沖縄よ! 群星むりぶし日記

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映画「沈黙の艦隊」のメッセージ : 日本よ独立せよ!

昨日「沈黙の艦隊」第7話第8話を観た。第1話から第8話を貫くこの映画のメッセージは、観る人によって違うと思うが、ぼくは、日本よ独立せよ!だと受け止めた。

第7話冒頭のシーンは、世界最先端の技術と装備を備えた最新鋭原子力潜水艦「やまと」とその乗組員から構成される世界最小独立国家「やまと」の元首海江田艦長と、日本国総理大臣が同盟条約締結をめぐって会談する緊迫した場面から始まる。

海江田艦長の希望で会談の様子は全世界に生中継される。当然、アメリカ大統領は政府のスタッフと共に大画面に映し出される映像を見ている。

「やまと」国は日本と同盟関係を結びたい、との海江田元首の提言に対して、日本国総理大臣は受け入れると表明する。と同時に、総理大臣は、この事案に関して国連に対し特別委員会を開催するように申し入れるつもりだと言明した。海江田元首も同意し、国連のあるニューヨークに向けて出航することになった。この会談を見ていたアメリカ大統領は、「やまと」をテロ組織に指定して潰せとの命令を下す。

東京湾に停泊している「やまと」を目指し撃沈する目的で米第7艦隊が迫って来る。会談を終えた海江田元首は、日本政府官房長官と数名のスタッフに囲まれて原潜「やまと」に向かっている。その途中、テレビの女性ニュースキャスターが、ガードマンの制止を振り切って、聞きたいことがあると海江田元首の背後から叫ぶ。海江田元首は立ち止まって後ろを振り向くと、質問は一つだけだ、答えはyesかnoで答えると言う。

「やまと」は核弾頭を積んでいるか?との質問に、海江田元首は自信に満ちた真剣な表情でyesと答える。この一言で、この映画の重みがズンと増す。実は、原潜「やまと」に核弾頭が搭載されているかどうか、日米両政府に確かな情報はなく、海江田艦長も一度も明らかにしたことがなかったからだ。

海江田艦長の策謀能力の凄さがわかるワンシーンである。どんなに世界最新最高の原子力潜水艦と言えども、核弾頭を搭載しているかどうかで、極度のインパクトの差が出るからである。

原潜「やまと」は海上自衛隊海上に浮かぶ潜水艦をメンテナンスする船の中に停泊しているが、このような船を海上自衛隊保有しているとは、今まで知らなかった。軍事設備についてもっと勉強しなければならないと痛感する。

海江田艦長が「やまと」に乗り込む前から、米第7艦隊所属の潜水艦はメンテナンス艦に魚雷を発射し、その何発かは命中して原潜「やまと」に被害が及ぶ危機的状況になっていた。致命的な被害を受ける前に原潜「やまと」に乗り込んだ海江田艦長の巧みな指揮で、原潜「やまと」は危機一髪でメンテナンス艦から脱出する。

海江田艦長の言動に不信感を抱く自衛隊潜水艦の艦長は、原潜「やまと」を撃沈しようとするが、それは原潜「やまと」を擁護せよとの政府の命令に反するため、副艦長として阻止しなければなりませんとの強い決意に苦しんだ艦長は、副艦長の意見を受け入れて、原潜「やまと」を擁護する立場にまわるが、このシーンも感動的である。

原潜「やまと」を擁護せよとの政府の方針に従い出動した自衛艦隊と米第7艦隊東京湾で対峙する。そして戦闘が開始されるが、この場面は非常な緊迫感と迫力があり、言葉の解説より映像をぜひ観てもらいたいと思う。

自衛隊は決して米軍を攻撃できないという米軍の思惑と、ここは東京湾であり日本の領海内である、と考える日本政府とのギリギリの攻防戦が展開される。最悪の事態を回避するにはどうすべきか、日本政府は苦悩に苛まれる。そこで官房長官が閃く。海江田艦長に質問した女性ニュースキャスターに電話して、今東京湾で起きていること、原潜「やまと」が核弾頭を搭載していることを特番で流してほしいと。

女性ニュースキャスターは官房長官の要請を受け入れて、特番で事実を放映する。それを見ていたアメリカ大統領は動揺する。日本の領海内で米軍が自衛隊を攻撃するのを世界が見れば、アメリカの立場がなくなる。ホットラインが引かれる。この場面での日本国総理大臣とアメリカ大統領のやりとも緊迫感に満ちて見応えがある。

総理大臣が言う。大統領は核戦争をお望みか?と。大統領は苦悩の表情で小さい声でnoと言う。軍事力では圧倒的優位に立つアメリカが、日本国と同盟を結んだ原潜「やまと」が核弾頭を積んでいるというだけで、自衛隊と本格的な戦争になることを思い止まったのである。

大統領の命令で米第7艦隊は引き上げざるを得なくなる。原潜「やまと」は国連特別委員会に臨むため、ニュウヨークに向けて進んで行く。第8話はそこで終わる。

日本の安全保障に強い感心を持つ人にとって、この映画は日米同盟の在り方、核兵器の持つ意味について本質的な問題提起をしていると思う。避けて通れない問題から逃げてはいけない、と言う声が、この映画の全編から聴こえてくる。

日本よ独立せよ!