沖縄よ! 群星むりぶし日記

沖縄を、日本を、そして掛け替えのない惑星・地球を愛する者として発信していきます。

10回目の辺野古:久しぶりの米退役軍人

昨日辺野古へ行った。19時前の帰宅で、疲労が激しく冷たいシャワーを浴びた後、軽い夕食をとり、しばらくしてから早い眠りについた。昨日は、総勢18名であった。その中にラミス氏がいた。久しぶりに会うので正直嬉しい。バスの中で軽い挨拶を交わす。そのラミス氏がパンフレットを全員に一枚づつ配り始めた。「訪米カンパのお願い」。カラフルで洗練された美しいパンフレットだ。「平和を求める元軍人の会・琉球沖縄国際支部」会員の一人、奥西眞澄氏が描いたアカバナは見事である。「今年2017年8月9日から12日まで、シカゴでVFP総会が開かれます。この総会に沖縄からダグラス・ラミスさん等3名を派遣します。ハワイや米本国在住の「平和を求める元軍人の会・琉球沖縄国際支部」メンバーもシカゴに集まります。沖縄を「平和の要石」にする第一歩として米国政府に次の要求をします。
普天間飛行場を閉鎖し、撤去すること・辺野古の新基地建設計画を撤回すること・高江の森を自然に戻し、オスプレイを沖縄から撤去すること」そして「旅費、宿泊費など派遣費のカンパ(目標額100万円)をお願いします。」とある。22日(土曜日)開催予定のキャンプシュワブを人間の鎖で囲む大集会に参加する代わりに、ぼくはこのVFPにカンパすることに決めた。さて、伊芸エリアでの10分間の休憩を入れて約1時間半で辺野古に着いた。今日は特別に暑い気がする。国道を挟んで海兵隊基地・キャンプシュワブを囲むフェンスが何処迄も続く。外国の軍隊が駐留するこの場所が我々の郷土か、と考えるとその理不尽さに耐えられない気分になる。ほとんどの参加者はテントの中にいた。100名前後集まっている。今日は6時発の那覇のメンバーもいるはずだ。こんな早い時間から参加するなんて、ただただ恐れ入る。
奥間氏の注目すべき報告があった。彼は、離島間の橋の難工事を手掛けたことのある土木建築のスペシャリストである。彼の説明によると、三重県で作っている巨大ケーソンの仮置き場の造成が、大浦湾の脆弱な地盤のため、事実上不可能であること、それを可能にするためには、設計変更許可が必要になり、翁長知事は当然の事として許可しないだろう、という事であった。種々のデータを分析しつつ、氏独自の経験をもとに下した見解であろう。
事実なら、工事は進行中とはいえ、まだまだ前途多難であり、工事断念に追い込む可能性は高いと見るべきだ。13時ちょっと過ぎ頃に、ゲート前の座り込みが開始された。暑い、と言っても仕方ないのだが、やはり暑い。快晴の太陽は容赦なく我々の上に降りかかって来る。座っているだけで、汗が噴き出し流れていく。ラミス氏はぼくの隣に座った。あまりの暑さに二人とも無言のままである。ラミス氏はじめ数人の人が日傘をさしたが、その効果は思う程ではない。機動隊が来る時間まで、参加者の一人がマイクを手に話しはじめたが、新聞その他にあるような内容で、くだらない。そんなことより、リーダー的立場にある人は、機動隊が来る時間をもっと正確に把握して、座り込む時間を的確に指導してもらいたい。時間が経てば経つほど、参加者の体力の消耗は激しくなるからだ。隣のラミス氏が心配だ。本人は覚悟の上とは言え、高齢で無理できるはずはないし、すべきでもない。
長い時間、うんざりした頃に機動隊がゾロゾロやってきた。いつものように、機動隊は帰れ、のシュプレヒコールの中、一人また一人と排除されていくが、頑強に抵抗する人もいて、車道で寝転んで数名の機動隊員と揉み合いになる。ちょっと危険だな、と思いつつも本当は彼のように頑強に抵抗するべきではないか、と自省する気持ちも起きて、複雑な心境に陥った。「機動隊は帰れ帰れ!」「ここはアメリカじゃないぞ!」「恥ずかしいことをするな!」といつものように大声で叫ぶぼくに感心したのか、ぼくの顔を横から見上げたラミス氏が、「スミマセン、私は無理できないので立ち上がります」と子供のような表情でぼくに言った。「無理しないでください」と返答して軽く肩を叩いたが、妙な気分であった。両脇を二人の隊員に抱えられた。左脇を抱える抱え方が正常ではないので、痛いぞ、と注意したが、その隊員の態度は横柄で無視された。そのまま二人の隊員に歩道の一角に運ばれた。距離がもっと長ければ、おそらく左腕の痛みは耐えられなかっただろう。今日の隊員たちは先週より荒っぽくなっている。彼らの扱い方に反発する参加者は、普段に比べて非常に多いような気がした。我々は非暴力で立ち向かわなければならないので、悔しいが仕方がない。我慢するしかないのだが、参加を諦めるわけにはいかない。むしろ参加者を増やすことをもっと真剣に考え、企画工夫して、実行することだ。ぼく自身、辺野古への参加を呼びかけるポスターを独自に作成して、電柱に貼り付ける作業を始めたところだ。勿論、誰かから支持されたわけでもなく、全くの独自アイデアであり、自己責任の範囲内においてである。