沖縄よ! 群星むりぶし日記

沖縄を、日本を、そして掛け替えのない惑星・地球を愛する者として発信していきます。

ネトウヨのデマすべてに答える『これってホント⁉︎ 誤解だらけの沖縄基地』

ネット上で沖縄の基地問題に対する誤解・デマが薄気味悪いほどに拡散している。その発信源に一役買っているのが、チャンネル桜「沖縄の声」であるのは間違いない。

「沖縄の声」から発信されたデマ情報を本土の保守言論人たちがそのまま受け入れて、内容を検証することなく、様々なメディアを媒介にそのまま発信するため、一般のにわか保守の軽薄な人たちがそれを無批判に信じ込んで、拡散に手を貸しているというのが実態のようだ。
ネットの恐ろしさを見る思いだが、つまるところ、その根本的原因は、拡散する側の無理解と安易な情報発信にある、と断言して良い。
そんな中、それらのデマの殆どは、何の根拠もないガセネタに過ぎないことを証明する本が出版された。沖縄タイムス編集局編著『これってホント⁉︎ 誤解だらけの沖縄基地』がその本である。
この本を読めば、ネットに拡散しているデマが、何の根拠もない嘘であることが分かる。今もガセネタを信じ込んでいる人はもちろん、その他多くの人に読んで欲しいし、沖縄の基地問題の真実とは何か、日本の安全保障はどうあるべきか、真剣に考えるきっかけになってくれれば、一読者ではあるが、有難い。
Ⅰ 章 在日米軍をめぐる誤解
Ⅱ 章 基地経済にまつわる誤解
Ⅲ 章 こんな誤解、あんなデマ
Ⅳ 章 沖縄の基地をめぐる誤解
Ⅴ 章 「普天間」にまつわる誤解
Ⅵ 章 海兵隊の抑止力をめぐる誤解
Ⅶ 章 日米地位協定をめぐる誤解
内容は以上の章立てで、各章には5ないし7の項目がある。全部を紹介することはできないが、Ⅲ章の中の14番目の項目、「辺野古」反対運動は日当制? から引用する。

 

辺野古新基地反対運動に、男性3人が手伝いに来たことがあった。様子が違うと感じた参加者の女性が「お給料もらえると思ってる?」と聞くと、「はい」。お金は出ない、と伝えるとばつが悪そうに帰っていった。「反対運動で日当が出る」という神話は、かなり浸透している。ネット掲示板ではこんな具合だ。「朝から酒を飲み、弁当をもらって日当2万円(略)有名な話です」ーー宮古島市議は議場で同様の発言をした。
「実際に来てみればいいのに」と、島ぐるみ会議バスで沖縄県庁前からキャンプ・シュワーブゲート前に通う女性(75歳)は言う。毎回、日当どころか乗車のため千円払う。1日おきに来るので月1万5千円になる。女性の収入は年金など月平均で9万円ほどだ。家賃3万4500円や食費を引くと余裕はない。
そこで選んだのがガスを止めることだった。夏は水のシャワー、冬は電気ポットで少しのお湯を沸かして体を拭く。食事も電子レンジや炊飯器だけで工夫している。(略)一方、昼間のゲート前では弁当も自己負担だ。県庁前発の島ぐるみ会議バスの車中では、大城博子さん(64歳)が毎日注文を取り、手配している。1個350円、17個なら5950円。個数ごとの合計金額を暗記してしまったという。代金を受け取り、弁当を手渡しながら言った。
「日当、弁当付きなんて、うそも百回言えば本当になってしまうんでしょうか。ただ事実を知って欲しい。」>


2万円もの日当がもらえるはずもないことぐらい、常識で考えれば誰でも分かることなのに、こんな不常識が軽々とネット拡散するのは、ヴァーチャルな世界に不感症になっている人が増加したからではないか、と考えると、背筋が凍る思いがする。
給料の安い沖縄で、2万円も日当がもらえるなら、雨が降ろうが、強風が吹こうが、ぼくも毎日通いたい。否、5千円でも、バス代千円と弁当代350円払って毎日通いたい。
15番目の項目 反対運動の資金源は中国? から引用する。


<「辺野古基金によって中国からの工作資金が公然と辺野古移転妨害勢力に流れるのでは」「中国は、この団体に介入すべく、資金提供や現地の中国シンパを送り込んだといいます」辺野古新基地の反対運動をめぐって、ネット上で根強いのが、中国が米軍を追い出すために支援しているといううわさ。そこで辺野古への新基地に反対する辺野古基金に聞いてみた。「中国政府や関係機関から振込を受けたことはありますか?」
事務局長代行として会計を預かる松田寛さん(66歳)は、「あればもっといろんなことができるんだけどね」と大笑い。海外から唯一の送金事例を振り返った。それはヨーロッパに住む日本人女性からの申し出だった。ただ、国境を越えるお金の移動には、マネーロンダリング資金洗浄)でないことなどの証明が必要だ。
女性との間で煩雑なやりとりがあり、やっと数万円の寄付を受け取った。松田さんは「中国から巨額の資金を受け取るにはどんなルートがあるのか。想像もつかない」と話す。>


以上、あまり長くなるといけないと思い、全部で46項目あるうちの2項目だけ引用したが、全体を通して共通するのは、あくまでも事実に基づいて冷静に叙述していることである。
あらゆることについて言えると思うが、真実を知るためには、その情報が偏向していないかどうか、自分自身で確かめる必要があるし、そのためにはある程度の時間を犠牲にする覚悟も必要で、たとえ有名人だからというだけで、その人の発言を鵜呑みにするのは危険である。その代表者の一人が作家の百田尚樹氏である。彼は次のような発言をしている。
「基地の地主さんは年収何千万円なんですよ、みんな。六本木ヒルズとかに住んでいる。基地が出て行くとお金がなくなるから困る。沖縄は本当に被害者なのか」
何を根拠に発言したかわからないが、本書は、この百田氏の発言を、具体的な資料を提示して、完璧に論破している。
ぜひ多くの方々に読んでほしい。