10月4日にハドソン研究所で中国批判の演説をしたペンス副大統領の怒りは本物だった。
パプアニューギニアで開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)で、ペンス副大統領は中国政府の「借金漬け外交」(debt diplomacy)を批判して、主権を害する重い負債を受け入れないよう、アジア太平洋諸国に対し警鐘を鳴らした。
中国が推し進めている「一帯一路」は、参加国68ヶ国のうち、13ヵ国が債務危機に陥っているという。高金利で融資したインフラ計画は、資材も労働者も中国から派遣するため、当事国に利益をもたらすことはなく、返済不能な債務だけが残るシステムだ。
そのような実態に気づいた当事国が、プロジェクトを見直しはじめた。マレーシアのマハティール首相は、中国政府の融資を受けた鉄道施設計画の中止を申し入れた。
多くのインフラ建設を中国に委託したフィリピンのドゥテルテ大統領は、酷い実態に気づいて、中国政府を批判するようになった。
パキスタン、スリランカ、モルディブ、ベトナム、タイ、インドネシア、カンボジアも一帯一路との関係が原因で債務危機に陥っている。
明らかに共産党一党独裁が率いる歪な資本主義がいかに危険であるか、世界が身を持って知ることになったのだ。
米国の歴代政権は、中国政府に対して不思議なくらい寛容だった。その理由は、中国の巨大な市場に魅了され眩惑されたからだ。なんと浅ましき強欲資本主義!
いい気味だ、自己責任だよ、と言ってしまえばそれまでだが、トランプ政権になってやっと米国人は、長い眠りから目覚めたようだ。
対中貿易不均衡を是正するべく、高い関税をかけたのが宣戦布告第1号。中国が対抗措置で報復してもなんのその、次々と課税対象品目を増やして追撃した。布告第2号。
しかし、結局のところトランプ大統領はビジネスマンだ、米中対立は経済戦争に限定されるだろう、と予想した評論家がいるとすれば、米政府の本気度を見誤ったことになる。
大統領に代わって、ペンス副大統領が中国政府を名指しでその悪政を公然と批判したからだ。10月4日の演説に続く、APECでの演説はこれからの米政府の対中強硬策が本気であることの表明に他ならない。
中国共産党の一党独裁が続く限り、米中対立は今後ますます先鋭化していくだろう。そして世界中の民主主義国家に包囲された中国共産党は、近未来に確実に崩壊するであろう。
米国に代表される強欲資本主義も問題の多い社会システムではあるが、共産党一党独裁はその何倍も危険である。
中国共産党が崩壊する日は間違いなくやってくる。いつどのような形を取って崩壊するのか、誰も予測できないにしても、時計の針は確実にその時に向かって動き始めた。