勇馬氏への返信
勇馬氏から貴重なコメントを頂いた。沖縄が直面する種々の問題に対して、本質的な疑問を提起しておられる。できるだけ誠実に対応したいので氏のコメントを全文掲載させて頂く。
<「ここはアメリカじゃない、日本国の沖縄だ。なぜ独立国の日本に70年以上も外国の軍隊が駐留し続けるのだ。」というのは全くの正論で全面的に賛成です。沖縄だけでなく、私の育った東京の都内にある広大な横田基地も、日本国内の全ての米軍基地も廃して、核武装した日本人自身の国軍で置き換えるべきと私も思いますので、貴兄の辺野古への思いも分からないでもありません。しかし日本は本当に独立国でしょうか?更に、敵を見誤っていませんか?もし「沖縄を愛するだけでなく、日本国をも愛する」ならば、沖縄だけでなく日本全体の危うい国際環境をも斟酌すべきではないでしょうか?現在、日本と沖縄の主敵は米国ではなく中国であり、沖縄独立を唆し奪おうとしているのは中国であり、福建と密接な現知事はその手先ではないでしょうか?現在の日本には残念ながら独りで沖縄を防衛する実力がなく米軍に依存せざるを得ない以上、独立した日本軍による完全防衛体制が整うまでは、米軍を盾にする以外守るすべはなく、辺野古移転反対は本当の敵を利し喜ばせるだけではないでしょうか。反対闘争に中国や韓国の工作員が混じっていませんか?沖縄が中国の支配下に入ればチベットやウイグル、モンゴルで起きていることが間違いなく沖縄県民の上に降りかかり、貴兄も逮捕、拷問、虐殺の目に合うでしょう。沖縄主要2紙も直接検証はしていませんが内地で報道される限りでは尖閣に関する報道は八重山日報のみが正しいと思われます。沖縄は観光客として一度訪れただけで実情を知りませんので貴兄の記事は興味深く拝読しています。間違いがあれば訂正ください。>
勇馬様、真摯なコンメントを頂き恐縮しています。貴方の問いかけは、現在進行中の沖縄の問題の核心をつくもので、それに対してできるだけ誠実に、私の考えを述べたいと思います。日本は本当に独立国でしょうか?と言うことですが、独立国であると同時に、軍事の面では米国の従属国だと思います。大東亜戦争に我が国が敗北して以来、米国の我が国に対する姿勢は一貫しています。日本の本格的再軍備を許さない、米軍を駐留させることで、日本列島を米国の最西部の国境線とする、つまり軍事的支配下に置く、等です。無論、これらのことは全て、米国の利益のためです。米軍は日本を防衛する目的で駐留しているのではありません。全ては第一に、米国自身の国益のためです。さて、現在、日本と沖縄の主敵は米国ではなく中国ではないか、と言うことですが、全くその通りだと思います。中国共産党の傍若無人ぶりは許容できるものではありません。私は米国を主敵だと考えたことは一度もありません。政策の変更を訴えているのです。沖縄の基地負担が大きすぎる理不尽な現状をなんとかしてくれ、と訴えているだけです。そのために辺野古の反対闘争に参加しているのです。安全保障の観点からいうと、在沖海兵隊はなんら抑止力になりません。その海兵隊基地が沖縄の米軍基地に占める割合は膨大なものです。嘉手納飛行場を除けば、残りのほとんどが海兵隊基地関連の施設です。その無用な海兵隊基地を撤去してくれと言っているのです。東洋で最大かつ最強を誇る嘉手納空軍基地と、横須賀の第7艦隊、そして我が自衛隊で充分な抑止力になるのではないでしょうか。後方には米国の核兵器数千発が控えています。もしも尖閣戦争が勃発したら、海軍と空軍の戦闘が中心になると思われます。海兵隊の出る幕はありません。戦闘の最中に、小さな無人島に兵隊を送り込むなど、想像もできません。単なる輸送機に過ぎないオスプレイなど、なんの役にも立たない。私は軍事専門家ではないので、知り得た情報を元に、自分の見解を述べているにすぎないことをご理解ください。防衛省の幹部が検討しているであろうシミュレーションを覗くことができれば良いのですが、当然そんなことはできるはずはありません。繰り返しになりますが、沖縄の嘉手納空軍基地と横須賀の第7艦隊、そして自衛隊で我が国の抑止力は十分だと信じます。