沖縄よ! 群星むりぶし日記

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レイプされたジャーナリストの闘い

告発された犯人を逮捕する直前に上層部からストップの指示が出て、逮捕は取りやめになった、と述べて警察を激しく批判したのはJ.R.Pテレビの朝堂院大覚氏だった。

この時初めてぼくは伊藤詩織さんのレイプ事件を知ることになった。約1年前のことだ。警察上層部の圧力?事実なら大変なことである。

ネットを検索すると伊藤詩織さん本人が事件について書いた本が出版されていることがわかった。

真実を知るためには、本人の声を聞くことが最良の方法だ。それで早速購入した。

タイトルは『Black Box』

Black Box

Black Box

 

しかし、複数の本を同時に読み進めていたので、目次をパラパラとめくって数ページを読んだだけで、そのままほったらかしにしたのである。いつもの悪い癖で、ほったらかしの本は他にも多数あり山積したままだ。

ところで、偶然にも今月の18日、伊藤さんが告発した民事裁判で勝訴したことが分かった。判決後に行われた山口敬之氏の記者会見を見た。山口氏は無罪を主張し、控訴するつもりらしい。

事件の全貌を知りたいとあらためて強く思った。ほったらかしの状態だった『Black Box』を探し出して、昨日まる1日を費やして読了した。

著者の筆運びは極めて冷静であり、自己をできるだけ突き放して客観的視点に立とうとする姿勢は高く評価されるべきだろう、と読み終えてそう思った。

この本に書かれていることは、大筋において真実に違いない。行間から滲み出てくる音調にあやふやで嘘っぽい響を感じ取ることはできない。

山口敬之氏は、記者会見で伊藤さんには虚言癖があると言ったが、信用できない。TBSワシントン支局長を勤めただけあって、それなりに弁舌は達者だが、要領のいい立ち居振る舞いはどこかしら胡散臭い感じがする。

泥酔して意識のない状態の女性を性交しておいて、法律は犯していないと主張するのは、誰が考えても無理筋というものだろう。山口氏の行為は、明らかに性暴力である。

伊藤詩織さんは、この本の最終章で「あの日の出来事で、山口氏も事実として認め、また捜査や証言で明らかになっている客観的事実は、次のようなことだ」と書いている。

  • TBSワシントン支局長の山口氏とフリーランスのジャーナリストである私は、私がTBSワシントン支局で働くために必要なビザについて話すために会った。
  • そこに恋愛感情はなかった。
  • 私が「泥酔した」状態だと、山口氏は認識していた。
  • 山口氏は、自身の滞在しているホテルの部屋に私を連れて行った。
  • 性行為があった。
  • 私の下着のDNA検査を行ったところ、そこについたY染色体が山口氏のものと過不足なく一致するという結果が出た。
  • ホテルの防犯カメラの映像、タクシー運転手の証言などの証拠を集め、警察は逮捕状を請求し、裁判所はその発行を認めた。
  • 逮捕の当日、捜査員が現場の空港で山口氏の到着を待ち受けるさなか、中村格警視庁刑事部長の判断によって、逮捕状の執行が突然止められた。

そして伊藤さんは、最後に以下のように締めくくって読者に問いかけている。

「検察と検察審査会は、これらの事実を知った上で、この事件を「不起訴」と判断した。あなたは、どう考えるだろうか。」

勿論、読者の一人として、ぼくは検察と検察審査会の「不起訴」処分は間違った判断だったと思う。そして、朝堂院大覚氏も指摘した中村格警視庁刑事部長の圧力による山口氏逮捕の執行停止は、この事件に付随する大きな闇の部分だ。

伊藤詩織さんは「出勤途中の中村氏に対し「お話をさせてください」と声をかけようとしたところ、彼はすごい勢いで逃げた。人生で警察を追いかけることがあるとは思わなかった。」とこの本の中に書いている。

又、文書を送り回答待ちだが、返信は来ない状態だとも書いている。なぜ逮捕を取り消したのか、その理由を説明する義務と責任が本人にあるのは、社会的常識から考えて至極当然の事だろう。

しかし、中村氏は沈黙を押し通している。ということは、警視庁の内部に組織上、隠蔽しなければならない事情があると推測される。それは何か?

