イスラエル国家を否定するユダヤ教超正統派団体ナトレイ・カルタ
イスラエル・パレスチナ問題に関しては知らないことがあまりにも多すぎる。下の動画を見て、つくづくそう思った。2年ほど前に読んだ『私の中の「ユダヤ人」』ルティ・ジョスコビッツ著という本で、ユダヤ人には大きく分けて2つの人種がいることを知ったのだが、イスラエル国家を否定するユダヤ人がいるとは初耳であり、非常に驚いている。
まず『私のなかの「ユダヤ人」』について触れると、ユダヤ人と呼ばれる人種には2つあって、そのひとつは旧約聖書に見られる、元々パレスチナ地域に住んでいたアラブ系ユダヤ民族で、宗教はユダヤ教。
あと一つは、西暦700〜1016年頃に、黒海とカスピ海の間にできたハザール帝国のハザール人で、西暦700年頃、ブラン王がユダヤ教に帰依したため、ハザール人はユダヤ教徒になった。年が降るにつれ、ユダヤ教徒=ユダヤ人という概念が定着するようになるが、もちろんハザール人は旧約聖書のユダヤ人とは民族的に全く関係のない人種である。
スペインのユダヤ人大臣ハスダイとハザール帝ヨセフとの間に、954〜961年頃に交わされた興味深い往復書簡がある。その中でハスダイはハザール帝に対して、ユダヤの十二支族のどの支族の出身かと尋ねる。ハザール帝は面くらい、ハザール人はユダヤの十二支族とは関係なく、政治的理由でユダヤ教に帰依したのだ、と返事を書いた。
『私のなかの「ユダヤ人」』を読むことで、長年疑問に思っていた、アラブ系容姿とは違う欧米系容姿のユダヤ人がなぜ多いのか、という疑問が氷解した。そしてユダヤ人問題を考える時、この歴史的事実を踏まえないとイスラエル国家とパレスチナ問題の真実を見誤ることになる。
それにしてもユダヤ人問題は複雑すぎてわからないことがまだまだ多い。かなり分かってきたとはいえ、全体像を把握するにはまだ遠すぎる。ナトレイ・カルタの存在は、ユダヤ人問題を知るための知識を補って余りある。これこそ目から鱗だ。