全面戦争になれば、中国の核兵器と米国の核兵器の撃ち合いになるので、両国ともそれは避けざるを得ないと思いますが、はっきりしたことはなんとも言えません。愚かな人間のやることですから、その可能性を完全に否定することはできないでしょう。米国は日本の敵でも沖縄の敵でもありません。しかし、間違った政策に対しては、たとえ米国であろうとはっきりと物申すべきだと思います。貴方が指摘するように、主敵は中国共産党であることは間違いありません。中国共産党と人民解放軍は我々の敵です。少しも臆することなく、そう断言します。しかし、当然のことですが、一般の中国人は敵ではありません。その中には必ず良識派がいるはずですから。翁長知事は中国の手先ではないか、と心配されているようですが、そんなことはありません。似非保守の連中がためにするデマにしか過ぎないと思います。李克強首相と会った時、翁長知事は航空便の増設をお願いしただけで、尖閣の話をしなかった、と言って似非保守の連中は騒ぎますが、少し考えてみて下さい。一県知事が果たして一国の首相に対して、係争中の領土問題に対して問い質すことなどできるものでしょうか?しかも、相手は中国共産党のナンバーツウです。
仮に、翁長知事が勇気を振り絞って、李克強首相に尖閣諸島は歴史的に沖縄県に所属すると発言したとしましょう。現在、沖縄に来ている中国人の観光客は、直ちに総引き上げの処置が取られるでしょう。現在の中国のやり方を見ていると、十分考えられることです。しかし、彼らが落とすお金は、多少なりとも県経済を潤しています。本土各地でも、中国人の観光客が使ってくれるお金で、かつての爆買いはなくなりましたが、多少なりとも地元の経済に貢献しているのではありませんか?大阪の松井知事は、ホテルの客室が不足していると言って、嬉しい悲鳴をあげています。
ところで、現在の尖閣問題は、一触即発の危機的状況を呈しています。いざとなった時、翁長知事に武力発動の権限はありません。尖閣問題は政府が解決すべき政府の専権事項だからです。翁長知事としては、政治家として、沖縄県にとって利益になることを現実的に考えて行動しているに過ぎません。
仮に、翁長知事が中国共産党と手を結び、沖縄独立を画策しているならば、私は、反翁長知事の陣営に加わり、知事を徹底糾弾します。大多数の県民はそんな知事を許すはずがありません。中国共産党の残忍さを考えると、当然のことです。辺野古の反対闘争に中国や韓国の工作員が混在していないか、ということですが、4回現地に行った体験からいうと、彼らの存在はまだ確認していません。工作員としては、そうやすやすと表に出ることはないと思いますが、ただ、次のことだけは断言できます。外国勢力の工作員らしきものが、反対闘争の核にいて、反対闘争を指導しているというようなことは、絶対にありません。あくまでも、沖縄人の自発性からくる沖縄人が中心の反対闘争です。沖縄人を軽く見ないでもらいたい。
沖縄主要2紙に比べると、八重山日報の記事の方が真実を伝えているのではないか、ということですが、私はこの3紙を契約購読していないので、気が向く時だけコンビニで買って読むくらいですから、独断的評価になることを、ご了承願います。東京で働いていた頃、日経新聞を5年間、産経新聞を4年間、契約購読していました。両紙とも記事の内容は深く読み応えがありました。特に産経新聞は面白く、隅から隅まで読んでいました。それに比べると、新報もタイムスもちっとも面白くありません。地方紙と全国紙の力量の差のようなものがあるのでしょうか。新聞社の内情に詳しくないので、なんとも言えませんが。八重山日報はチャンネル桜「沖縄の声」が盛んに購読を促しています。私の郵便受けにも一部入っていましたが、確か8ページだけだったと思います。こんなに記事の量が少なくては、読者の購買欲は湧かないのでは、といささか心配しています。新報とタイムスの編集方針ですが、確かに偏向しているきらいはあります。しかし、どの新聞もそれぞれ社独自の編集方針を持っているはずで、本土の保守論客が騒ぐほどのものではないと思います。嫌なら購読しなければ良いだけの話です。その点、県民は割と覚めているのではないでしょうか。新報とタイムスの間に八重山日報が参入して来たのは、歓迎すべきでしょう。多くの視点があってしかるべきだし、お互いに切磋琢磨してこそ、読者により良い記事を提供できるのではないでしょうか。八重山日報には是非頑張って欲しいところです。最後に、沖縄の歴史について触れさせて下さい。沖縄独立に関することと、中国と琉球の歴史的関係についてです。
