善悪の判断ができなくなった哀れな現代日本人
「安倍首相、一粒の涙で支持率が2倍に」のタイトルで朝鮮日報が記事を書いている。https://news.yahoo.co.jp/articles/59c564db361273f946376bc558ab8a46c16b417fその中から引用する。
朝日新聞が4日に行った世論調査によると、7年8ヶ月にわたり在任した安倍首相の評価を問う質問に、54%が「よくやった」、17%が「かなりよくやった」と回答した。回答者の71%が安倍首相に対して肯定的な評価を行なったのだ。
この記事を読んで一瞬目を疑った。反自民党の朝日新聞の世論調査である。水増しを意図すれば、マイナス方向に持っていくはずだが、これだけ高い数字がでたということは、調査に誇張はないという証左に違いない。
辞任を表明する前、杜撰なコロナ対策で安倍政権の支持率はずっと低下していた。当然である。しかし、辞任表明してから上の世論調査に見られるように急に高くなったのである。
ということは、これまでの政策を大転換した?あるいは反省した?会見では、いずれの言葉もなかった。ではいったい原因はなんだろうか?
驚くなかれ、否、笑うことなかれ、なんと安倍晋三に対する同情が上の数字となって現れたというのだ。難病のひとつと言われる潰瘍性大腸炎。この病気を抱えたまま、総理大臣という激務を7年8ヶ月もこなすのは、確かに誰が考えても大変なことである。
しかし、本人をはじめ、国民はこの事実を承知の上で安倍晋三に政権を託したのではなかったのか?第一次安倍内閣が1年で終わったのも、この病気が原因だった。その時は、政権を途中で投げ出したと言って、評価より非難の方が大きく上回ったのである。
しかし、特効薬のおかげで、安倍晋三は第二次安倍内閣を発足させて、7年8ヶ月という歴代最長の在任記録を達成した。
問題は、この長すぎる在任期間でいったいどんな業績を残したかである。思い出すのも困難なくらいの数多いスローガンの中でも特に重要と思われるもの「憲法改正」「日露平和条約締結」「拉致被害者奪還」はいずれも失敗に終わっている。
そればかりか、デフレ下で消費税を2度も上げるという頓馬なことをやって多くの国民を生活苦へ追いやり、民主主義遂行のための根幹を成す公文書を偽造・隠蔽・捏造、挙げ句の果てに廃棄処分して、真面目な職員を自殺まで追い込み、検察庁法を勝手に解釈して政権寄りの検事正の定年延長を目論んで頓挫した安倍晋三。まだあるぞう。香港の民主主義を死に追いやり、ウイグル族のジェノサイド(民族抹殺)を遂行中の習近平を国賓待遇で招待しようとしたのも安倍晋三である。コロナ禍で実現しなかったのは不幸中の幸いであった。
安倍晋三の7年8ヶ月に及ぶ悪政は、憲法違反の安保法をはじめとする数々のトンデモ法は言うに及ばず、まだまだ沢山ある。
こんな戦後最悪の総理大臣に同情する人間とは、いったいどんな神経の持ち主だろうか?立派な業績を残して、志半ばで病気が原因で辞めざるを得ない総理大臣なら、大いに同情の余地はあるし、そんな同情は自然で健全だろう。
しかし、今回の朝日新聞の世論調査にみられる同情には、どう考えても納得できない感覚が残るのだ。あまりにも薄っぺらすぎる同情ではないだろうか。一番大事な業績には関心がなく、病気で辞めざるを得ないという表面だけしか見ない、あまりにも軽薄な感情移入。
会見後「安倍首相はかわいそうだ」との書き込みがSNS(会員制交流サイト)などで一気に増えはじめた。「春よ、来い」などの歌で有名な歌手の松任谷由美さんがラジオ番組で「安倍首相の記者会見を見て涙が出た」と述べたことも、日本で大きな話題になった。
日本人はなんて優しいんだろう!悪政は時として国民の命を奪う。7年8ヶ月に及ぶ安倍晋三の間違った経済政策によって、多くの国民が困窮化している。そのために自殺に追い込まれる人々がいる。
そんな事実に目をつぶって「安倍首相はかわいそうだ」「安倍首相の記者会見を見て涙が出た」とSNSに書き込む人々。確かだいぶ前、「一億総白痴化」という言葉が流行ったが、この言葉は現在もしっかりと生きているようだ。国民の間に定着した感さへある。
おまけとして、安倍政権の経済成長率は民主党政権時より低いことをご存知だろうか?三橋貴明のブログから引用する。https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12621454038.html
民主党政権期(2010年度ー2012年度)平均経済成長率1.53%
安倍政権期(第二次以降 2013年度−2019年度)平均経済成長率
0.94%
確かに安倍首相はかわいそうである。あんなに頑張ったのに、結局のところ、平均経済成長率であの悪夢のような民主党政権に及ばなかったのだから!
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