沖縄よ! 群星むりぶし日記

沖縄を、日本を、そして掛け替えのない惑星・地球を愛する者として発信していきます。

歴史的使命を終えた中国共産党:ペンス副大統領の演説から

中国は不可思議で奇妙な人造国家だ。共産党による一党独裁政治だが、経済は共産制度ではなく、資本主義を採用している。その無謀とも思われる決断には立派な歴史的理由がある。

共産主義体制をとったソ連は、一党独裁という無理な国家経営が原因で崩壊した。

隣国ソ連の崩壊を目の当たりにした中国共産党の幹部たちは、不安でいっぱいになり、大いに焦ったに違いない。このままでは間違いなく、明日は我が身だ。

経済に関する限り、共産主義は資本主義に勝てない。70年に渡る実験の結果、ソ連の崩壊が見事にその真理を立証したではないか。

明確な結論が出た以上は、党による計画経済に代えて市場にすべてを委ねる資本主義を取り入れる必要がある。実力者鄧小平は国家の存立と中国共産党の死活を賭けて、資本主義へ舵を切る英断を下した。

これだけでも大変な歴史的事件だが、更に驚嘆すべきは、共産党の指導のもとに導入された資本主義経済システムが、不完全な形態とは言え見事に機能し、他の資本主義国家を凌駕するほどの目覚ましい経済発展を成し遂げた、というまぎれもない現実である。

民主主義国家による資本主義ではなく、共産党一党独裁による資本主義の大成功!

不可能を可能とする中国人の幽遠なる奥深い歴史。我々島国の日本民族には到底理解不能である。

中国経済が大発展した要因のひとつは、何と言っても、政策の決断と実行が早いことにある。何段階も議論のプロセスを踏まなければならない、手間暇のかかるややこしい民主主義国家と違い、共産党独裁国家の中国は、国策や地方の政策を決定するのに邪魔な反対政党もなく、同志の了解だけで充分だ。

気の遠くなるような時間を要する民主主義的手続きの極端なる短縮と省略。一党独裁だからこそできる羨ましいばかりの荒業である。

民主主義国家では想像もつかない、この共産党資本主義は、幾多の曲折を経ながらも遂に、バブル崩壊後精彩を欠く我が国をあっという間に追い抜き、米国に次ぐ世界第二位の経済大国にのし上がった。

世界が恐れる経済大国となった中国共産党の鼻息も当然荒くなる。軍備拡張と札束で頬を叩く外交攻勢に打って出た。

しかし、そのやり方は国際法無視、あまりにも身勝手で傍若無人である。

チベット族ウイグル族に対する弾圧と殺戮、自国民に対する言論封殺と投獄、法輪功信者の不法逮捕と内臓摘出、南シナ海諸島の軍事要塞化、尖閣諸島への不法な領海侵犯等、中国共産党が犯してきた数々の傍若無人振りは、到底世界の民主主義国家が容認できるものではない。

当然と言うべきか、ついに、米国が本気になって怒り出した。

10月4日にハドソン研究所で行われたペンス副大統領の演説は、これからの世界の将来を方向付ける歴史的に重要な演説となった。

ホワイトハウスのホームページに原文が掲載されているのでぜひご覧いただきたい。

https://www.whitehouse.gov/briefings-statements/remarks-vice-president-pence-administrations-policy-toward-china/

その中から何箇所か拾い出してみよう。

< After the fall of the Soviet Union,we assumed that a free China was inevitable. Heady with optimism at the turn of the 21st Century, America agreed to give Beijing open access to our economy, and we brought China into the World Trade Organization.

Previous administrations made this choice in the hope that freedom in China would expand in all of its forms - not just economically, but politically, with a newfound respect for classical liberal principles, private property, personal liberty, religious freedom - the entire family of human rights. But that hope has gone unfulfilled.

ソ連の崩壊後、中国は必ず自由化の道を歩むと考えた。21世紀への楽観主義から、中国に米国経済へのアクセスを認め、世界貿易機関加盟を後押しした。古典的な自由原則、私有財産制、個人の自由、宗教の自由、人権の尊重とともに、中国の自由が経済的にも政治的にも拡大することを期待して、これまでの米政権はこうした政策判断を行なった。しかし、その希望は実現しなかった。

Over the past 17 years, China’s GDP has grown nine-fold; it’s become the second-largest economy in the world, Much of this success was driven by American investment in China.

