時事ドットコムの報道から。
国債と借入金、政府短期証券の残高を合計したいわゆる「国の借金」が２０２０年１２月末時点で１２１２兆４６８０億円となり、初めて１２００兆円を突破した。同年８月１日時点の日本人の人口（１億２３３３万人）を基に単純計算すると、国民１人当たりの借金は約９８３万円に上る。
【図解】「国の借金」の推移
この記事を読むと、誰でも金額の大きさに驚き、これでは借金の返済は不可能だと、日本の未来に絶望するに違いない。「国民１人当たりの借金は約９８３万円に上る」！
こうやってほとんどのマスコミが国民の不安を煽ってきた。確かにこの言葉が事実ならば、日本の財政はいつ破綻してもおかしくないだろう。しかし、言葉の魔術に騙されないようにしよう。
上の記事によると、昨年末時点での「国の借金」は１２１２兆円に上るらしい。気絶しそうな数字だが、いったい国はこれだけのお金を誰から借り入れたのだろうか？
仮に国民から借り入れたとするなら、国は国民に返済する義務がある。まさしく１人当たり約９８３万円を国民に返済しなければならない。しかし、記事では「国民１人当たりの借金」という表現になっている。これは国民が誰かから借金をしたという意味だ。
つまり、これだと「国の借金」と「国民の借金」の区別が判然としないのである。これでは「国の借金」という言葉の意味がさっぱりわからない。上の記事は明らかに矛盾しているのみならず欺瞞に満ちている。
事実関係を大雑把に解きほぐすと、「国の借金」と言われる１２１２兆円は、実は、政府が国債を発行して日銀から資金を調達し、それを国民に供給した結果、長年にわたって累積した金額を表した数字にすぎないのだ。
国民が収める税金だけではその年の財源を賄うことは出来ないため、不足分は新規国債を発行して年度予算に組み入れる。政府は毎年、同じようなやり方で年度予算を成立させてきた。
仮に政府が発行する新規国債が、国民からの借入だとすれば、再度それを国民に供給するのは、プラスマイナスゼロとなり、全くの無意味である。政府が新規国債を発行して、日銀が刷った紙幣に替えて、国民に供給する。
つまり、新規国債は国民の資産となるのだ。自国通貨で国債を消化する限りにおいて「国の借金」という概念は当てはまらないことがわかる。だから騙されてはいけない。
「国民一人当たりの借金は約９８３万円に上る」は真っ赤な大嘘である。
マスコミが垂れ流す大嘘に洗脳されないようにしよう。
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