沖縄よ! 群星むりぶし日記

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翁長知事は知事権限を毅然として行使せよ

翁長県政が大きく揺れている。辺野古新基地に使う石材を海上搬入するための奥港、本部港の使用許可申請を認可したのに続き、翁長知事は埋め立て予定海域のサンゴ移植のためのサンゴ採捕を許可した。

にもかかわらず、「いかなる手段を使っても新基地建設を阻止する」と言っている。絶対に阻止すると右手を突き上げながら、左手で認可のサインをする。明らかに矛盾した行為ではないか。

そもそも認可した理由そのものが著しく説得力に欠けるものだ。防衛局の手続きに瑕疵がない限り「法的に認めざるを得ない」のだという。役人の裁量に限定して考えるなら、その通りだろう。しかし、翁長知事は役人が出した結論をそのまま踏襲しては困るのだ。役人の裁量で行政の全てが決定されるならば、政治家の存在意義などなきに等しい。県はサンゴ採捕許可の理由として次のように説明したらしい。

那覇空港の第2滑走路建設事業など他の埋め立て事業と申請内容に大きな違いはない。そのため政治的理由で不許可にはできない」

政治的理由で不許可にはできない、とはおかしな話ではないか。まさしく、政治的理由で不許可にすべきではないのか。翁長知事の選挙公約は新基地建設を阻止することだ。この行政のトップの政治公約は同時に県政の指針となるべきものだろう。そうでなければ有権者と交わした公約の実現は覚束なくなる。

そして那覇空港建設と辺野古新基地建設は、政治的意味合いが全く異なる。那覇空港建設は県民の生活向上に利益をもたらす事業だ。いっぽう、辺野古新基地建設は県民の生活を破壊するものだ。それを行政上同次元で扱うことは既設のレールの上しか走れない役人の限界というべきだろう。その限界を超えるために政治家が必要とされるのである。主権在民の規定のもと、住民がその政治的権限を行使して選挙で選んだ県知事が、住民に代わって政治権力を行使するのが民主主義の基本のひとつとすれば、たとえ申請内容に大きな違いがないとしても、政治的理由で不許可にする正統性は立派に確保されていると言っても少しもおかしくはない。

しかし、翁長知事は行政のトップとしての自身の役割をどう認識しているのか、役人が出した結論をそのまま踏襲してしまった。今後もこのような姿勢が続くならば、「撤回」を宣言したところで、民意は遠のいていくばかりだろう。すでに今回のサンゴ採捕許可で県政並びに翁長知事に対する県民の不信感は強まって来ている。

「あらゆる権限」を使って新基地建設を阻止するとしたその権限の一つがサンゴ採捕許可だった。しかもそれは、最も強力なAクラスに分類されていたらしい。それがこのザマだ。最も強力であるはずの権限の一つがこうもあっさりと捨てさられては、あとはドミノ現象で県政は持ちこたえられなくなるのは、誰の目にも明らかではないか。この危機的状況をどう乗り越えるべきか。

答えははっきりしている。防衛局から出される許可申請を知事の権限で全て不許可とすることだ。「あらゆる権限を行使して新基地建設を阻止する」と公約した以上、当然すぎるほど当然なことである。そのためには役人が彼らの能力を最大限活用して、許可申請の内容を緻密に精査したからといって、その結論が認可ならば、知事としては、彼等の労をねぎらい「ご苦労さん」と一言いってから、「知事の権限で不許可とする」と宣言すれば良いだけの話。

実務に長けた役人と雖も民意を反映する行政の長の意見には従わざるを得ないはずだ。もしこれらのことが実行されないならば、県政史上最も強い指導力を持つと言われる翁長知事に対する県民の不信感は強まりこそすれ弱まることはないだろう。安倍売国奴政権のなりふり構わない強行策に対抗するには、我々県民も強行にならざるを得ない。翁長知事には迷うことなく知事権限を行使してもらいたい。