニー知事は、沖縄防衛局の辺野古設計変更を不承認とした。埋め立て予定の大浦湾側海域に地盤の強度を示すN値ゼロの超軟弱地盤が確認されたため、設計変更を余儀なくされた沖縄防衛局は、昨年4月21日に設計変更申請書を県に提出していた。

審査に約1年7ヶ月もの長い日数を費やした理由は何か、それほど困難な事務手続きを伴うものだったのか疑問の残るところだが、いずれにしても玉城知事は3年前の公約を守ってくれた。この点は大いに評価されるべきだろう。

しかし、それでも素直に喜べないのはなぜだろうか?

理由は、残念ながらはっきりしている。政府はこれまでやってきた通り、有無を言わさぬ強権で県をねじ伏せる。司法と一体となり、県の不承認を法的に無効にする。

翁長雄志前知事が埋め立て承認を撤回した時もそうだった。政府は強引に訴訟に持ち込んで承認撤回を無効にした。その後のいくつもの訴訟でも、司法は県の訴えを退けた。

これまでの経緯を振り返ると、今回の玉城知事の不承認も、裁判に持ち込まれて負ける可能性は限りなく高いと言わざるを得ない。自公連立政権が続く限り、沖縄県民がどう抗おうと、県民に支持された県政がどれほど正論を主張しようと、政府の結論は神託の如く1ミリも揺らぐことはない。

辺野古が唯一

民主主義という崇高な概念さえ形骸化した現政権が権力を行使する時「辺野古が唯一」という短い言葉は想像以上に絶大な威力を発揮する。たちまち思考停止を正当化する厚い壁が人々の前に立ち塞がるのだ。

なんという便利な呪文だろうか。この呪文さえ唱えていれば、民衆の声を簡単に封印することができる。そのため、総理大臣はじめ辺野古問題に関係する閣僚は、発言を求められる度に例外なく全員が、この呪文を唱えた。辺野古が唯一、と。

政権交代が起きない限り、辺野古の工事は止まらないだろう。政権交代が起きない限り、辺野古が唯一という呪文から人々が解放されることはないだろう。

しかし、衆議院選挙の結果からわかるように、政権交代どころか、この先何十年も自公連立政権が続きそうな政治状況である。となると、今後の課題は、辺野古の工事は止められない事を前提にした言論を発信していくしかないだろうと思う。

どういうことかと言うと、できるだけ辺野古問題の全体像を示して、辺野古新基地がいかに無理筋で無意味・無価値の代物であるかを発信していく必要があるということだ。

その前提として、辺野古問題の全体像を把握するために、とりあえず次の3冊を紹介したい。

元防衛事務次官守屋武昌著『「普天間」交渉秘録』(平成24年新潮文庫

2平井康嗣・野中大樹共著『国防政策が生んだ沖縄基地マフィア』(2015年七つ森書館

3小川和久著『フテンマ戦記』(2020年文藝春秋

この3冊を熟読すれば、辺野古問題の本質と全体像が把握できる。この3冊を読めば、普天間問題の原点から辺野古移設に至る経緯の全てが時系列的に把握できる。政権側と沖縄県知事の交渉と駆け引き、辺野古工事の利権を最大化しようと蠢く名護の基地マフィア達の少なからぬ影響力。

辺野古移設よりはるかに安上がりで工期もはるかに短い小川氏のキャンプ・ハンセン案が、自公政権民主党政権に一旦受け入れられながら、なぜ潰されたのか。

そして妥協に妥協を重ねた結果出来上がった現在の辺野古新基地建設は、米国議会監査院(GAO)によって、3度も否定された曰く付きの代物だという事実。

この3冊を読めば、普天間飛行場が危険だから辺野古移設が唯一の解決策だ、と言えるような単純な問題ではないことが理解できる。用をなさない短い滑走路、水面下90メートルに達する軟弱地盤の地盤改良が本当に可能なのかさえ算定されない欠陥施設。それが現在進められている辺野古新基地建設工事である。

真実を知れば、誰もが辺野古新基地に将来の展望が全く見えないことに気づくだろう。

しかし、玉城知事が満を持して下した設計変更不承認を、4年前に工事に着手した自公連立政権が認めるはずがない。沖縄県の主張に今の政権が屈服することは針の穴ほども考えられない。時を待たずに行政不服審査にかけて、例の如く訴訟に持ち込み、最高裁で県の不承認を無効とするだろう。これまで通りのやり方で。

だから工事が止まることはない。間違いなく粛々と強行されるだろう。後は野となれ山となれ。この欠陥飛行場基地が十何年か先に完成する頃には新たな問題が持ち上がっていることが予想される。

ひとつは、滑走路が短いため大型軍用機の離発着ができない、という理由で普天間飛行場は返還されない。もうひとつは、水面下90メートルの軟弱地盤の改良工事は難工事のため手付かずのまま完成の体裁を取ったために、追加の地盤沈下防止工事を繰り返す羽目になった。

決して妄想ではなく、そうなる可能性は大きいのだ。だから我々が今後やるべきことは、工事をストップさせるために難儀することではなく、辺野古新基地がいかに用をなさない欠陥施設であるかを、折に触れて発信し続けることだ。

辺野古新基地は、間違いなく価値のない無意味で呪われた基地になる!