沖縄よ! 群星むりぶし日記

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辺野古新基地に代わる代替案

 辺野古新基地阻止を訴える翁長知事が、4回目の訪米直前、那覇空港で「代替案の模索」について初めて言及した、との報道があった。名護市長選に敗れた上更に、訪米中に岩礁破砕差止訴訟敗訴を聞かされた翁長知事の心情を思うと、実に痛ましい感がするのだが、新聞で「代替案の模索」の文字を見た時、思わずあっと唸ってしまった。

と言うのも3年前、ぼくは翁長知事と菅官房長官宛に代替案の手紙を送ったことがあったからだ。当然、其々に文面の違う手紙だが、内容は共通している。その内容とは、小川和久著『普天間問題』(副題:この一冊ですべてがわかる)において言及されたキャンプハンセン移設を提案したものだ。

手紙と同時に、アマゾンを通して同著書を翁長知事と菅官房長官宛に送った。しかし、両者から返事が来ることはなかった。だから手紙も本も受け取ったかどうか、あるいは受け取りはしたが完全に無視したのかどうかさへ、全くわからない。もし受け取ったのなら、手紙に対する返事はなくても、本を進呈されたら感謝の一言くらい寄越すのが礼儀だと思うが。

さて、あれから3年が過ぎ、ぼく自身辺野古阻止運動に、去年の夏場だけとはいえ直接参加したこともあって、この件は完全に頭から消え去っていたのだが、しかし、今朝の新報の報道で「代替案の模索」と言う文字を目にして、もしや、と3年前のことを思い出したのである。

小川和久著『普天間問題』を何故、翁長知事と菅官房長官宛に送ったのか。 それは小川氏の提言が深い軍事知識に裏付けられた合理的かつ現実的な構想であり、普天間問題を解決する最も有力な提言だと考えたからである。

この本の出版は2010年だから、今からおよそ8年前になるが、しかし内容は少しも古くない。むしろ今読み返しても強い説得力を持って迫ってくる。だからこそ小川氏の論理展開の迫力に心動かされて、矢も盾もたまらずに翁長知事と菅官房長官宛手紙で、小川氏を中心とする委員会を組織して、普天間飛行場移設問題の解決を図ってはどうか、と提案したのである。

同著で小川氏は、現在のキャンプシュワブ埋め立て案ではなく、キャンプハンセン内移設を提案している。キャンプシュワブ案に比べて、工期は極端に短縮できるし、建設費(血税)もかなり安く済む。そして工事の間、普天間飛行場を他の米軍飛行場に仮移駐して同飛行場を閉鎖状態にする。以上のような構想の実現性を具体的に論証しているのだ。

普天間解決に必要な具体的作業

作業1・・普天間飛行場の航空機を「仮の移駐先」に移動させる。

作業2・・日米同盟はベターな選択であることを、沖縄県民と確認する。

作業3・・沖縄が米軍基地問題を解決する条件を、沖縄県民と確認する。

作業4・・普天間返還を突破口に、沖縄の未来を展望し、その自立を実現する構想を描き、本格的な移設先を決定する。≫

そして小川氏は、今後の米軍基地の整理・統合・縮小に向けたロードマップ(時系列の工程表)を作る必要性を説いて次のように言う。

≪ ロードマップの終着点は「日米関係を壊すことなく、沖縄の軍事基地をすべて廃止する」ことですが、これには10年どころか、100年以上かかるかもしれません。期限は示さなくても、それが最終目標だとしておけばよいでしょう。そして、その目標に向けて、日本が平和主義によるイニシアチブをとってアメリカとの同盟関係を変容させ、そのなかで極東、アジア、世界の軍縮を進め、沖縄米軍基地も減らしていくという工程表を描くのです。≫

ここまで言える小川和久氏は、単に軍事評論家と呼ぶより軍事思想家と呼ぶほうが適当ではないだろうか。小川氏の軍事知識は、他の追随を許さない程深いのだ。

翁長知事の「代替案の模索」の中に、小川氏が描く構想が影響しているかどうか、これからの翁長知事の発言に注目する必要がある。