沖縄よ! 群星むりぶし日記

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翁長知事が「撤回」を表明、そして全国知事会は「日米地位協定」抜本改定を提言

昨日、翁長知事が、満を持して辺野古新基地建設のための埋立承認を「撤回」するための手続きに入った。そして同日、札幌市で開催された全国知事会日米地位協定を抜本的に見直す提言を、全会一致で採択した。

約2年前に、翁長知事の要望で全国知事会が設置した「全国知事会米軍基地負担に関する研究会」が調査した結果、提言という形で実を結んだのである。

提言は四項目で構成されているが、その中で特に重要と思われるのは第二項である。

日米地位協定を抜本的に見直し、航空法や環境法令などの国内法を原則として米軍にも適用させることや、事件・事故時の自治体職員の迅速かつ円滑な立ち入りの保障などを明記すること

この提言は画期的である。基地が有る無しに関わらず、党派を超えて全国知事会は全員一致でこの提言を採択したのだ。外務省をはじめとする政府は日米地位協定改定に意固地なまでに反対してきた。

そんな政治的状況の中での提言である。いくら賞賛してもし足りないくらい画期的なことなのだ。全国の知事が政府の先を走り始めたのである。

2004年8月沖縄国際大学構内への米軍ヘリ墜落事故。2016年12月名護市安部の浅瀬にMV22オスプレイの墜落事故。そして昨年10月東村高江の民家の牧草地で発生した米軍大型輸送ヘリの墜落炎上事故。

いずれの事故も県警の立ち入り調査は認められず、米軍によって仕切られた区域外で、県警が事故現場を傍観する光景を見た人間は誰しも、主権国家として屈辱ではないかと、悔しい思いをしたはずだ。

それでも貝のように口を固く閉ざす日本政府。こんな連中に本当に日本の政治を任せていいのか?

当然、いいはずがない。沖縄から抗議の声が上がったのも自然の勢いと言える。もし翁長知事の要望がなかったら恐らく全国知事会日米地位協定が取り上げられることはなかったであろう。

翁長知事の現場からの真摯な訴えに全国の知事が応えた。16年11月に発足した「米軍基地負担に関する研究会」は6回にわたる開催の結果、提言を公表するに至ったのである。

政府は、安倍内閣は今回の全国知事会の提言を重く受け止めるべきだろう。しかし安倍内閣にあまり期待しない方が良い。「我が国は米国と100%共にある」と平気で公言して恥じない売国奴政権だからだ。

さて、翁長知事の「撤回」表明だが、記者会見の模様を見ていて、知事の政治家としての誠実な姿勢と郷土を愛する深い思いに心を打たれた。

「はいさいぐすーよー、ちゅううがなびら」この琉球語による翁長知事の冒頭の挨拶は、すっかり馴染み深いものになった。はいさい=こんにちは、 ぐすーよー=皆さん、 ちゅううがなびら=ご機嫌いかがですか、の意味で、琉球語うちなーぐち)の理解できる世代の琴線に触れる挨拶の言葉である。

イデオロギーよりもアイデンティティを強調する翁長知事の郷土の文化に対する深い愛情と誇り、そして強い自信の表れであることがよくわかる。さて「撤回」の理由を整理すると

①事業者に義務付けて付された留意事項を沖縄防衛局は遵守していない

②沖縄防衛局が実施した土質調査により、C護岸設計箇所が軟弱地盤であり、護岸の倒壊などの危険性があることが判明した(※この軟弱地盤については、ブログ「チョイさんの沖縄日記」を運営する北上田氏が沖縄防衛局に資料を請求して判明した。北上田氏の功績は大きい)

辺野古新基地が完成した場合、国立沖縄工業高等専門学校をはじめ、飛行場周辺には高さ制限を超える建物や区域があることが判明した

④稲田前防衛大臣は、辺野古新基地が完成しても民間施設の使用改善等について米側との協議が整わなければ普天間飛行場は返還されないと答弁。普天間飛行場返還のための辺野古新基地建設という埋立理由が成立しないという承認時には明らかにされていなかった事実が判明した(※米国会計検査院辺野古新基地は固定翼機には滑走路が短すぎると報告。エルドリッジ氏も『オキナワ論』で新基地の滑走路の短さを指摘し、海兵隊の航空基地として不適格であると米側の立場から批判している。)

以上、撤回理由を要約したが、全て埋立承認後に判明したものである。これだけで充分「撤回」に値すると断言できる。次に記者との質疑応答の中から何ヶ所か抜粋したい。

なぜこのタイミングかとの問いに対して「一番目には法的な観点からの検討を丁寧に行うというようなことが一番重要ということがありましたから、慎重にこの検討を重ねてきた。」

「なんせ5、6年前は自民党県連と一緒に辺野古基地反対ということで、声を一つにして「沖縄には基地を造らせない、いくらなんでも0.6%に70数%をこれから何十年間もいりません」というようなことでご一緒した。あのときの蜜月時代をよく覚えている。それが急に中央から手が差し伸べられると、私から見ると、とても反論できるような国政与党ではないというような状況にある。(※それまでは沖縄選出の国会議員全員が新基地建設に反対の立場だった。しかし、当時の石破幹事長の恫喝に屈した自民党所属議員五名全員が賛成に寝返ったのである。)」

「何が何でも沖縄に新辺野古基地を造る、この固い、固いというとなんとなく意思決定としては言葉使いはいい感じがしますが、私からするととんでもない固い決意でですね、沖縄に新辺野古基地を造るという思いがあると思っている。(略)私はこういうことを政府がやることについて日本国民が全く違和感のない中で「沖縄に造るのは当たり前だ」というようなものがあるのではないかということで、大変、私個人的には憤りを持って見ている。」

「私たちが理由を問うていくと、お金はどっちが出すかということで連邦下院、上院議員30人ずつお会いしましたけども、お金は誰が払うかなんですよ、いや1兆円ぐらいかかるが日本政府が払いますよと。だったら日本の国内問題ということでいいんじゃないかというような形でやっている。」

「アジアのダイナミズムを取り入れ、アジアが沖縄を離さない。沖縄はアジアの地政学的な意味も含めて経済ということでは大変大きな立場になってきている。こういったことなどを平和的利用、アジアの中の沖縄の役割、日本とアジアの架け橋、こういったところに沖縄のあるべき姿があるんではないかと思う。」

「今の日本の米国に対しての従属は、日本国憲法の上に日米地位協定があって、国会の上に日米合同委員会がある。この二つの状況の中で日本はアメリカに対して何も言えない状況にある。」

翁長知事は膵臓癌摘出後、痛ましいほど痩せた。しかし飄々とした中でも声には張りがあるように感じられた。順調に回復しているのではないか。また是非そうであって欲しい。体調は本人が一番よく理解しているはずである。たとえ11月の知事選に出馬しなくても県民としては、本人の意思を最大限尊重すべきだろう。

出馬するなら、県民は一体となって翁長知事を支え、安倍売国奴政治の新基地建設を断念に追い込む。決して楽観視できない厳しい状況が続くだろうが、売国奴政治に屈するわけにはいかないのだ。