人類のエゴの象徴・核爆弾
8月6日広島、9日長崎に投下された原子爆弾は、その後の世界のあり方を一変させた。一個の爆弾が瞬時にして十数万の人間を殺戮する。この凄まじい殺傷力が人類を狂気へと駆り立てた。以来、各国の核開発競争が止まらない。
今では何万発もの核兵器が地球上に存在している。平穏な日常生活を送っているように見えても、無意識の内に核戦争の不安を抱いている。いくつかの偶然が重なることで、核ボタンが押される危険がある。
あの日以来、出口の見えない長くて暗いトンネルの中に我々は閉じ込められたままだ。そこから抜け出る知恵を誰も持ち合わせないまま75年の歳月が、虚しく流れ去った。
フルシチョフの時代、ソ連は1961年にツァーリ・ボンバと呼ばれる水爆実験を行った。威力は50メガトン、広島型原子爆弾の3,300倍とされる。衝撃波は地球を3周し、地軸がわずかにずれたという。
この恐ろしい怪物を契機として、核軍縮交渉が開始された。その結果1968年、核拡散防止条約(NPT)の成立を見るが、米国、中国、英国、仏国、ソ連(現ロシア)の核保有5カ国以外の核保有を禁止するという国家エゴ丸出しの茶番劇でしかなかった。
当然反発する国が出てくる。インド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮は、NPT条約以降に誕生した核保有国である。長くて暗いトンネルの出口は、ますます見えづらくなり遠ざかるばかりである。
人間には地球をパラダイスにする能力が備わっているはずなのに、現状は、ひたすら滅亡に向かって突き進んでいるように思われて仕方がない。
原因はなんだろうか、どこにあるのだろうか? 時間をかけて考えてみる必要がありそうだ。