このポスター作りのためだけに、ラミネート機も購入した。機動隊との攻防が一段落した頃、右翼の宣伝車が「君が代」をボリュームいっぱい流しながら、やって来た。マイクで挑発的な言葉を吐きながらUターンして去って行った。任侠道のかけらもない、情けない連中だ。彼らの精神はあまりにも子供っぽい。まともに向き合わず、完全無視するに限る。全員テントで休憩することになった。その時、愛知県からきたという女性の話が印象に残っている。彼女は、昔、隣県の岐阜にあった米軍基地が、米兵による事件・事故が原因で地元住民の反対運動が起き、それで同県の米軍基地が沖縄に移された経過を話した。そして、今の沖縄の基地過重負担の責任を感じて、辺野古にきて反対運動に参加している、と言った。以前も何度か来たが、9月にまた来る予定です、と付け加えた。本土の人間がこのように話すのを聞くと、さすがに胸が熱くなるのを感じる。心の中で、「ありがとう」と呟く。15時45分頃には多くの参加者が引き上げる中、我々那覇組は、もう少し残って頑張ろう、ということになった。18名のメンバーだけで、工事車両ゲートの方へ歩き始めた。ラミス氏が折りたたみの簡易椅子に腰掛けて、読書している。側のブロックに腰を下ろして、失礼になるかもしれないと気兼ねしつつ、何を読んでいるんですか、と声をかけてみた。手にしているのは、英書だ。「ベトナム戦争について書かれた小説です。」本の半分のところを開いて、「ここまでが小説で、あとは解説です。」と普段の調子で応じた。「著者は誰ですか?」と聞き、勝手に本を触って、表紙を見た。Graham Green?何処かで見た名前だ。ひょっとしてあの本の著者では、と気になった。確か、本棚のどこかに眠っているはずだ。帰ったら確かめてみよう。「面白いですか?ぼくは、英会話は苦手だが、英書を読むのは大好きで、今「War and Peace」を読んでいます。」と言うと、ラミス氏の顔が輝いた。「時間がかかりますね」「まだ4分の一くらいですが、勿論、辞書を引きながらです。」「翻訳されたものよりも、英文の方がいいですか?」「外国の本はできるだけ原書を読むようにしています。辞書の助けを借りながらですが。トルストイの「Anna Karenina」はとても面白かったですね。ドストエフスキーの「Crime and Punishment」も読みました。それからサリンジャーの「the Cacher in the Rye」も非常に面白かった。」と言うと、ラミス氏の顔の表情がますます穏やかになり、まるで好々爺のようだ。彼が並々ならぬ知識人である証拠だ。ぼくとの短い会話は、彼の知的脳細胞を多少なりとも刺激したに違いない。彼の著書『経済成長がなければ私たちは豊かになれないのだろうか』は平凡社から出た新書版だが、文明論的考察に富む本で、例えば次のような文章には、深く考えさせられる。
「自分の国を発展させる政策という意味では、日本の明治政府の方が早かった、という意見も成り立つ。しかし、世界に対する政策として使い始めたのはトルーマンが最初です。自分の国ではなく、世界中の相対的に金持ちではない国を「発展させる」。それがアメリカの国策であると言い出した。それには、歴史の中に先例がありません。」(92頁)勿論、ラミス氏はこのアメリカの国策を否定的に捉えている。それに続く文章で、なぜこのような国策が世界にとって災いをもたらすのか、説得力を持って具体的に述べている。興味のある方は、ぜひ一読を推奨したい。さて、少ない人数ではあるが、基地内から出て来るダンプに向かって、反対の意思表示をしてから、帰る支度をした。帰りのバスの中で疲れてはいたが、「久しぶりに来てくれた、尊敬するラミスさんのために一曲歌います」と言って、倍賞千恵子の「あざみの歌」をスマホから流しながら、デュエットの形でぼくも歌った。歌い終わると、ぼくの前の後ろに少し倒した席の隙間から、「ありがとう」と言ってくれた。県庁前広場に着いた時は、18時を過ぎていた。帰宅してから気になった本を調べたら、やはり同じ著者Graham Greenだった。「The Heart of the Matter」20年ほど前、鎌倉の鶴岡八幡宮を訪れた際、その帰りの途中にある古本屋で衝動買いしたものである。2、3頁読んで、そのうちにとほったらかして20年。怠惰な性格は治らないままである。呑気に行こう、呑気に。人生、焦りは禁物だ。


お知らせ: 保守も革新も無党派層の人も辺野古へ行こう!
海兵隊は沖縄に駐留する必然性はない!海兵隊は抑止力にならない !
毎日無料高速バスが出ています:参加費はカンパのみ
月曜日 午前9時発 平和市民連絡会
火曜日 午前9時発 オール沖縄那覇の会
水曜日 午前6時発 平和市民連絡会  
午前9時発 島ぐるみ会議
木曜日 午前9時発 平和市民連絡会
金曜日 午前9時発 平和市民連絡会
土曜日 午前6時発 平和市民連絡会  
午前9時発 島ぐるみ会議
 (いずれも県庁前広場発:受付8時半〜)