沖縄よ! 群星むりぶし日記

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裏切られた自由

昨年、フーヴァー元米大統領の著作『Freedom Betrayed』の邦訳版が出そうだ、と保守言論人の間で話題になったことがあった。先の日米戦争の責任はルーズベルト大統領にあるとする内容の本で、長期間、米政府の圧力がかかり、禁断の書として公にされることのなかった話題の書である。

それがおよそ半世紀ぶりに2011年に出版された。そしてやっと邦訳版が出るという。できるだけ原書で読みたいと思い、amazonを覗いてみた。高額だ。5700円もする。大いに迷って保留することにした。そのうち安い中古本が出るかもしれないと、我ながら卑しい気持ちで待つことにした。

待つこと約半年、原書の中古本は出ず、ついに邦訳版が出版された。原書は一冊本だが、邦訳版は上・下二冊本になっている。ところがびっくり仰天、値段が高すぎるのだ。上巻が9500円。下巻も9500円 !? 眼の玉が飛び出そうになった。これだと英文が多少読める人間は原書を購入するに決まっている。

敢えて悪意に解釈すると、英文の読めない人を馬鹿にした値段の付け方ではないか。高額の邦訳版に抗議すべく、原書を注文することにした。5700円は大変な出費だが、いずれ購入する書物だと思えば気持ちもお落ち着く。英文が多少読める優越感に浸りたい気持ちが無きにしにあらず。

注文して3日目の今日届いた。速すぎる。中古の仏仏辞典は注文して2週間経ってもまだ届かず、業者に苦情のメールを送ったばかりだというのに。amazon独特の段ボール箱を開ける。予想を超える大冊本である。優に900ページある。さすがに興奮する。さていつから読み始めようか。そしていつ迄に読み終えることができるだろうか?読みたい書物は山ほど積まれているというのに。

さて、話を最初に戻すと、歴史は勝者の歴史だとよく言われる。その説を踏襲すれば、第二次世界大戦前後の歴史は、連合国の都合のいいように作られた歴史認識に基ずくということになる。日本が真珠湾を攻撃したから日米戦争が勃発したのだ、と米国は主張し続けてきた。一方で、真珠湾攻撃に至らしめた原因は、米国による日本への過剰な政治的干渉、経済的抑圧にあるとする主張は歴史修正主義として退けられてきた。

広島と長崎への原子爆弾投下は果たして正当化できるのか?わずか1日で10万人の民間人を殺戮した東京大空襲国際法違反ではなかったのか?東京裁判は暗黒裁判ではなかったのか?

これらの問いかけに対し、すべてが戦勝国側によって都合の良いように解釈されてきた。広島と長崎への原爆投下がなければ日本は降伏しなかった。東京大空襲は戦争を早く終結させるための正当な作戦行動であった。世界征服を企んだ日本政府を人道の立場から裁いて何が悪い。今でも米国の平均的な一般人に問いかけたら、それに似たような答えが返ってくるだろう。それ以外の見解は歴史修正主義と呼ぶようにほとんどの米国人は洗脳されている。

しかし、歴史の真実のみを語らんとする使命感を持つ米国人が、少数ではあるが存在することを我々は知っている。第31代米国大統領フーヴァー氏もその一人である。その他にも日米開戦の責任はルーズベルトにあると主張する声が、米国の側からぽつりぽつり聞こえるようになってきた。

まだまだ少数だが、彼らの声を聞いて史実に基づく歴史の真実を知れば、歴史修正主義とは本当のところ何を意味するか、理解できるはずである。情報過多の現代を生きる人間にとって大事なことは、情報の荒波に揉まれて真実に至る道を見失わず、誰にも憚ることなく、ただひたすら真実を追求することではないだろうか。『Freedom Betrayed』はそのことを教えてくれるに違いない。

真実は人間を自由にする、と言われるが忍耐が要求される。残された時間は短い。