最初に仕掛けたのは、我那覇真子である。
チャンネル桜の討論番組で、橋本徹著『沖縄問題、解決策はこれだ!』を取り上げて、沖縄独立を煽るとんでもない本だ、と我那覇が最初に非難罵倒した。
それを受けて、水島氏が本の内容とは関係のない橋本徹批判をはじめた。個人攻撃に対しては過敏に反応する橋下氏である。早速ツイッターで噛み付いた。
また、うちの事務所に討論の申し込みをしてきたようだが、まずは社会人としてのマナーを勉強しろ。俺は暇ではないし、俺の時間を拘束するなら有料だ。しっかりと条件を提示して来い。俺の番組に呼んでやってもいいが、社会的に価値があり出演の価値があるか厳正に審査した上でのことだ。
https://www.youtube.com/watch?v=hNyIJOyIlLM&feature=youtu.be … 尖閣上陸が行動だって?日本の海上保安庁に保護されることが分かっていながらその上陸に何の意味がある?それで日本の何が変わった?そんだけ言うなら、この時勢の中、竹島と北方領土に上陸して日の丸を掲げて来い!
手前らの活動なんて、日本国民のほとんどは知らねえよ。身内だけで満足してるんだろうが。そこまで偉そうに言うなら、政党作って国会議員の何人かでも誕生させてみろ。一人も誕生させることなどできないだろうが。俺に偉そうに言う前に、お前らもこんな役立たずの番組なんか止めろ。
https://www.youtube.com/watch?v=hNyIJOyIlLM&feature=youtu.be … いい年こいて、威勢だけよく、頭の悪そうなこの男は何なんだ?日本だ、保守だと喚く連中に限って、日本人としての礼節を知らない。人のことをバカにした批判をしておいて俺が反論したらこれだ。
そんなところで威勢よくくっちゃべっていても、何にも解決しない。政治は課題解決が全て。沖縄を再生し、日本という国をしっかりしたものにする。その目的達成のための僕の手段は、かなりクレバーな人が相当勉強しないと理解できないだろう。もっと僕の本を熟読するように。
橋下氏の一連のツイートに対して、水島氏が「直言極言」という自身の番組で反論した。その中で水島氏は、橋下氏と討論したいとも話した。是非実現してもらいたいものである。
このバトルでまず指摘したいことは、我那覇真子の軽薄さだ。橋下氏が言っているように、我那覇はこの本を熟読したのだろうか、熟読して著者の言わんとする真意を把握した上で、批判したのだろうか、ということである。
そうではあるまい。目次をパラパラとめくったら、最後の方に「沖縄独立の覚悟と気迫が国を揺さぶる」という項目を目にしてびっくりした、というのが真相だろう。
そして、そこの部分だけを取り上げて討論番組で俎上にのせ批判したのだ。軽い鉄砲玉、我那覇の最大の欠点、軽薄さが発火点になった、とぼくは見ている。
さて、ぼくは橋下氏が大阪府知事、市長を務めた時から、彼の発言にずっと関心を寄せてきた。
長い間観察してきたぼくの橋下評は、「平成の織田信長」である。とにかく気性が激しい。喧嘩に強いが、無益な喧嘩はしない。合理的精神の持ち主である。言動が激烈なので発信力が強い。
スケールの大きい発想をする。決断と実行力がある。明るい性格でユーモアのセンスもある。演説が上手い。法律に詳しいが、学者タイプではない。
これだけ揃えば、石原慎太郎が惚れ込んだのも頷ける。
その橋下氏が沖縄について刺激的なタイトルの本を出した。早速購入して、二日かけて読了した。衝撃的な本だ。感想を整理して、ブログに書こうと思いながら果たせず、今日に至っている。
自身の怠惰な性格にもよるが、それ以上に内容が多岐にわたり複雑で簡単に整理するのが困難なのである。それでもあえて要点を言えば、「沖縄ビジョンX」なる提言だろう。そのひとつに、「沖縄を東洋一の観光リゾートにする」というのがあり、一国二制度を提案している。
「普天間基地跡地をIRとして開発する」の項目のなかには次のような記述も見られる。
「ただ、法律が成立する前の話ですけど、僕と松井知事と菅官房長官で話をした時に、もし沖縄が手を挙げたら、沖縄には必ずIRを認めてあげなければならないね、という認識で一致していました。
まずは沖縄の振興、本土から沖縄への感謝です。残りの2枠で大阪はIRの誘致を勝ち獲るつもりでした。ですから沖縄がもし名乗りを挙げたら、沖縄は確実にIRを誘致できると思います。(155頁)」
橋下氏の提言は経済振興策に大部分が費やされているが、その中身についてぼくは正直なところ、あまり感心できない。全体的にピンボケしている感じがする。
むしろ富川盛武副知事を中心とする、沖縄独自の経済政策を推進することに期待しているところだ。
そして基地問題については、橋下氏の見解に賛同することはできない。彼は辺野古新基地を容認しているからだ。(この点はチャンネル桜と一緒!)
ただ一つだけ感心したことがある。「手続法」の提案だ。憲法学者、木村草太氏との対談で出てきたらしい。
「すなわち木村理論でいけば、沖縄県、もっと細かく言えば沖縄県内の市町村に米軍基地を設置するには、沖縄県や沖縄県内の市町村における住民投票を実施しなければならなくなります。
この住民投票でしっかりと住民の意思を確かめようとする考えです。知事選挙や市町村長選挙とは異なり、住民投票で基地設置の法律案が否決されると、そのことによって基地は設置できなくなります。これは憲法95条の効果です。
ゆえにこの住民投票は、知事選挙や市町村長選挙よりも強烈な威力を発揮します。(197頁)」
あと沖縄独立について語っているのは、あくまで政治的駆け引きとしての道具と見ているだけで、沖縄の人間として賛同できないのはいうまでもない。
経済振興政策にしろ、基地問題解決手法にしろ、本書で語られた見解のほとんどにぼくは賛同することはできない。しかし、大阪府知事、市長時代の橋下氏の活躍は勿論高く評価しているし、彼が取った政治手法は見習うべき点が多い。
と断った上で言うのだが、やはり沖縄と大阪は歴史、文化など多くの面で、違うのだ。沖縄のことは沖縄のことをよく理解した沖縄人(ウチナーンチュ)の努力で解決するのが真っ当な道である。
しかし、橋下氏のこの本は、賛否を別にすれば参考になるところが多い。多くの人に推薦したい。
さて、橋下氏と水島氏のバトルは今後どう展開するだろうか?
沖縄の人間としては、侃侃諤諤おおいに火花を散らす激論を期待したい。できれば沖縄問題を中心に議論してもらいたいものだ。
個人攻撃ではなく、お互いの立ち位置からの正論を期待する。
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