沖縄よ! 群星むりぶし日記

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一人のハンストが「戦後レジーム」の堕落を射抜く

戦後レジームからの脱却」を唱えながら「戦後レジームを完成」させた安倍晋三前総理大臣戦後レジームとは、言うまでもなく、対米従属状態を意味する。

しかし、脱却どころか、7年8ヶ月もの長期政権で、我が国の対米従属は少しも変わらず、より酷くなっただけである。その結果、我が国の政治は、あらゆる面で身動きが取れなくなっている。

政治家は腐敗し、官僚も腐敗し、20年以上も経済は停滞を続け、衰退国家・日本は世界から忘れ去られつつある。これが今の日本の姿だが、特に政治家の道徳意識の欠如は目を覆うばかりで、一人のハンガーストライキがその退廃ぶりを、あらためて浮き彫りにした。

具志堅隆松さんが県庁前広場でハンストに入って今日で6日目になる。ハンストに入った動機は、南部戦跡周辺から辺野古埋め立てに使う土砂を採石業者が採取することを阻止する目的で、県が採取認可しないよう訴えるためだ。

具志堅氏は、ボランティアで39年間に及び遺骨収集活動に携わってきた人物である。昨年9月、南部戦跡周辺で遺骨を発見収集した。その途中経過の11月、現場の植物は採石業者により伐採され、立入禁止の看板が建てられたと言う。

この現実に具志堅氏は危機感を抱いた。これでは先の大戦で亡くなった人々の遺骨の混じった土砂が、辺野古埋め立てに使われてしまう。決して認めるわけにはいかないし、許してはならない。

意を決して、玉城知事に強く訴えるために、具志堅氏は1日からハンストに入った。その辺の事情は、チョイさんの沖縄日記が詳しく書いているので是非ご参照いただきたい。

ぼくが何よりも心動かされたのは、具志堅隆松さんの遺骨収集にかける崇高な精神である。沖縄戦という生き地獄の中で死んでいった多くの人々の無念。戦後75年経った今も、2790体が未収集と言われる。DNA鑑定で遺族の元に帰ってきたのは、わずか5体にしかすぎない。収集活動がいかに困難な作業で忍耐を要するものであるかがわかる。

ボランティアでコツコツと活動を続けて39年間。具志堅氏の地道な行動には、ただただ頭が下がる思いだ。戦没者に対して真摯に向き合う気持ちがなければ、とてもできる事ではない。

沖縄戦で亡くなった人は民間人だけではない。日本兵も米兵もいる。未収集の遺体はどこにあるか特定できない。具志堅氏が収集した南部戦跡周辺の遺骨は、日本兵か米兵(行方不明者約230名)の可能性だってあり得る。

その土砂を米軍(占領軍)基地の埋め立てに使うというのは、あきらかに英霊に対する冒涜だろう。こんな非人間的計画が認可されて良い筈がない。しかし、菅政権の反応は、絵に書いたように鈍感すぎる。

菅義偉首相「採石業者において遺骨に配慮した上で土砂の採取が行われる」

岸信夫防衛大臣「採石業者によるしっかりした対応を求めていく」

具志堅氏によると、遺骨収集は経験を積んだ人間でないと非常に難しいという。長年風雨に晒されて土色を帯びた骨は見分けづらい。小さな骨は指でつまんだ時の感覚でしか見分けることができないという。そもそも経験のない採石業者にできるわけがないのだ。

戦没者の骨と血が混じった土砂で米軍(占領軍)の辺野古新基地を埋め立てるということが、どういう意味を持つのか、菅も岸も理解できないのだろうか。この二人には英霊の声が聞こえないのだろうか。

新基地建設に賛成か反対かが問われているわけではない。戦没者の骨と血が混じった土砂を米軍(占領軍)の新基地建設のために使用してはならないという、日本人として当たり前の道徳感が問われているのだ。

玉城知事は、具志堅氏の真意を汲み取って、週明け早々にも非認可決定を下すべきだ。

 

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