沖縄よ! 群星むりぶし日記

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防衛省の毒饅頭・再編交付金と渡具知候補の目眩し政策に騙されるな

2月4日投開票の名護市長選における政権側の欺瞞的手法に騙されてはならない。その一つに再編交付金というのがある。再編交付金とは何か?
「再編交付金は、再編を実施する前後の期間(原則10年間)において、再編が実施される地元市町村の住民生活の利便性の向上や産業の振興に寄与する事業の経費にあてるため、防衛大臣により再編関連特定防衛施設と再編関連特定周辺市町村を指定した後、在日米軍の再編に向けた措置の進み具合などに応じて交付される。
再編特措法に基づき、07(同19)年10月に14防衛施設、33市町村が指定され、08(同20)年までに6市町村が追加指定され、現在39市町村が再編交付金の交付対象となっている。」
字面通りに解釈すれば、現在政府が強行している辺野古新基地建設は交付の対象になると考えられるが、そうではないらしい。防衛省によると、交付金を受け取るには、「賛成」「容認」の態度表明が必要であるとのことだ。
稲嶺市長は、反対の立場だから名護市は交付金を受け取ることができない。当然そのことは承知の上で反対しているはずである。渡具知候補はそこに目を付けた。彼は、交付金を受け取ると表明しているからだ。しかし、彼の立場は「賛成」でも「容認」でもない。現在、県と国が争っている建設差し止め訴訟を見守る、と言っているのだ。つまり判決が下るまでは態度を保留すると言っているのだ。優しそうな顔はしていても、実に狡猾である。
用心しなければならない。ここに落とし穴があるからだ。「賛成」「容認」でなければ、再編交付金を受け取ることはできない、と防衛省は断言している。だから、渡具知候補が仮に選挙に勝利し、名護市長に就任したとして、相変わらず現在の立場を貫くならば、交付金を受け取ることはできないだろう。しかし、当選すれば一転して「容認」するに決まっている。なぜなら、彼は稲嶺市政の間ずっと、市議会議員として「容認」の立場に立っていたからだ。彼が、それまでの態度を変えたのは、公明党の支持がどうしても欲しかったからだ。それ以外の理由は考えられない。先の市長選で、公明県本は自主投票を決めた。名護市における有権者の約2,000人が公明党の固定票だとされる。この票の行方は無党派票に次いで大きい。公明党の票がどこに流れるかは、勝敗に大きな影響を及ぼす、と言っていい。前回の選挙では、四千票差だから、公明票が全部渡具知陣営に流れたら、行ってこいでその差はゼロになる。だから、渡具知候補はどうしても公明党の支持を取り付ける必要があった。しかし、公明県本は、辺野古新基地建設反対の立場だ。そのため、公明県本が容認派の渡具知候補を支持することはなかった。ならば何故、公明県本は稲嶺市長を支持しないのか?二つの理由が考えられる。稲嶺市長を支える市議会の与党に共産党が入っている。公明党共産党は、犬猿の仲だ。それがひとつ。もう一つの理由は、公明県本と雖も、中央本部に逆らって、独自色を取り続けることは、不可能であるということだ。公明党本部は、自民党に小判鮫のようにくっついて離れない。与党中毒にかかって、売国奴政治に加担したままだ。今回、本部の圧力が公明県本にかかったことは、容易に見て取れる。しかし、金城勉県本代表にもプライドがある。「在沖海兵隊の県外、国外移転でどうだ」との金城県本代表の提案が決め手となり、渡具知候補との政策協定が成立した、と琉球新報は去年の12月29日の紙面で書いたが、それが事実ならなんとも奇妙奇天烈、奇々怪界と言うべきだろう。「在沖海兵隊の県外、国外移転」で政策協定が結べるなら、何故、辺野古新基地建設反対とはっきり言えないのか、実に不思議である。キャンプシュワブは、海兵隊の基地である。金城県本代表、遂に血迷ったか。結局のところ、裁判の行方を注視するという渡具知候補の意向は、県が裁判に負けたら、新基地建設を容認する、と言っているに等しい。そして晴れて再編交付金を臆面もなく請求する。実にずる賢いやり方だ。あまりの子供っぽさに開いた口が塞がらない。
そのような事態に陥らないためにも、一刻も早い翁長知事の撤回宣言が期待されるところだが、いずれにせよ、自民・公明の目眩し戦法に騙されてはならない。稲嶺市長と渡具知候補の内政政策には、ほとんど差はない。決定的に違うのは、やはり、辺野古新基地建設に賛成か、反対かである。その点では、渡具知候補に確たる信念があるとは思われない。狡猾で、日和見な嫌らしい性格が見え見えである。信念の薄い人間に政治を任せるのは、危険だ。名護市と沖縄県の将来にとって、良い事は何もない。
これから、自民・公明側は、政権与党の立場を最大限活用して、再編交付金はじめ、あらん限りの毒饅頭を名護市民にちらつかすことで、市民の心を大きく揺さぶることだろう。しかし、そんな子供じみた誘惑に屈してはならない。我々の先輩方は、軍用地料一括払いというプライス勧告を跳ね返すという、誇り高い歴史を作ってくれた。お陰で今日の沖縄がある。再編交付金も、これから政権側がチラつかせるであろう振興資金も国民の血税である。そんなものもらわなくても、別の形で国民に還流する、と考えれば良いだけの話だ。そのくらいの大きなスケールで政治を考えないでどうする。ウチナーンチュは物乞いじゃないんだ。当然の権利を主張して何が悪い。沖縄の未来は、我々県民の手で切り開く。名護市民の皆さん、政権与党の幼稚な目くらまし戦法に騙されてはいけません。辺野古闘争は、売国奴政治に鉄槌を下す闘いであることを再認識し、その誇り高き理念をしっかりと、県民と名護市民とで共有しましょう!