勇馬さんもご存知のように、沖縄は、かつて琉球王国という国際的に認知された独立国家でした。マラッカ海峡まで航海して交易した時期もありました。当時の地図には、台湾を小琉球、沖縄を大琉球と表示されています。そのくらい、当時の琉球人は覇気に富んでいた証だと思われます。中国とは冊封関係にあり、中国との貿易は琉球に莫大な利益をもたらしたようです。また、大国中国の影響は、琉球の文化の隅々にまで及んでいます。しかし、その影響はあくまでも外見にとどまり、琉球人の精神の最深部まで達することはありませんでした。琉球語が日本語の一支流であることは明らかです。伊波普猷がP音考という学説を残していますが、現在使っている沖縄語も、韻の規則的な変化を追えば日本語そのものだということがわかります。この決定的事実があるからこそ、私は祖国は日本だと言って迷わないのです。但し、勇馬さんが日本を祖国と呼ぶのとは、大分ニュアンスが異なることも指摘しなければなりません。廃藩置県で日本国に組み込まれるまで、気が遠くなるほど長期間にわたって、琉球に天皇の、あるいは皇室の文化の影響が及ぶことはなかったのです。この断絶こそ、本土人の祖国感と沖縄人の祖国感の決定的な違いを表すものです。さて、ここまでくるとやっと沖縄になぜ独立を唱える人々が存在するのか、朧げながらその土壌が見えて来たと言えるのではないでしょうか。もう少し付け加えさせてください。1609年の島津侵略と260年に及ぶ島津の支配、廃藩置県に於ける琉球処分。歴史を振り返ると、琉球沖縄人の本土人に対する不信感は根強いものがあります。逆に、当時の中国人に対しては、琉球沖縄人は大変な好意を抱いていました。冊封体制とはいえ、中国が直接琉球の政治に口を挟むことはなく、貿易では恩恵を受けています。そして、中国人が琉球人を虐殺したという歴史事例は存在しません。中国と琉球は兄弟のような関係だったと言えるでしょう。この事実は、現在の中国が民主化された時、きっと良い方向に生かされるに違いありません。しかし、中国共産党の支配が続く限りはダメでしょう。さて沖縄独立論ですが、かつて琉球王国であったという誇りがあるとはいえ、日本政府の沖縄に対する姿勢に誠意があれば、独立論が出て来くることはないと思います。島津侵略、琉球処分、米軍占領。そして現在の安倍政権の強引なやり方。これだけの材料が揃えば、沖縄独立を主張してなぜ悪い、となるのです。かつて独立国家であったことも正当性の根拠となります。独立を唱える人たちの心情を、同じ沖縄人として私はよく理解できます。1995年に起きた米兵3人による小学生暴行事件の時、私は東京で働いていたのですが、一時的ではあるが独立論者になりました。あの時の政府の対応は本当にひどかった。しかし、今は独立運動には、彼らの心情は理解できるにしても、反対の立場です。勇馬さんも心配しているように、中国共産党の沖縄侵略に口実を与える危険性があるからです。しかし、中国が民主化されて、その脅威が失せた時、政府の対応が相変わらず我々沖縄人に対して、侮蔑的なものであれば、独立論の声が消えることはないでしょう。それよりも何よりも、自主防衛論を声高に主張し続けることが大事ではないでしょうか。まだまだ論じたいところですが、いくら論じても論じ足りません。とりあえずこれで筆を置くことにします。
お知らせ: 保守も革新も無党派層の人も辺野古へ行こう!No Marine !
月曜日 午前9時発 平和市民連絡会(往復カンパのみ)
火曜日 午前9時発 オール沖縄那覇の会
水曜日 午前6時発 平和市民連絡会
午前9時発 島ぐるみ会議(往復千円のみ)
木曜日 午前9時発 平和市民連絡会
金曜日 午前9時発 平和市民連絡会
土曜日 午前6時発 平和市民連絡会
午前9時発 島ぐるみ会議
(いずれも県庁前広場発)