沖縄よ! 群星むりぶし日記

沖縄を、日本を、そして掛け替えのない惑星・地球を愛する者として発信していきます。

村松英子の三島由紀夫

以前、プライムニュースで、三島由紀夫の特集があった。ゲストに村松英子西尾幹二を迎えての特番で、両者の話は味わいがあり、深く印象に残るものだった。特に、三島戯曲のヒロイン役を何度も演じ、三島と深い付き合いのあった村松さんの話は、初めて聞くことが多く、濃厚な三島像を堪能させて頂いた。

そして去年の暮れ辺りから、なんとなくもう一度見たくなり、過去のプライムニュースを検索したがついに探すことはできずにそのまま日時が過ぎて行った。ところが、昨日、「西尾幹二のインターネット日録」を閲覧していると、カテゴリー欄に動画の項目があることに気づき、クリックしてみた。

するとなんと、西尾氏が出演した過去の動画がかなりの数保存されているではないか。これはありがたいと思いながら検索していくと、あった、三島由紀夫の特番。日付は2015年5月14日。今からおよそ3年前だ。まだ一年くらいしか経っていない気がしていたので、時の流れの早さに今更ながら驚ろいてしまう。

西尾氏が評論家として駆け出しの頃、三島が氏の作品を称賛したことを知り、お礼に三島邸を訪ねた時のエピソードは、氏の著作集を読んで知っていたので、改めて西尾氏の話に心が動くということはなかったが、村松さんの話には聞き惚れてしまった。

特に、終わり近くで話された三島の戯曲『薔薇と海賊』と『サロメ』の上演日に仕掛けられた三島由紀夫の完璧主義には凍りつく思いがした。『薔薇と海賊』のヒロインの最後の台詞「私は一度も夢を見たことはありません」。

この二日後に三島は市ヶ谷の自衛隊本部で自決した。三島は日本再生の最後の砦、自衛隊に絶望していた。夢を見たところで仕方がないのだ。

年が改まって『サロメ』が上演される。最後の場面。預言者ヨカナーンの首をのせた銀の皿が運ばれ、サロメがヨカナーンに口づけする。この二作品の上演日は三島自身が指定したという。

銀の皿の預言者ヨカナーンの首は、市ヶ谷で自決した三島由紀夫の首だ。しかし、預言者ヨカナーンに口づけするサロメは、いったい誰だろうか?

村松女史によると、三島由紀夫はよく母親に言っていたらしい。「僕がやっていることは、100年、200年経たないと人々に理解してもらえない」。

市ヶ谷自決から今年で48年。100年まであと52年もある。自衛隊日報問題で揺れる自衛隊の哀れな姿を見るにつけ、三島由紀夫の予言が、我々の頭上にますます重くのしかかる。三島の予言は現実となった。市ヶ谷で絶叫した三島由紀夫の声が、今も生々しくぼくの鼓膜を叩く。

「 諸君は永久にだね、アメリカの軍隊になってしまうんだぞ!」