中村格(いたる)氏は、菅義偉官房長官の秘書官を務めた後、警視庁刑事部長に就任した経歴を持つ。そして、山口氏は官邸おかかえ記者と呼ばれるほど官邸の事情に詳しい人物だ。

この環境を考えると、中村氏と山口氏を結ぶ線がはっきり可視化されて、不逮捕に至った動機が浮かび上がってきても少しも不思議ではない。

さらに言えば、官邸の上層部から指示が下された可能性さへ疑われるのだ。今まで何度も繰り返されてきた官邸の隠蔽体質を考えると、十分あり得る話だろう。

その疑念を晴らす意味でも、中村氏は公の場で不逮捕の理由を説明するべきだ。

この事件は、山口氏が控訴を決めたためにまだ終わってはいない。山口氏側が今後、どのような手練手管を展開するか大いに見ものだが、たとえ再審の判決がどう転ぼうと決して覆らないものがある。

それは伊藤詩織さんが示してくれた勇気だ。レイプ被害者の多くは表に出て告発に踏み切ることはない。警察の取り調べ、裁判、マスコミ等によるセカンドレイプを恐れるためだ。

悲しいかな、これが日本の現状である。しかし、伊藤さんは違った。実際に警察の取り調べはセカンドレイプと呼ぶべき酷いものだった。

しかし圧倒的無力感に打ちひしがれながらも、伊藤さんが一歩一歩前進するのをやめなかったのは、真実を追求し伝えなければならない、という強い使命感だった。

この使命感が彼女に勇気を奮い立たせたのだ。そして家族の反対を押し切って勇気を振り絞り、検察審査会に告発するため、公の場に姿を現して記者会見に臨んだのだ。

伊藤さんのこの決断こそ何よりも称賛されるべきだろう。検察審査会は不起訴処分としたが(『Black Box』の記述はここまで)、その後も伊藤さんは挫折することなく閉ざされた道を切り開くべく行動を続け、おかげで共に闘ってくれる同志も増えて、今回の民事裁判で勝つことができたのだ。

これでBlack Boxに一筋の光が射し込んだことになる。これまで声を上げることのなかった多くのレイプ被害者が、伊藤さんの後に続いて次々とBlack Boxに光を投げ込めば、中で蠢く蛆虫どもはそそくさと退散し消え去っていくことだろう。

「あとがき」で伊藤さんはハートに突き刺さるような言葉を綴っている。

「レイプは魂の殺人である。それでも魂は少しづつ癒され、生き続けていれば、少しずつ自分を取り戻すことができる。人にはその力があり、それぞれに方法があるのだ。

私の場合その方法は、真実を追求し、伝えることであった。いくら願っても、誰も昔の自分に戻ることはできない。しかし今、事件直後に抱いたような、レイプされる前に戻りたいという気分は一切ない。

意識が戻ったあの瞬間から、自分と真実を信じ、ここまで生きてきた1日1日は、すでに私の一部になった。今まで想像もできなかった苦しみを知り、またこの苦しみが想像以上に多くの人の心の中に存在していることを知った。

同じ体験をした方、目の前で苦しむ大切な人を支えている方に、あなたは一人ではないと伝えたい。そして私は、この出来事がなかったら、きっと会うこともなかった人々に出会うことができた。」

 我が国の民主主義の質を高めてくれた女性ジャーナリスト・伊藤詩織さんの勇気に称賛の拍手を送りたい。

そしてぼくの密かな望みと希望は、伊藤さんが「れいわ新選組」から立候補してくれることである。我が国のレイプ被害の実態を、心当たりのある蛆虫どもが退散するまで、国会のど真ん中で暴いてもらいたいのだ。

 

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