在職１日だけで文通費（文書通信交通滞在費）が全額（１００万円）支給されるのはおかしい、と今回の衆議院選挙で初当選した日本維新の会所属の国会議員がSNSに投稿した。
流石は「身を切る改革」の維新の会だけあって、無駄を削る哲学は新人議員にも徹底しているらしい。新人議員の初々しい発言に対して、維新の会の大将２人が間髪を入れずに援護射撃した。
吉村大阪府知事「１０月３１日の投開票日、１日かかっていたということで１００万。丸ごと支給されるということも、やっぱり明らかにおかしい」
松井大阪市長「永田町は世間の常識からかけ離れていると。だって、仕事していないんだから、もらうのはおかしいじゃない」
一市民として、二人の主張はある意味正しいと思う。文通費のあり方は改善されるべきだろう。政治には金がかかることを考慮しても、例えば日割り計算にするとか、国民が納得できる線で改善して欲しいものだ。
ところで、ここでちょっとした異変が起きた。れいわ新選組の大石あきこ衆議院議員が維新の会の欺瞞を指摘したのである。
大石あきこ衆議院議員「これまで維新の方々、日割りじゃない形でもらってきたでしょと。自分たちだけなぜかクリーンな装いで『ここに火事があるぞ』と。『ここに問題があるぞ』という人は要注意だろうということを、まず申し上げたくて」
どういうことかと言うと、吉村府知事は２０１５年１０月１日に衆議院議員を辞職した際、在職１日で１０月分の文通費を満額受け取っていたのだ。その事実を大石議員が指摘したのである。その指摘に対して吉村府知事は次のように述べている。
「６年前の話ですけれども、僕自身も（衆議院）議員を辞めて、大阪市長に挑戦をするということがありました。そこも（文通費が）日割りになっていないと思います。なので、僕自身も日割りで返還をしたい。寄付をしたいと考えております。」
なんだよ、大阪でモテモテの吉村君、これじゃ赤っぱちの大ブーメランじゃないかよ。
文通費をめぐる問題は吉村府知事だけに止まらない。
維新の会には、違法行為にあたる文通費の「流用」問題があると指摘するのは、日刊ゲンダイのWEB版だ。その記事の一部を抜粋すると
「確かに維新はホームページ上で各議員が文通費の使途を公開している。だが、よくよく確認すると、毎月、文通費の一部を政党支部などに「移し替え」「流用」している議員が少なくないのだ。例えば、馬場伸幸幹事長（５６）７月の文通費の使途を見ると、自身が支部長を務める「日本維新の会大阪府第１７選挙区支部」に72万4543円を寄付している。つまり、言い方を変えれば財布の中身を「移し替えた」だけ。ある意味流用だ。」
全文はこちら＝https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/297445
在職１日だけで満額もらった１００万円は国庫に返納できないので、新人議員の分は全額寄付に回したい、と吉村府知事も松井市長も言っているらしいが、これは政党支部に寄付するという意味に他ならない。
「身を切る改革」「寄付」などという維新の会の美辞麗句に騙されてはいけない。維新の会の「身を切る改革」の本質は緊縮改革に他ならず、市民に我慢を強いるだけでなく、政治家をはじめ国全体を衰退させる危険極まりない経済政策だ。
維新の会と真逆の積極財政を掲げるれいわ新選組の大石あきこ衆議院議員が投げたブーメランは吉村府知事を直撃して、維新の会の正体を露わにしてみせた。
これはほんの序章にしかすぎない。緊縮改革などという経済政策の根本が間違っている以上、維新の会のボロは、これから日を追うごとに明らかにされていくだろう。
