沖縄よ! でぃぐぬ花日記

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CVIDの大いなる矛盾

全世界が注目する米朝首脳会談が、いよいよ二日後に迫った。いかなる結果になろうとも、是非良い方向へ進む第一歩になることを祈るばかりだが、敢えて、嫌味と受け取られかねないことを承知の上で、多少疑問に感じた事を述べてみたい。

CVIDとは、complete verifiable irreversible denuclearization の略語である。日本語で「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」と訳されている。

舌を噛みそうな長ったらしい言い回しだが、なぜ分かりやすく端的に「核兵器全廃」と言わないのだろうか? ま、これについては深く追求しないことにする。ぼくが言いたいことは別の事だからだ。

米政府は北朝鮮に対して、CVIDを要求している。そこで単純な疑問。北朝鮮は何故逆に米国に対してCVIDを要求しないのだろうか? 馬鹿馬鹿しいと笑わないでもらいたい。独裁国家とはいえ、北朝鮮は国連加盟国である。国際社会から認知された主権国家・独立国家である。

当然のこととして、米国に対しCVIDを要求する権利を持っているはずだ。それができないのは何故か? 単純で素朴な疑問だが、答えはこれまた単純かつ明快である。つまり、米国の国力は北朝鮮に比べて、圧倒的に強力である、ということ。国力の圧倒的格差が、CVID要求の一方通行を可能にしているのである。

相手が嘗ての共産党独裁国家ソ連ならどうだろうか? 米政府は、果たして一方的にCVIDをソ連に対して要求できただろうか? 不可能であり、米政府にその気もなかっただろう。それじゃ、お前も核兵器を全廃しろ、と反論されるのがオチである。事情は、現在のロシア、中国に対しても同様である。

相手国を叩きのめすだけの核兵器を所有する国家間で、一方的なCVID要求は不可能である。北朝鮮核兵器保有したとは言え、相手国を叩きのめすほど所有しているわけではない。しかし、金正恩はついにICBMを完成させた。それで米国は焦った。ここで叩いておく必要がある、というわけだ。

しかし、ここに至るまでの経過を見ると、金正恩が描いたシナリオ通りに事が運んでいるとしか思われない。ICBMを完成させれば、米国は怒り狂って自国を潰しにくる。そこでCVIDを誘い水にして対話路線を匂わす。その結果、ディールの好きなトランプ大統領は、見事に乗ってきたのだ。

小国家が生き延びるためには、たとえCVIDを一方的に要求されても受け入れるしかない。その覚悟はできているが、ただし条件をつけて交渉することだ。段階的非核化に伴う段階的制裁解除。

時間をかけて交渉し、その間に北朝鮮の経済発展に力を入れる。そして南北統一に道を開く。これが金正恩が描いている朝鮮半島の未来図のはずである。その未来図が本物かどうか、トランプ大統領は虚心坦懐に金正恩の声を聞き、表情を読み取り、注意を凝らして真偽を嗅ぎ分けるべきだろう。

交渉の成否は、詰まる所、当事者同士の人間力にかかってくる。帝王学を仕込まれた三十代の独裁者・金正恩と不動産ビジネスで財を成した七十代の老獪ながら正直な人柄のトランプ大統領の丁々発止の駆け引きは、今年最大の政治劇となる。両者には、現代的異物のCVIDの矛盾を乗り越えて、是非成功してもらいたい。そして両者の背後には、戦争を望まない圧倒的多数の国民の存在がある事を忘れないで欲しい。

CVIDという奇形児を産んだのは広島・長崎である。米軍の空爆によって産み落とされたのだ。あの日が引き金となって、世界中が核兵器という怪物を持つことに血眼となった。核兵器攻撃から身を守る為には核兵器を持つ必要がある。その結果、核兵器開発競争が起きた。人間は実に愚かな動物である。核兵器は象徴的な実践的惰性態と言えるだろう。人間の労働を吸収して人間の自由を束縛する。人間が創り出した怪物。人間に命令を下し、人間を操るモンスター。

その怪物を亡くすためのCVIDは、核大国の一方通行で弱小国にしか適用されないという、大いなる矛盾。不幸なことに、我々現代人は、この理解し難い不条理の世界に生きているのだ。