沖縄よ! 群星むりぶし日記

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嗚呼、背筋が凍りつく安倍外交の危険性

日米が9月26日に合意した貿易協定は「物品貿易協定」(TAG)であるとの政府説明は全くの嘘であることが、多くの評論家の指摘で明らかとなった。

中でも佐藤健志氏の解説は明快かつ詳細で説得力があった。Front Japanという番組で佐藤氏は英語正文とふたつの訳文を取り上げて比較検討し、日本政府訳がいかにデタラメか指摘してみせた。

そもそも日米二国間で合意した共同声明の正文が英語のみと言うこと自体信じ難いことだが、まずは英語正文と日本政府訳、アメリカ大使館訳を比較検討して頂きたい。(ついでに佐藤氏の名訳も併記した。)

2018年9月26日の日米共同声明 英語正文

第三項

The United States and Japan will enter into negotiations, following the completion of necessary domestic procedures, for a United States-Japan Trade Agreement on goods, as well as on other key areas including services, that can produce early achievements.

第四項

The United States and Japan also intend to have negotiations on other trade and investment items following the completion of the discussions of the agreement mentioned above.

日本政府訳(注:仮訳。つまり正文ではない)

第三項

日米両国は、所要の国内調整を経たのちに、日米物品貿易協定(TAG)について、また、他の重要な分野(サービスを含む)で早期に結果を生じ得るものについても、交渉を開始する。

第四項

日米両国はまた、上記の協定の議論の完了の後に、他の貿易・投資の事項についても交渉を行うこととする。

在日アメリカ大使館・領事館サイト訳(仮訳)

第三項

米国と日本は、必要な国内手続きが完了した後、早期に成果が生じる可能性のある物品、またサービスを含むその他重要分野における日米貿易協定の交渉を開始する。

第四項

米国と日本はまた、上記協定の議論が完了した後、貿易および投資に関する他の項目についても交渉を開始する。

佐藤健志

第三項

アメリカ合衆国と日本は、必要な国内手続きをすませたうえで、日米貿易協定の交渉に入る。この協定の対象は、物品、およびサービスを含めた他の重要分野で、早期の妥結が見込めるものとする。

第四項

日米は、前項に記した協定(物品と、サービスを含めた他の重要分野で、早期の妥結が見込めそうな事柄に関するもの)の交渉がすんだあと、貿易や投資に関するそれ以外の事柄についても交渉を開始する意向である。

さて如何であろうか。多少英語の読解力のある人なら、日本政府訳がいかにデタラメで杜撰な訳であるか、すぐにわかるだろう。

なぜこのような誤訳を敢えてしたのか。政府の意図ははっきりしている。包括的自由貿易協定(FTA)ではなく限定的な貿易協定(TAG)とすることで国内世論を抑えるためである。

米国とFTAを結ぶとなれば、畜産農家の反発は必至である。貴重な票田を失うことになる。だから英語正文には表記されていないTAGなる言葉を編み出して「物品貿易協定」という小賢しい訳語を当てたのである。

安倍首相自身「これまで日本が結んできた包括的なFTAとは、全く異なる」と述べた。安倍首相が嘘をついていると分かっても、今の官僚に首相を諌める骨のある奴は一人もいない。

だから、親分に最大限忖度して、目の当てられないような誤訳を平気でやってみせる。もはや我が国には本気で国益を守る政治家も官僚も存在しない。みんな保身のために汲々しているだけだ。

世界を140ヶ国以上回ったと言って自慢しているが、質が伴わなければ、それこそ税金の無駄使いではないか。安倍首相の外交は、ただの見栄っ張りで税金の浪費に過ぎず、国益のためにならないばかりか、日本国を亡国へと追いつめる危険性すら孕んでいる。

安倍晋三は、戦後最悪のおぼっちゃん総理であることは間違いない。嗚呼、背筋が凍りつく!