沖縄よ! でぃぐぬ花日記

祖国は日本。郷土は沖縄。日本国を愛し、沖縄を愛する者として、発信していきます。

南から北へ散っていく桜花

緋寒桜が散って 、春の光を受ける青葉が瑞々しい。中には花が残っている木も見られるが、仲間外れにされているようでなんだか哀れに感じられる。日本列島の桜前線は沖縄からスタートして次第に北上していく。

第二の故郷、東京のソメイヨシノはいつ頃咲くだろうか? 緋寒桜と違い、ソメイヨシノは短命だ。人生の儚さを象徴するように一気に満開になり、一気に散る。武士道とは死ぬ事と見つけたり。死を恐れぬ武士の勇ましさは、惜しげも無く美を捨て去る桜の潔さに倣ったのだろうか? 日本人は桜が好きだ、という表現はあまりにも単調すぎる。世界がいっきに豪華絢爛となり、ぱっと消える。

狂喜が狂気になるという信じられない夢のような世界を、ぼくは長い東京暮らしで、毎年体験してきた。7年前、東北大震災が起きた後、1ヶ月後に、ぼくは沖縄に帰ってきた。あれ以来、ソメイヨシノの花吹雪を観ていない。

緋寒桜なんてつまらない。ぼくにとって、桜の花と言えばソメイヨシノだけだ。緋寒桜を可愛い女子学生とすれば、ソメイヨシノは薄命の絶世の美女だ。永遠に手の届かない叶わぬ夢。だから狂喜が狂気となる。

それでもソメイヨシノは桜ではないと言った人がいた。小林秀雄だ。美食家にして常識の大家とも言える小林秀雄によると、本物の桜の花は山桜らしい。

敷島の大和心を人問はば朝日に匂ふ山桜花

ぼくに神道を開眼させてくれた本居宣長も山桜花をこよなく愛した一人だ。その山桜花というものをぼくはまだ見たことがない。生きてるうちに見る機会はあるのだろうか。いつか是非見たいと思うのだが。

桜の種類は結構あるらしいが、その中でも十数年前テレビで見た緑色の桜の花に驚いたことがある。しかしさらに驚いたのは、この緑色をした桜花に、ぼくは全く偶然に出逢ったのだ。東急田園都市線桜新町駅という駅がある。この駅から用賀駅に至る線路は地下を走っているが、その上の道路が桜並木になっている。桜新町駅から職場に通うのにいつもこの通りを歩いていたが、ある日突然、満開の桜の木で一本だけ様子がおかしいのに気づいた。近づくと花の色が緑色なので驚くと同時に感動したのである。

大分前テレビで見たあの桜である。名札を見ると御衣黄とある。木も花も桜そのものだが花の色が緑色なのだ。同じ通りにもう一本あることがわかった。偶然とは不思議なもので、ほとんど奇跡のような感じがした。思えば、この世そのものが奇跡なのかもしれない。インド人はこの世をマーヤ(幻)と呼ぶらしい。少しわかるような気がしないでもない。

奇跡の中の現実。桜前線。東北の桜はいつ咲くだろうか? 今年も間違いなく満開となり、花吹雪、花嵐となることだろう。千の風になって東北の花吹雪にまみれてみたい。厳寒の冬を潜り抜けて桜の花が咲く。春夏秋冬、四季のはっきりした本土で暮らす人々が、嗚呼なんとも羨ましい。