And the Chinese Communist Party has also used an arsenal of policies inconsistent with free and fair trade, including tariffs, quotas, currency manipulation, forced technology transfer, intellectual property theft, and industrial subsidies that are handed out like candy to foreign investment. 

These policies have built Beijing’s manufacturing base, at the expense of its competitors — especially the United States of America.

China’s actions have contributed to a trade deficit with the United States that last year ran to $375 billion— nearly half of our global trade deficit.

過去17年間で中国の国内総生産は9倍になり、世界第2の経済大国となった。成功の大半は米国の対中投資による。中国共産党は自由で公正な貿易とは相容れない関税、割当制、為替操作、強制的な技術移転、知的財産の侵害、産業への補助金を武器に使ってきた。

こうした政策は中国の競争相手、特に米国の代償によって中国の製造業の基盤を築き上げた。中国の行動は米国の貿易赤字を膨れ上がらせ、昨年の対中貿易赤字は3750億ドル(約42兆円)に達した。これは米国の貿易赤字の半分近くを占める。

China now spends as much on its military as the rest of Asia combined, and Beijing has prioritized capabilities to erode America’s military advantages on land, at sea, in the air, and in space. 

China wants nothin less than to push the United States of America from the Western Pacific and attempt to prevent us from coming to the aid of our allies. But they will fail.

Beijing is also using its power like never before. Chinese ship routinely patrol around the Senkaku Islands, which are administered by Japan.

And while China’s leader stood in the Rose Garden at the White House in 2015 and said that his country had, and I quote, “ no intention to militarize” the South China Sea, today, Beijing has deployed advanced anti-ship and anti-air missiles atop an archipelago of military bases constructed artificial islands.

中国は陸・海・空・宇宙で米国の軍事的な優位を崩す能力を身につける事を最優先課題にしている。西太平洋から米国を追い出し、米国が同盟国を助けに来るのを阻止しようとしている。しかし、彼らは成功しないだろう。

中国の船舶は定期的に日本の施政下にある尖閣諸島周辺をパトロールしている。

2015年、中国の指導者は「南シナ海を軍事化する意図はない」とローズガーデンで宣言したにも関わらず、南シナ海に造成した人工島の軍事基地に対艦、対空ミサイルを配備した。

China’s aggression was on display this week, when a Chinese naval vessel came within 45 yards of the USS Decatur as it conducted freedom-of-navigation operations in the South China Sea, forcing our ship to quickly maneuver to avoid collision. Despite such reckless harassment, the United States Navy will continue to fly, sail, and operate wherever international law allows and our national interests demand.

We will not be intimidated and we will not stand down.(Applause.)

今週、中国軍艦は南シナ海での「航行の自由」作戦を実施していた米海軍のイージス駆逐艦に45ヤード以内に接近し、米駆逐艦は衝突回避を強いられた。

無謀な嫌がらせにも関わらず、米海軍は国際法国益を守るために、どこであろうと作戦を遂行するであろう。我々が脅しに屈することはない。(拍手)

Today, China has built an unparalleled surveillance state, and it’s growing more expansive and intrusive - often with the help of U.S. technology. What they call the “ Great Firewall of China” likewise grows higher, drastically restricting the free flow of information to the Chinese people.

And by 2020, China’s rulers aim to implement an Orwellian system premised on controlling virtually every facet of human life.

近年、中国は自国民への支配と弾圧に急激に逆戻りしている。米国の技術を使ってサイバー空間に「万里の長城」を築き上げ、自国民への監視を強めている。ジョージ・オーウェルが描いた監視国家を2020年までに完成させることを目標にしている。

And when it comes to religious freedom, a new wave of persecution is crashing down on Chinese Christians, Buddhists, and Muslims.

Last month, Beijing shut down one of China’s largest underground churches. Across the country, authorities are tearing down crosses, burning bibles, and imprisoning believers.

