沖縄よ! でぃぐぬ花日記

祖国は日本。郷土は沖縄。日本国を愛し、沖縄を愛する者として、発信していきます。

理想の国

先週の「世界ふしぎ発見!」というテレビ番組はデンマークをとりあげていた。全編を通して感動させられたのだが、その中でも特に、自転車専用道路の整備と、ススキを使った茅葺屋根の家、そして幼稚園児の教育に感動し、あまりの素晴らしさに、ついため息がでてしまった。現代人で車が嫌いという人はあまり聞いたことがない。好きなところに短時間で行けるし、大変便利だ。年々その性能は進化し、素敵なデザインの車も増えている。高価な車は、社会におけるステータスと言っても良さそうだ。だがそのいっぽうで、渋滞や環境悪化、運動不足の原因等、負の側面があるのも事実である。その問題を解決するためにどうするか? 社会の一種のステータスとなった現在、その解決策は簡単ではない。当然、気の遠くなるような政治的、社会的努力と忍耐が必要になる。
しかし、デンマークの人々は、自転車を普及させることで、その問題を見事に解決したようだ。自転車専用道路を広域にわたって整備する。自転車で職場へ通勤する。政治家でさへ国会議事堂へ行くのに自転車を利用する。もちろん街では車も走っているが、自転車が主流になったと思われるほどたくさんの自転車が至る所で走っている。自転車は自動車に比べて環境に優しいことが大きな利点になっている。自転車に乗る人々の顔の表情は明るくて健康的だ。
ところで、経済が発展する前の中国は、自転車に乗る人が圧倒的に多かった。国家も人々もまだ貧しかった時代、高額の自動車を買う余裕などなかったからだ。しかし、不思議なことに、今のデンマーク人同様、自転車に乗る当時の中国人の顔の表情は明るく健康的だった。しかし経済が発展するに伴って自動車の数は激増し、自転車は激減した。現在、中国の主要都市は渋滞と、排気ガスに苦しんでいる。滑稽なことに、そして皮肉なことに、自転車が消えて自動車王国になった中国とは正反対に、デンマークは自転車が増えている。デンマーク人の柔軟な対応力に感心させられる。
広大なススキ畑を所有する人の取材も感動的だった。ススキを加工して茅葺屋根にする。人間が住む家だけではない。犬小屋も、茅葺屋根でこしらえてある。その風景は、自然と溶け合い、のどかで心が落ち着く。昔は、沖縄も茅葺屋根の家がたくさんあった。ぼくが幼かった頃、家族で茅葺屋根の貸家に住んでいたことがあった。夏は涼しく、冬は暖かかった。現在の沖縄の建物はほとんど、鉄筋コンクリート造りである。夏は暑く、冬は寒い。沖縄は台風銀座だから、鉄筋コンクリート造りの家は理に適っている。だから、デンマークの茅葺屋根の家は羨ましい限りだが、残念なことに沖縄では気象学上、不向きである。さて、見るものすべてに感心させられる中で、とりわけぼくが驚嘆し、唸ったのは幼稚園児の教育だった。木がたくさん生えている自然の中で、幼稚園児たちが動き回っている。一本の縄で吊るされた独特の形をしたブランコに乗って揺れている数名の幼稚園児。また数名のある者は、小さな一輪車に枯葉をいっぱい積んで、ある場所を敷き詰めている。そして数名のある者は、ジャガイモを洗い、それをナイフかピーラーで皮をむいている。ナイフを使うのは危ないように見えるが、誰かが干渉するわけでもない。どこかしらあどけないが、手馴れていて、指を切るようなことはない。そして自分たちで料理を作って食べている。全てのことが、幼稚園児たちの自発的な自由意志に任せられているようだ。教師らしき人が、手持ち無沙汰風にしている数名の児童に「きみたち暇だったらこの薪を運んだらどうかね」と言うと、積まれている薪を、次々と小さい両腕に抱えて、元気よく目指す方向へ走り始めた。その一人が、撮影中のカメラマンに向かって、「邪魔するな」と言う。カメラマンは構わず幼稚園児を撮り続けるが、「さっきから邪魔だと言っているのがわからないの?」 と再びカメラマンを叱りつけるのだ。自分たちの真面目な仕事の邪魔をするものではない、と大人を窘めているのである。ぼくはその様子を見て、微笑ましく思った。しかし、それ以上に人間にとって大事なもの、言葉で言い表すのが難しい、何か神聖で本質的なものの存在を感じたことも確かだ。幼い子供達が自信に溢れて積極的に行動する様子は、見る者を感動させる。教師らしき人は、ここの子供達に卒園するまで、文字は教えないとコメントしていた。あくまでも子供達の自発性を尊重し、自然の中で活動させることで五感を養い強くするためだと言う。ぼくは、この教育方針は、大変素晴らしいと思った。小野田寛郎さんの「自然塾」と通じるものがある。そうやって育った子供たちは、大人になっても、自分に自信を持ち、決して他者の言うことに簡単に妥協したり屈したりすることはないだろう。軽い言葉や概念に惑わされない、本当の意味での大人に成長するのだ。強い人間が強い社会を作り、強い国家を創る。税負担率は7割を超えるらしいが、社会に均等に還元されて福祉が充実しているため、市民はいまの政治政策に満足していると言う。向学心のある人は誰でも無料で大学で学ぶことができる。医療費も全額無料で受けられる。会社も15時か、17時には終了する。家族と供に過ごす時間は十分に用意されている。デンマークの社会システムは実に素晴らしいと思う。人間の労働を単なる利潤追求のための手段と考えていない。剰余価値を生み出す源泉として尊重されている。マルクス主義が唱える理想の社会が、デンマークで実現しているのではないか、と思いたくなった。結論を出すのはまだ早いが、人類が追い求め続ける理想の社会のヒントがデンマークにあるような気がする。デンマークについてもっともっと研究してみよう、と思い初めている。