来年度予算案が衆議院で可決されて、国会の舞台は今週から参議院予算委員会に移った。
審議は、新型コロナウイルス対策に集中した。昨日の審議では、先月29日に行われた安倍首相の記者会見の内容に対する野党側の批判が相次いだ。
確かに安倍首相の記者会見は批判されて然るべき酷い内容だった。全国全ての小学校、中学校、高等学校、特別支援学校について、3月2日(月曜日)から春休みに入るまでの間、臨時休校を要請したからだ。
ここ一、二週間が正念場になるという専門家の意見を取り入れた結果ということのようだが、余りの唐突感は否めず、各省庁間で調整された様子もないらしいことから、この決定は、安倍首相の独断による可能性が高い。野党が批判するのも当然である。
唐突の独断だから具体的にどうするかの説明がない。現場は大混乱するだけだろう。案の定、昨日の参議院予算委員会では、この点を中心に批判が相次いだのである。
しかし、質疑応答を見ながら、野党のやり方は少しおかしいのではないか、と感じたのも事実である。
安倍首相の独断は、確かに批判されて当然ではあるが、しかし、新型コロナウイルス対策は全国民に降りかかる一種の国難とも言えるものであり、与野党問わず一丸となって取り組むべき課題であるはずだ。
そう考えた時、批判も大事だが、それ以上に野党に求められているのは、具体的且つ建設的な政策を示すことだろう。国民のための政治を目指すなら、必然そうすべきだろう。
安倍晋三という男は、もともと政治家としての才能に欠ける人間だ。経済はダメ、外交もダメ、危機管理能力もダメな政治家だ。この七年間の安倍政治で既に結論は出ている。
だから野党は、こんなダメ政治家を相手にしないで、具体的で建設的なコロナ対策を打ち出すべきである。
コロナ対策と「桜を見る会」は性格が全く異なる。「桜を見る会」は安倍晋三個人に対する疑惑である。しかしコロナ対策は全国民に波及する問題だ。
従って、両者の違いを峻別する必要がある。「桜を見る会」疑惑に対しては、今後も徹底的に追及していけば良い。
しかし、コロナ対策を審議する場合は、野党としての対処法の全体図を描き、国民が見ている前で、政府に堂々と突きつけるべきだ。そうして初めて、責任ある野党としての信頼を国民から得ることができるのではないだろうか。
しかし、蓮舫議員の質疑を見ていて非常に失望してしまった。蓮舫議員は安倍首相批判に終始したのである。絵に描いたような批判のための批判。
これでは国民の支持を得ることはできないだろう。これでは折角「桜を見る会」で追い詰めた安倍晋三に反転攻勢の機会を与えることになりかねない。
危機管理の際、野党が示すべき方針は、批判よりも対処法の提示・提案である。例えば「れいわ新撰組」の提案。
山本代表は、何よりもまず政府は金を出せと要求している。消費税10%の増税に加えて、コロナによる経済の落ち込みが酷い。
特に中小零細企業は大変だろう。倒産が相次いでいる。それを食い止めるためには、新規国債を発行してでも思い切った財政出動を行うべきだ。山本代表は30兆円必要だと言っているが、このスケールの大きい発想は、かつての政治の天才田中角栄氏を彷彿とさせる。
山本代表の提言が実行に移されたら、多くの国民が路頭に迷う事はないだろう。
一方の安倍首相は先の記者会見でなんと言ったか。
「 予算措置については、今年度においては2700億円を超える予備費があります。今年度といってもあと1カ月でありますが、2700億円の予備費があります。まずはこれを活用して第2弾となる緊急対応策を速やかに取りまとめます。今回の臨時休校により休みを取らざるを得なくなった保護者への助成金制度創設や、医療態勢の強化、中小、小規模事業者をはじめとする企業活動への対応など、必要な対応策を速やかに具体化させます。その上で、今後も日々刻々と変化する状況に対応し、必要な対策をちゅうちょなく実行していく考えです。」
一見立派に見える。予備費2700億円を全額、コロナ対策に投入してもらいたいものだが、しかし、この人の言動はあまりにも怪しい。
言うこととやる事があべこべなのはこの人の特徴であるから、簡単に信用してはいけないし、騙されてはいけない。七年間の実績が証明しているからだ。
どれだけの額がどのように使われるのか、我々国民は今後監視していく必要がある。全額投入は最低限の課題だが、それでも実行したら多少は評価しても良いと思う。
しかし、それでも「桜を見る会」の政治資金規正法違反から逃れる事はできないことも付け加えておきたい。
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