宗教の自由に関して言えば、キリスト教徒、仏教徒イスラム教徒への新たな弾圧を強化している。中国最大の地下教会を閉鎖し、十字架を破壊し、聖書を燃やし、信者たちを投獄している。

Beijing is also cracking down on Buddhism. Over the past decade, more than 150 Tibetan Buddhist monks have lit themselves on fire to protest China’s repression of their beliefs and their culture. 

And in Xinjiang, the Communist Party has imprisoned as many as one million Muslim Uyghurs in government camps where they endure around-the-clock brainwashing. 

十年以上にわたり、チベット仏教徒は信仰と文化を抑圧する中国に抗議して、百五十人以上が焼身自殺した。新疆自治区では百万人ものイスラム教徒ウイグル人族が投獄され、洗脳が続けられている。

In fact, China uses so-called “ debt diplomacy ” to expand its influence. Today, that country is offering hundreds of billions of dollars in infrastructure loans to governments from Asia to Africa to Europe and even Latin America. Yet the terms of those loans are opaque at best, and the benefits invariably flow overwhelmingly to Beijing.

Just ask Sri Lanka, which took on massive debt to let Chinese state companies build a port of questionable commercial value. Two years ago, that country could no longer afford its payments, so Beijing pressured Sri Lanka to deliver the new port directly into Chinese hands. It may soon become a forward military base for China's growing blue-water navy.

中国は影響力を拡大するため「借金漬け外交」を利用している。中国はアジアからアフリカ、欧州、中南米にかけて数千億ドルものインフラ融資を持ちかけている。しかし、よく言ってもその融資条件は不透明で、その利益は絶え間なく中国に流れ込んでいる。

スリランカでは商業的価値があるかどうか疑わしい港湾を中国国有企業が建設、スリランカ政府は巨額の負債を背負わされた。返済に窮すると、中国はスリランカにその港を引き渡すよう圧力をかけた。すぐに中国海軍の海洋進出のための軍事基地になる恐れがある。>(木村正人訳)

ペンス副大統領の演説は、米政府は中国の実態を完璧に掌握していることを証明している。

そして歴代政権が中国に投資し、中国の経済発展に手を差し伸べてきたのは、経済が発展して人民が豊かになれば、民主主義が浸透し、次第に中国は民主主義国家に移行する、という読みと期待があったからである。

しかし、その期待は完全に裏切られたことが確実となった。民主化どころか、中国共産党は独裁を強め世界の覇権国となる野望を剥き出しにしている。

マイケル・ピルズベリーの『China 2049』が刊行されたのは三年前のことである。親中派だったマイケル氏は、中国が建国以来、百年計画(1949〜2049)で米国を追い抜き、世界の覇権国になる野心を持っていることを突き止めた。

以来、親中派と袂を分かち、警鐘を鳴らすようになった。そのために書いた本が『China 2049』である。

それから三年後のペンス副大統領の演説は、米中「新冷戦」宣言とも呼べるものだ。かつての米ソ冷戦がそうであったように、米中核戦争の危険性を孕みながら、「新冷戦」は長期化することが予想される。

自由主義陣営に属する我々としては、米政府側に立つのは当然だとしても、それが直ちに辺野古新基地容認となるわけではない。

何故なら海兵隊が沖縄に駐留する軍事的必然性はないからだ。海兵隊は殴り込み部隊である。九州でも四国でも構わないのだ。できたら丸ごとグァムに引き上げてもらうのがベストである。

沖縄は軍事的要衝の地にあるとされる。プロパガンダに過ぎない。米中を軍事的に熱くするよりもむしろ、クールダウンさせる役割を沖縄は担うべきだろう。

軍事的軋轢ではなく平和を発信する。中国にも米国にも世界中に向けて平和を発信していく。

小さな島沖縄で暮らす我々ウチナーンチュには、平和こそ人類が生き延びる唯一の道であると世界中に発信する大きな責任がある。

「新冷戦」の世界が到来しても、あくまでも平静を保ち、理性を信じて世界情勢を冷静に分析する。

我々ウチナーンチュに求められているのは、アイデンティティを見失わない、生活者としてのしたたかさではないだろうか。