短かすぎる猶予期間
台風24号の影響で破損した岸壁のおかげで、辺野古埋め立てに使う土砂が搬送できなくなったのは嬉しい限りだが、新聞の報道を読むと、年内は使用不能としても改修が終わり次第、業者の使用許可申請は受理される可能性が強い。
その根拠に港湾法13条の存在が指摘されている。「何人に対しても施設の利用その他港湾の管理運営に関し、不平等な取り扱いをしてはならない」
この条文を文字通り解釈すれば、その効力はあまりにも強烈だ。使用許可申請に不備がなければ、何人といえども認可される。当然、沖縄防衛局の委託を受けた業者も例外ではあり得ない。
昨年、翁長県政の時、その業者に対して本部港の使用許可がおりた。その時、本部港は県の管理下にあるのに許可するとは何事だと多くの県民が反発した。しかし、認識自体がずれていたのだ。
昨日の琉球新報の社説は次のように書いている。
「本部港は県管理だが、使用許可権限が県から町に委譲されている。県はそもそも指導する立場にはなく、指導権限もない。」
これが事実なら県政を非難する事はできない。
岩屋防衛大臣の発言「(本部町は)沖縄県から新たな申請を受けないようにと指導されている」の間違いを正して批判するために、新報の社説子は県の指導権が及ばない事を指摘したのだが、皮肉なことに、この指摘は県民にとって諸刃の剣になってしまった。
では認可した本部町を非難すべきなのだろうか?
港湾法13条を考えるとそれも的外れとなる。つまり、本部港の使用許可申請に対して、県民がどれほど反対しようと、今のところ、法的にも行政上も無力なのだ。
法解釈の素人に過ぎないぼくのような人間にはそうとしか思えない。あるいは法律の専門家が違う角度から解釈して、県の指導で特別に使用許可を認めない道があるのかどうなのか、皆目見当がつかないのが正直なところである。
ただ、現時点ではっきりしている事は、本部港が再利用できるまでは、沖縄防衛局は陸上での土砂搬入はできないという事実である。
車輌での搬入は設計図書にはない為、設計変更せざるを得ず、そのためには県知事の承認が要る。
当然、玉城知事が承認する事はない。つまり、本部港からの土砂搬入は、岸壁が修復されるまでの期間ということになるのだ。
僅か2、3ヶ月(あるいは+アルファ?)の猶予期間。何とか沖縄防衛局が本部港を永久に使用できなくする良い知恵はないものだろうか。