新自由主義を党是とする日本維新の会という政党は、日本に存在させてはいけない政党である。その理由を説明する前に、新自由主義(neoliberalism)とは何か、その定義から確認したい。
自己責任を基本に小さな政府を推進し、均衡財政、福祉・公共サービスなどの縮小、公営事業の民営化、グローバル化を前提とした経済政策、規制緩和による競争促進、労働者保護廃止などの経済政策の体系。競争志向を正統化するための市場原理主義からなる、資本主義経済体制をいう。新自由主義を信奉した主な学者・評論家・エコノミストにはミルトン・フリードマン、フリードリヒ・ハイエクなどがいる。また新自由主義に基づく諸政策を実行した主な政治家にはロナルド・レーガン、マーガレット・サッチャー、中曽根康弘、小泉純一郎などがいる。(ウィキペディアより)
日本維新の会(以下維新の会と略称)が実行してきたことは、上の定義にそのまますっぽりと見事に当てはまる。
しかし、維新の会が10年前に大阪で誕生する前から新自由主義を取り入れた政党があった。自由民主党である。新自由主義者のレーガン大統領とロン・ヤスの関係を築いた中曽根政権を起点に自民党政権は新自由主義に染まっていった。
そして自民党が本格的な新自由主義政策を展開していったのが、新自由主義の申し子である竹中平蔵を政権内に取り込んだ小泉政権以降である。
竹中平蔵は徹底した新自由主義者だ。財務省の均衡財政策と相まって彼が自民党政権に与えた影響は計り知れないものがある。福祉・公共サービスなどの縮小、公営事業の民営化、グローバルを前提とした経済政策、規制緩和による競争促進、労働者保護廃止など。
これらの政策を推進してきた結果、経済格差が拡大し、中間層は消えて多くの国民は貧困化し、富裕層はますます富むようになった。これが日本の現在の姿である。新自由主義を採用する以前とあまりの変わりように驚嘆絶望しない人はいないだろう。
かつてジャパン・アズ・ナンバーワンと呼ばれた経済大国・日本は一体どこに消えたのだろうか?
しかし、自民党の改革はまだまだ生ぬるい、と不満を表明する勢力が大阪から台頭してきた。橋下徹率いる地域政党、大阪維新の会だ。彼は竹中平蔵と双璧を成す徹底した新自由主義者である。彼の発信力の強さに、振り込め詐欺にも引っかからないど根性の持ち主、大阪市民も目が眩んだ。
すなわち「身を切る改革」というカッコいい言葉に大阪市民は魅了されたのだ。大阪の公務員は優遇されすぎている。まずは我々政治家が模範となって給料を下げる。ボーナスもカットする。身を切る改革を推進して公務員(職員)の給与もカットして税収の歳出を抑える。こう宣言して次々と身を切る改革を実行していった。
橋下徹の発信力と決断力、そして実行力が維新旋風を巻き起こした。大阪で維新は勢力を拡大し、国政を目指して日本維新の会を立ち上げた。日本維新の会には橋下徹と共同代表の形で石原慎太郎が名を連ねた。当時の石原氏の橋下徹に対する惚れ込みようは大変なものがあった。
石原慎太郎は、橋下徹を真の改革者と思い込んでいた節がある。しかし、石原氏のグループと大阪系の路線対立がはっきりして、石原グループは維新の会を離れて新党を立ち上げたものの次第に表舞台から消え去った。
その後も様々な党内対立はあったが、維新の会の根本姿勢が変わることはなかった。政治家を辞めた後も創始者・橋下徹が残した徹底した新自由主義は、今も維新の会にしっかり受け継がれている。
大阪で産声を上げた維新の会が誕生して10年の歳月が流れた。しかし、大阪の経済は成長しないままだ。行政サービスを削りに削った分、市民に皺寄せが行っている。特別給付金の支給は担当職員不足のせいで遅れに遅れた。保健所の削減、ベッド数の削減等が祟って、第5波のコロナ感染拡大で医療崩壊となり全国ワーストワンの死亡者数を記録した。
