日本共産党はそろそろ党綱領を変えるべきだ
18日、田村智子参議院議員が日本共産党委員長に選出された。日本共産党の歴史の中で女性委員長は初めてとなるらしい。別に女性男性にこだわる訳ではないが、これを機に日本共産党の綱領について提言したいと思う。
webサイト上にある綱領の中に「4民主主義革命と民主連合政府」と言う大項目があり、その中に〔国の独立・安全保障・外交の分野で〕という中項目があるので、その中の1、2、3を取り上げて論じたい。
1:日米安保条約を、条約第10条の手続き(アメリカ政府への通告)によって廃棄しアメリカ軍とその軍事基地を撤退させる。対等平等の立場にもとづく日米友好条約を結ぶ。経済面でもアメリカによる不当な介入を許さず、金融・為替・貿易を含むあらゆる分野で自主性を確立する。
2:主権回復後の日本は、いかなる軍事同盟にも参加せず、すべての国と友好関係を結ぶ平和・中立・非同盟の道を進み、非同盟諸国会議に参加する。
3:自衛隊については、海外派兵律法をやめ、軍縮の措置をとる。安保条約廃棄後のアジア情勢の新しい展開を踏まえつつ、国民の合意での憲法第9条の完全実施(自衛隊の解消)に向かっての前進をはかる。
まず1について言うと、これは非常に素晴らしい。よくぞ言ってくれた、である。1952年、サンフランシスコ講和条約で独立したとは言え、同時に結ばれた日米安全保障条約で日本は軍事面でアメリカの属国になってしまった。以来今日まで国家主権が侵された状態が続き、安全保障と外交面で日本政府は独自の思い切った政策をとることができず、常にアメリカの後塵を拝する屈辱的状態にある。
その屈辱的状態を、日本共産党は根本から取り払おうと言うのである。実現すれば日本の未来に大きな可能性が開けるのは間違いない。これには大賛成である。2についても同様、大賛成。日本人なら当然のことだろう。
しかし3はどうだろうか? 歌の文句じゃないけれど「嬉しがらせ〜て、泣かせて消えた」。
憲法第9条の完全実施!? 陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権はこれを認めない。こんな条文を完全実施する? この条文は「上等だ、いつでも殺すなら殺せ!」と開き直っているに等しい。世界各国が国益をめぐってしのぎを削る厳しい今の国際関係を考えると、絶対に憲法に規定してはならない恐ろしい空想の世界である。
1・2で希望の未来を語り3で恐怖の未来を仄めかす。両方を繋ぐ理念がとてもじゃないが理解できない。そもそも日本共産党は、日本国憲法はマッカーサー草案を基にして当時のGHQ職員がわずか1週間で書き上げた押し付け憲法であるという歴史を知らないのだろうか?
アメリカの意図は日本弱体化にあったと言う歴史的事実を知らないのだろうか? 仮にそうだとすれば非常に残念である。結論を急ごう。日米安保廃棄と憲法第9条の完全実施は整合性の取れない性格のものである。日米安保と憲法第9条は、日本を弱体化するアメリカ政府の意思が形になった背景を考えると、日米安保廃棄を言うなら、同じく憲法第9条の廃棄も主張すべきである。日本弱体化を全面的に跳ね除けるにはそうすべきだろう。
日米安保廃棄を唱える日本共産党が憲法第9条廃棄も訴えるなら、支持者は増えると思うが如何だろうか? できたら専守防衛の枠内で核武装することも主張して欲しいのだが、そこまで要求するのは差し控えるとしよう。