沖縄よ! 群星むりぶし日記

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ドキュメンタリー映画『DONBAS』

『DONBAS』はフランス人のAnne-Laure Bonnel監督が作成したドキュメンタリー映画である。約53分の長さで2016年に公開された。

2014年、親露派のヤヌコーヴィチ大統領が、民族主義者の策謀によるクーデターで失脚させられて以来8年間、ウクライナは紛争で明け暮れるようになる。その間、ウクライナ東部のドンバス地域で暮らす多くのロシア系住民達が、ウクライナ政府から迫害を受け殺害された。その数、1万3000〜1万6000人。

アンヌ-ロール監督は、現地に赴き、破壊された各地の風景をカメラに収め、住民たちの声を記録する。

ぼくは、この映画を見て衝撃を受けた。ドンバス地域は、2月24日にロシア軍が侵攻する以前から、マリウポリを拠点とするアゾフ大隊(ウクライナ正規軍所属)の攻撃を受けて、多くの街の破壊が進んでいたことがわかったからだ。アゾフ大隊はナチズムを信奉する武装勢力である。

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マリウポリに拠点を置くアゾフ大隊

映画はまた、2014年5月2日に起きたオデッサの悲劇も取り上げている。

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オデッサの悲劇(2014年5月2日)

ロシア語使用を禁止する政府の方針に対し、野営して平和裡に抗議するロシア系住民達を建物へと追い込み、放火して中にいる人々を焼き殺すという残虐極まる事件、それがオデッサの悲劇と呼ばれる事件だ。

写真も残酷だが、映像はもっと生々しく正視できないほどだ。オリバー・ストーン監督の『ウクライナ・オン・ファイヤー』もこの惨劇を取り上げていたが、『DONBAS』の方がもっと具体的で真に迫って生々しい。

そして映画は、オデッサの虐殺について話すアンドレという名の元ウクライナ兵も取り上げている。彼によると、燃え上がる建物の窓から飛び降りる人を、地面に引き摺り出し、叩き殺すマスクを被った人達がいたという。そして現地に駆けつけた警察隊は、それを見て見ぬふりをした、というのだ。

事実なら、実におぞましいことだが、様々な情報を突き合わせると、アンドレの証言の信憑性はかなり高いと思われる。

ウクライナ危機を考える時、ひたすら真相にのみ関心のある方は、ぜひこのドキュメンタリー映画『DONBAS』をご鑑賞いただきたい。

『DONBAS』 https://vimeo.com/202792798?fbclid=IwA