沖縄よ! 群星むりぶし日記

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松川宜野湾市長は民主主義の本質を理解していない

宮古島市に続いて、宜野湾市が県民投票の実施を断念した。

これだけ大きな決断をした。一朝一夕で変わるような決断ではない」と、松川市長は記者の質問に答えている。今後、県から勧告や是正の要求があっても、決断が翻ることはないとの強い意思表明である。

又、次のようにも述べている。「県民からの執行依頼で、県議会で条例化されたことから言えば、条例を執行できないことは非常につらい。苦言になるが、県議会には宜野湾市民に配慮してほしかった。条例に普天間飛行場の(危険性除去という)原点が全く見えない

 赤い箇所が松川市長のホンネだろう。「普天間飛行場の危険性除去」が条例に記載されず、辺野古移設に賛成か反対かの二択だけでは、宜野湾市民の民意が反映されない、と言っているのだ。

普天間飛行場のある宜野湾市長の立場から考えるならば、確かにその主張には一理あると思うし、松川氏の心情を理解できないわけでもない。

がしかし、あえて反論したい。まず、なぜ県議会は条例を「辺野古移設に賛成か反対かの二択」に限定したか、その理由を考える必要がある。

さきの知事選で、辺野古移設に反対する玉城デニー候補が当選したのを受けて「知事選の争点は辺野古移設問題だけではなかった」と述べた菅官房長官の発言に対し、多くの県民が反発した。

官房長官の発言は、明らかに、何度も辺野古移設反対の意思を選挙で表明したのにも関わらず、県民の意思を無視する不誠実極まりないものだ。

その不誠実さに対して、県民の間から県民投票にかけて移設の是非を示そう、との声があがったのは自然の勢いというものだろう。確かに、知事選の前から、県民投票を主張する人々がいたのは事実だ。

しかし、菅義偉の心無い発言が直接の引き金になったことは間違いない。沖縄県民に対する政府の不誠実な態度が県民投票へと走らせたのだ。

この経緯を振り返ると、辺野古移設に賛成か反対かの二択を問う県の条例に正当性がある、と考えるのは当然のことだろう。

普天間飛行場の危険性除去に触れていない、と松川市長は不満を述べているが、それはあくまでも市議会と市長の見解にすぎない。勿論、宜野湾市民の間に同じ思いをいだく人々がいることも承知している。

しかし、県民投票で意思表明したいと考えている宜野湾市民が存在するのも事実だ。そうなると当然のこととして、これらの市民の投票権を、市議会と市長が奪って良いのかと問われることになる。

ここで指摘しておきたいのは、市議会選挙と市長選挙、このふたつと県民投票は性格が違うということだ。いずれも市民県民の有権者によって物事の賛否が決定されるが、投票の対象が異なるということである。

市議会議員と市長は市民の代理として政治に携わる人間だ。その代理人を市民は投票によって選択する。選ばれた代理人は市民に代わって宜野湾市の諸問題を解決するために働く。その場合、種々の案件に対して、いちいち市民の賛否を問う必要はない。

議員も市長も、各々の政治信条に従って職務を遂行するからである。この時、政治家と住民との間に距離が生まれる。その距離が間接的民主主義と呼ばれる所以だ。

では、県民投票はどうかと言えば、これは人間(政治家)を選ぶのではない。ひとつの案件、県民が重大事案と考える課題に対して、直接賛否を表明するのである。つまり、間接的手法と違って、県民が課題の解決に向けて直接意思表明するのである。

すなわち直接的民主主義。この直接的民主主義形態こそが市民県民(住民)が政治に直接関与するための最後の砦である。その意味で、民主主義的社会において、住民投票は重い意味を持つのである。

憲法主権在民を謳っている。政治家は国民の代理人にすぎず、国家の主役は国民だと規定しているのである。

すなわち、直接的民主主義は間接的民主主義の上位に位置するということ。だから時の政権は住民投票を重く受け止めるべきだし、民主主義の発達した国家はそうしてきた。

このように考えると、松川宜野湾市長の今回の判断は、民主主義の本質を理解していないからだといえる。市議会が反対表明するのは自由である。しかし、あくまでも参考意見として止めるべきだ。

何故なら、市民の代理人にすぎない市議会議員も市長も市民の投票権を奪う権限は付託されていないからだ。許されるとなると、これはもう発展途上国並みの民主主義でしかない、ということになる。

では、普天間飛行場の危険性除去についてどうするか?

住民投票をすればよい。つまり、普天間飛行場の危険性除去に関する方法論を宜野湾市民に直接問えばよいのだ。市議会も市長も、この課題が宜野湾市にとって死活問題というなら、躊躇なく住民投票をすればよいだけの話だ。

そして、経費節約のために県民投票と同日と決めるとよい。県民投票と市民投票を2月24日に同時に行う。こう提案したいが、どうかね松川市長。宜野湾市の主役はあなたではなく、市民だと理解すれば、ぼくの提案を拒否できないはずだと思うが、如何だろうか?

中山義隆石垣市長にも同じ事を提案したい。今、石垣市陸上自衛隊配備計画の賛否を問う住民投票を巡ってもめている。仮に住民投票が決まれば、県民投票と抱き合わせて実行する。

市議会も中山市長も県民投票に反対しているが、これまで述べてきたように、市議会にも市長にも市民の投票権を奪う権限は付託されていないはずだ。とすれば、2月24日に、県民投票と市民投票を同時に行う。どうかね、中山市長。

同じ事を宮古島市長にも言いたい。宮古島市の主役は、あなたではなく市民なのだから、あなたに市民の貴重な投票権を奪う資格はないのだ、と。

最後に県民投票を実施するかどうか態度表明をしていない首長諸君に訴えたい。住民の代理人にすぎないあなた方に、住民の投票権を奪う権限も資格もないにも関わらず、県民投票をしないとなれば、民度の低さを自ら証明するようなものだ、と。