沖縄よ! 群星むりぶし日記

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北上田毅さんの主張には賛成できない

北上田毅さんは、昨日、北谷町にある北谷ドームで行われた「国による代執行を許さない! デニー知事と共に地方自治を守る県民集会」に参加し、その時の感想を自身のブログ「チョイさんの沖縄日記」に綴っている。

その中で北上田氏は次のように書いている。「今、必要なのは、代執行訴訟に敗訴した場合、どう対応するのかという具体的な対抗策だが、今日の集会ではその点についての問題提起がなかったのが残念だった。先日からのブログでも繰り返しているが、現在の状況であくまでも辺野古新基地建設を阻止するためには、埋立承認の再度の撤回、又は別理由による設計変更の再度の不承認しかない。」(全文は下のリンクから)

北上田氏の主張は明らかに変調である。あえて誤解を恐れずに言えば、甘い! 勿論、同氏の辺野古問題に対する犠牲的な献身と貢献には深い敬意を表する者だが、さすがに今回の主張にはついていけない。その理由を簡潔に説明する。

翁長知事による埋め立て承認撤回以来、政府と県の間で何度も繰り返された裁判闘争ではっきりしたのは、この国の三権分立は米軍(占領軍)基地問題が絡むと行政と司法の独立機能は形骸化し、裁判官は内閣に忖度するという構造的問題が確実に存在するという事実である。

翁長県政を引き継いだ玉城県政と政府との度重なる裁判闘争も然りで、特に最終的切り札と信じた設計変更不承認が最高裁判所において、まるで門前払いされるような事態に至れば、司法と行政の強固な癒着を何人も疑うことはできないだろう。

つまり、米軍(占領軍)基地問題が絡む裁判は、対米従属の自民党政権が続く限り100%勝てる見込みはない、ということである。まず、この冷徹なる現実をしっかり受け止める必要があるだろう。となると、別角度からの新たな裁判闘争を呼びかける北上田氏の主張は、本質からズレた的外れなものと言える。

身近に迫った代執行訴訟の判決は、確実に政府が勝つ。問題は、結審が出た後、県は新たに訴訟を起こすのではなく、判決を受け入れることなく設計変更不承認を貫き通すことである。最高裁の判決に従って、代執行は行使され、超軟弱地盤の辺野古側の埋め立て工事は強行されるだろう。

これが対米従属の歪んだ法治国家の現実だと受け止めて、それでも政治的に屈することなく、辺野古新基地建設がいかに理不尽で不条理なものであるかを、県民一丸となって訴え続ける事が肝心である。

数年前、辺野古の海底調査結果を提出するよう、沖縄防衛局に何度も求めて軟弱地盤の存在を初めて明らかにしたのは北上田氏だった。そして土木工事の専門家として辺野古工事の不可能性を具体的データを元に訴え続けたのも同氏だった。その業績は甚大なものがある。同氏の精力的な行動に敬意を表しつつ、辺野古問題が全く新しい局面を迎えた今、裁判に代わる新しい対抗策を模索してもらいたいと思う。