木原防衛大臣は昨日、普天間基地の返還の期日を具体的に示すのは困難との認識を示して次のように語った。「辺野古の完成後に部隊移転などのプロセスを考慮する必要があり、現段階で具体的に示すのは困難」
無能な大臣の言葉を、いちいち問題にしたくはないが、この発言は、自分の無能を表明しているに他ならない。辺野古問題に関しては、無責任で無能。それが歴代の防衛大臣であり、今の木原防衛大臣もその一人にすぎない。無責任で無能だからいい加減な発言しかできないのだ。
と言うよりも、日米合同委員会が大きな壁になって自主的判断ができず、無責任・無能にならざるを得ないシステムが既に出来上がっていて、米軍の手のひらで踊るしかない立場に追い込まれているのが我が国の防衛大臣である。
安倍政権の時、当時の仲井眞沖縄県知事は辺野古移設を容認して、普天間基地の５年以内の閉鎖を安倍内閣に約束させた。しかし移設に反対する翁長知事が誕生すると約束は、いとも簡単に反故にされた。翁長知事は移設に反対しているから、が主な理由だった。
安倍内閣の理屈がいかに滅茶苦茶なものか、その後の経過で明らかになる。工事に着手してから、県民が移設にどれほど反対しようが、国政選挙で何度も反対の民意が示されようが、全くお構いなしで安倍内閣は工事を強行した。つまり安倍内閣の意思は、はじめから移設強行ありきで固まっていたことが分かる。沖縄県知事が移設を容認しようが反対しようが関係なかったのである。
当時は仲井眞知事から容認の言質がただ欲しかっただけだ。そうなれば表向きは沖縄県民が容認した形になる。５年以内に普天間基地を閉鎖すると言う見せかけの飴玉をぶら下げて。その場合、仮に県知事選で翁長氏が敗れて仲井眞県政が続いたとしよう。果たして５年以内の普天間基地閉鎖は実現しただろうか？
それはあり得ない。なぜなら辺野古新基地工事は１０年以上続くと予想されていたし、その間に米軍にとっては使い勝手のいい普天間基地の閉鎖など、到底受け入れることのできない案件だからである。日米合同委員会で米軍優先の政策が審議決定される事態が今も続いている。そこで決められたことは国民の目の届かない裏で運用される。政府はこのシステムに手を差し挟むことはできない。安倍内閣然り。
辺野古新基地工事中に、普天間基地の閉鎖など、そもそも不可能なのだ。安倍内閣は、仲井眞知事に空手形を切ったに過ぎない。到底許せない腹黒さだ。しかし、この醜い政府のやり方は、米軍に国家主権を侵された現状の下では、何度も何度も繰り返されるだろう。煮湯を飲まされるのは常に国民である。
その国民の代表である日本政府がやるべき事は、日米安全保障条約を解消して国家主権を完全に取り戻し、日米合同委員会を潰すことである。