身を切る改革がどのような結果をもたらすかを自ら証明したようなものだ。身を切る改革と新自由主義は完全に一致する。まさに悪魔の経済思想だ。
次に橋下徹の人間性について触れたい。維新の会の創始者であり、徹底した新自由主義者の橋下徹は、大阪都構想で挫折して政治家を辞めた後、維新の会の法律顧問に治った。大阪府知事、市長を勤めていた時、あれほど馬鹿にしたり批判したコメンテーターを、現在は自ら演じているのだから、面の皮がよほど厚い人間に違いない。それとも自分だけが正しいコメントができると思い上がっているのだろうか。
テレビでコメントするだけで年3億円稼いでいるという説もある。それだけではない。一回で216万円という破格の講演を何度もこなしているのだ。その件について、れいわ新選組応援団の知子チャンネルが詳しく報告してくれている。
知子チャンネルは週刊新潮2020年10月29日号掲載の記事を引用している。それによると橋下徹に支払われた講演料は以下の通り。
2016年 2017年 2018年 合計
日本維新の会 : 0 432万円 0 432万円
大阪維新の会 : 432万円 0 216万円 648万円
馬場伸幸後援会 : 216万円 216万円 0 432万円
井上英孝君を育てる会: 216万円 0 0 216万円
浦野靖人君を励ます会: 0 216万円 0 216万円
あだち康史後援会 : 216万円 216万円 0 432万円
新邦友会(室井邦彦): 216万円 0 0 216万円
東京都第23選挙区支部: 432万円 216万円 0 648万円
みやざき維新の会 : 216万円 0 0 216万円
合計 : 1944万円 1296万円 216万円 3456万円
2016、17、18年の3年間で3456万円が講演料の名目で維新の会から橋下徹に支払われているのだ。一回の講演料が216万円という破格の金額で。
ちなみに、国際政治学者の三浦瑠麗など他の講演者には一律30万円というから、維新の会がいかに橋下徹を優遇しているか一目瞭然である。しかも彼は維新の会の法律顧問でもある。
法律上、問題があると思われるが、仮にそうでないとしても、常識的道義的に許されるものではないだろう。身を切る改革と称して、行政サービスを削りに削る一方で、出所は税金に他ならない政党助成金から破格の講演料を法律顧問に対して支払う。これでは詐欺師の守銭奴ではないか。
結局のところ新自由主義者とは、金儲けする目的で税金を自分達の方へ還流させる連中に他ならないのだ。竹中平蔵しかり。
政府には金がないのだから公営事業をできるだけ民営化しろ。そこから上がる利益は俺たちが頂く。政治力を使って合法的にやるのだから文句を言うな。
民営化すれば全てが良くなると言う誤った経済観念が、大手を振って我が国を跋扈している。政府が通貨発行権を行使して、経済を底上げし、公営事業を充実させるのを、彼ら新自由主義者達は恐れている。そうなると自分達の出る幕がなくなるからだ。
上の動画、知子チャンネルは、維新の会所属の政治家達が犯した数々の不祥事リストも公開している。まず、数の多さにびっくりするが、その中に、先の衆議院選挙沖縄1区で落選した下地幹郎の名前も載っている。カジノ関連企業から100万円もらったという説明文付きで。
維新の会所属議員達の行儀の悪さを証明する良い資料だ。緊縮財政を標榜して、資金の要る政治家の給料を削る。こんな事をして政治全体が良くなるはずがない。
そんなに削るのが好きなら、共産党を見習って政党助成金を受け取るな!これまでの18億円が、議員を増やしたおかげで30億円に膨れ上がるらしい政党助成金。これを全額、国庫に返還すると宣言しろ!しかし、維新の会はそうはしないだろう。
資金がなければ選挙は戦えないからだ。建前と本音が違うクソ政党、それが維新の会である。日本に害しかもたらさないこんな政党は、徹底的に潰さなければならない。