沖縄よ! 群星むりぶし日記

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日本学術会議が中国の「千人計画」に協力!?真実を見誤らないために

自民党甘利明衆議院議員はブログに次のように書いた。「日本学術会議防衛省予算を使った研究開発には参加を禁じていますが、中国の「外国人研究者ヘッドハンティングプラン」である「千人計画」には積極的に協力しているように見えます。」

これに対し加藤勝信官房長官は13日の記者会見で「二国間の枠組みを通じた学術交流を行っているが、中国の千人計画を支援する学術交流事業を行っているとは承知していない」と述べた。

それを受けて、甘利氏は「「積極的に協力」と云う表現が適切でないとしたら改めさせて頂きます」と述べて、ブログの記述を「間接的に協力」と改めた。

甘利氏の指摘によってネット上で話題になった中国の「千人計画」とはそもそも何だろうか?そして日本学術会議との関係はいかなるものだろうか?

それに関してわかりやすく解説する動画が配信された。ameba.tvによるものだが、同時に動画を解説する記事も配信されている。図が多いので非常に分かりやすく、ぜひ見て頂きたいのだが、それらを参考にしつつ、ぼくなりに整理してみた。

全文はこちら=https://times.abema.tv/news-article/8628780

まず、日本学術会議と「千人計画」との関係だが、加藤官房長官が述べたように、直接的な関係はないようだ。2015年、学術会議が協力覚書を交わしたのは「中国科学技術協会」と云う民間組織である。

勿論、民間組織といっても中国のことだから、共産党の手が入っている事は十分に考えられるが、一応、表向きは直接的な関係はない、と言えるだろう。では、実態はどうだろうか?

甘利氏が言うように、学術会議は「千人計画」に間接的に協力しているのだろうか?

一言でいうと、肯定することも否定することも非常に難しい。その理由は、科学研究者の置かれた状況が日本と中国では雲泥の差があると言う事実にある。まず待遇の問題。その実態を知る上で、元経産官僚の宇佐美典也の指摘が参考になる。

リーマンショックの前から日本の電気産業の経営が苦しくなり、競争力が弱っていた。そういう中で、研究者たちも自分の研究の出口がないという状況になった。そこで企業と大学に協力してもらい、研究プロジェクトを立ち上げ、拠点を作っていた。しかし、世界有数の研究結果を出しても、国内には引き受け先がない。そこで中国や韓国がどんどん実用化していった。いわば、日本の研究コミュニティ全体が千人計画的なものに協力していたような状況があった

「例えば中国の半導体業界でDRAMの技術化を引っ張っているのは、日本の旧エルピーダメモリ坂本幸雄元社長(現在は中国半導体大手の紫光集団の高級副総裁)だ。エルピーダが潰れてマイクロンという会社になったので、国内に居場所が無くなったからだ。実はこのマイクロンという会社が、中国の半導体の会社が技術を盗んだということで訴訟を起こしている。

そういう構造もあるということだ。日本は今になって規制を見直そうと、大学や学術会議に政府が口を出し始めているが、そういう状況を作ったのは自民党霞ヶ関、民間企業だということだ。だから学術会議を悪者にしても何も始まらないし、中国が研究者を厚遇している以上、こちらも環境を整えなければ、ただ痩せ我慢をしろと言っているのと同じだ。単純に安全保障の理屈を押し付ければいいというわけではないと思う。」

 「千人計画」とは、中国共産党中央組織部が実施する海外ハイレベル人材の招致プログムのことであり、米・英・独・仏・豪・日などから優秀な研究者を厚遇を餌に誘致する国策である。

一人当たり1500万円超の補助金と研究チームに1.5億円超の研究費・敷地・基礎施設等が与えられるとされる。

この現状を踏まえて、病理専門医の榎木英介は次のように話す「研究者にとって中国が魅力的だというのは理解できる。今の日本の若手研究者の悲惨な状況を考えれば、オファーされたら行っちゃうんじゃないかなというくらいの待遇だ。そのくらい、日本の環境は不安定だし、もっと言えばポストが無い。それなのに、倫理観だけで行くのを止めろというのはどうだろうか。若手研究者の待遇の問題も、いわば安全保障の一つではないか。」

2006年を起点に2015年までの各国の研究開発費の推移を示した図によると、2006年時点では、日本より少なかった中国は4倍に増えて、総額で日本の2.4倍になった。米国は約1.4倍増えたが中国との差は急激に縮まっている。一方の日本は見事な横ばいで増加率ゼロ。

つまり日本政府は研究開発費を増やさないで研究者の意欲を奪う一方で、研究者に対して施設と報酬で厚遇する国には行くな、と言っているようなものだ。実にいい加減だ。

優秀な頭脳の流出先は、かつては米国だった。研究者たちは、日本とは比べものにならないほどの厚遇に魅かれたのだ。当時、日本は米国に次ぐ経済大国だったが、それでも米国の待遇は破格だった。

そして時代は大きく変わり、貧乏だった中国は鄧小平の指導の下、目覚ましい勢いで経済成長を遂げ、今や日本を追い越して米国に次ぐ世界第2位の経済大国になった。

その中国がリーマンショックを境に、衰退していく一方の日本の優秀な研究者に目を付けて、破格の待遇でハンティングするようになった。共産主義の信奉者か否かは関係なく、研究者にとって最大の関心は、十分に研究できる環境かどうかにある。中国はその環境を心憎いほどに充実させた。これでは自国で冷遇される研究者たちの心が動かないはずがない。

このように考察してくると、日本学術会議と「千人計画」に横たわる関係性の問題とは「欲しがりません勝つまでは」という戦前の言葉を彷彿とさせるような歴代政府の無能無策が招いた結果と言えるのだ。

政府がやるべき事は、日本学術会議を批判する前に、そして中国に優秀な頭脳が流出するのを食い止めるために、まずは率先して潤沢な研究開発費を出す事だ。それを実行して後、日本学術会議のあり方を議論すれば良い。決してその逆であってはならないのである。

 

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